建築設計業界は人手不足?実態や今後の課題・見通しはどうなる?

公開日:2023/04/01   最終更新日:2023/06/13


これから建設業界で勤務したいと考えている人に、今回の記事はおすすめです。現在、業界では人手不足が深刻化しています。作業員の高齢化や離職率の高さが問題となっていますが、それらを解決するために企業側もさまざまな取り組みを行っています。取り組みの内容と今後の課題を見ていきましょう。

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技術者も管理者も足りない?業界全体で人手不足が深刻化!

ほかの業界とは異なる特徴があります。

建築業界とは

土木と建築の2つの業種を合わせたものを指します。建築業界はほかの業界と比較して異なる特徴があるので理解しておく必要があります。

プロジェクトの年数が長いのが特徴

土木のプロジェクトは平均で3~5年、建築のプロジェクトは平均で1~3年となっています。長い期間プロジェクトに携わることになるので、配置換えや転勤などが難しくなっているのが特徴です。

技術職の集団なので日々の勉強が欠かせない

1つのパターンで仕事を進めるのではなく、さまざまな方法や材料を活用して工事を進めていきます。そのため、常に自分をアップデートしていく必要があります。

人手不足が深刻化した原因は?

建設低迷期を乗り越えましたが、好調期に入ると慢性的な人手不足に悩んでいます。

景気の影響を受けている

建設低迷期の後に好調期が発生したことで、慢性的な人手不足が深刻化しています。

建設低迷期

1992年のバブル崩壊後から建設低迷期が始まりました。業界として勢いが止まってしまったまま2008年のリーマンショックが発生して、建設業界は低迷期が続いています。

好調期

2011年に発生した東日本大震災後の復興工事の需要増や、2020年のオリンピック開催の需要増などがありましたが、建設低迷期で発生した人員のリストラなどの影響で、現場の慢性的な人手不足は深刻化しています。

作業員の高齢化

建設業の仕事に従事している人の3割以上は55歳以上となっています。現在勤務している人は10年後には退職することになるので、これまでのノウハウが失われるだけではなく、働き手も少なくなるので大きな痛手となります。

離職率の高さ

離職率が高いのは問題として挙げられていますが、そのなかでも顕著なのは29歳以下の若手の離職が目立つことです。貴重な働き手として勤務してもらいたいと企業は考えていますが、若者が離職してしまう理由が3つ考えられています。

まず、年功序列です。日本企業でも年功序列を廃止する風潮が徐々に浸透していますが、建設業界ではこのような風潮が未だに浸透しています。そのため、20~30代の社員にとってギャップを感じてしまうのでしょう。

次に、賃金アップが難しいことです。短期的にスキルアップが難しい業界なので、仕事量に見合った給料をもらえていないと感じている人が多くいます。

最近は、このような状況を改善するために見直しが進められています。最後に、ハードワークです。人手が不足していますが、仕事量が減少するわけではありません。そのため、現在のワークライフバランスが世の中に浸透してきている状態とはかけ離れていると感じる若者が離職するようになっています。

人手不足のために企業側が行っている取り組み

魅力的な職場としてPRするために、広報活動は欠かせません。

建設業のイメージアップ戦略

若者が建設業への就職を希望しない状況を改善しないことには、作業員の高齢化は防げなくなります。最近の建設会社では、若者に向けて魅力ある仕事だということをアピールするための、イメージアップ戦略を打ち立てています。

まずは若者に興味を持ってもらえるように、事務所を洗練された空間に作り上げることから始めた企業があります。

次に、格好よくないというイメージが付きまとっていた作業着を、自分の好みで選択できるようにするなど、適度に自由な気風を作り上げているのも魅力的です。そして、事務所や作業着などの写真を、若者が多く閲覧するSNSで発信したところ、視聴者数が増加して同業他社からも注目されるようになりました。

女性の活躍を推進

現場で活躍する女性にスポットを当てて紹介する取り組みも行っています。建築業界で勤務する女性のイメージは設計などのデスクワークですが、工事監督として勤務する女性も存在します。男性と同じように工事監督として建物の工事に携わってみたいと考えている女性志願者にとって希望となるでしょう。

また、最近では女性用トイレや女性用更衣室などを完備している建築会社が増加しています。性別に関係なく協力しながら勤務できるようになりつつあります。大学などで建築を学んだ後に、工事現場で活躍したい女性が出てくることで人材不足の解消につながりそうです。

デジタル技術や最新設備を導入して生産性を向上

これまでのように、アナログですべての業務を行うのは生産性が低くなっています。建設業界も時代の変化に追いつくことで、これまでの業務に費やしていた時間を減らせるようになります。

そのぶん、ほかの業務や休養などに時間をあてられるので、デジタル技術や最新設備を導入して、働きやすさを実現しましょう。たとえば、打ち合わせをオンラインで行うことで、打ち合わせ場所に向かう時間と費用などを削減できます。

また、日々の工事現場の写真の提出や報告書の作成などもアプリを使用すると簡単に終了します。現場から戻った後に事務所で作業する必要がなくなるので、早めに帰宅できるようになるでしょう。

人材不足を解消するための今後の課題

今後も課題が残されていますが、1つずつ取り組んでいくことが大切です。

余裕を持たせた工期の設定

工期に余裕がないと、少ない職人で長時間労働しなければいけません。工期に余裕を持たせることで、職人の身体的負担も軽減されます。ただし、工期に余裕を持たせると利益が減少することも考えられます。1つでも多くの建設現場を担当することで報酬を獲得するビジネスだからです。

そのため、余裕を持たせた工期を設定した場合の利益の出し方を検討する必要があります。たとえば、ICTやAIの活用などです。利益が減少したタイミングで次の一手を打つことができるようになると、ただ手をこまねいているだけの状況よりも業績は向上するでしょう。

省人数化工法による労務費の削減

こちらは、職人の待遇改善にもつながる取り組みになるので、積極的に採用していきたいところです。プレキャストコンクリート工法は、成形済みの材料を現場まで運搬して組み立てる工法です。これにより、現場の職人の人数が少なくても材料の解体などを行う必要がないため、時間と労力の節約につながります。

あらかじめ工場などで成形することになっているので、工事現場に向かう前に材料などを受け取るかたちをとります。余裕を持たせた工期の設定と、省人数化工法がミックスされれば、建設現場の負担は大きく軽減するでしょう。また、鉄筋先組み工法は、作業スペースで梁や柱などを組み立ててから作業を行います。これにより工期の短縮を図れるので、画期的な取り組みです。

そのほかにも、鉄筋ジャバラユニット工法、移動式吊り足場、ラス・鋼製型枠の使用などの方法で工期の短縮を図れます。現在は模索段階の部分もありますが、新たな工法を採用している建築現場もあるので、求人を募集しているけど人員が集まらない場合は、このような取り組みに着手するほうが有効な場合があります。

まとめ

慢性的な人手不足を抱えているので、若者を中心に一緒に勤務できる社員を募集しています。最近は、建設業界でも働き方改革が浸透してきているので、長時間労働の改善や女性が活躍できるような職場環境の整備などに取り組んでいます。作業員の高齢化が進んでいるので、少しでも興味のある人がいれば転職エージェントのサービスを利用しましょう。

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