設計事務所には種類がある?求人を探すときのチェックポイントとは?

公開日:2024/10/15  

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建築業で設計に関与していると、設計事務所への転職がキャリアアップの選択肢としてあがります。しかし、設計事務所の業務内容や、設計事務所にもさまざまな種類があることをご存じでしょうか。本記事では、設計事務所への転職を目指している人に向けて、求人探しのチェックポイントや転職時に資格が必要かという疑問にお答えします。

設計事務所の業務内容

設計事務所の仕事は、建築主の要望にもとづいて建築物および関連設備の設計図を作成し、着工後は工事が設計図どおりに進行しているかを監理することです。

仕事内容は大きく設計図面作成と工事監理に分けられます。設計図面作成では、建築主とのヒアリングを通じて予算、構造、デザインなどをまとめます。これをもとに設計図を作成し、図面から工事予算を見積もります。

予算が合意に達すれば、工事施工の手配が可能です。工事監理は、請負業者が決まり工事がスタートすると、各工事を担当する責任者や職長と協議しながら工事を進めます。現場立会いやミーティングを通じて、設計図と計画した工程どおりに工事が進行しているかのチェックをします。

設計図面作成と工事監理の両方の円滑な進行により、建築主の要望を満たす建築物が完成します。

設計事務所の種類

設計事務所には、アトリエ系、組織系、コンサル系の3種類があり、それぞれ仕事内容や特徴が異なります。以下に各種設計事務所について詳しく説明します。

アトリエ系設計事務所

アトリエ系設計事務所は、主宰する建築家の個性を反映した設計が中心です。

事務所は比較的小規模で、スタッフ数は1〜20人程度が一般的です。アトリエ系設計事務所は少数精鋭の環境であるため、幅広い経験を培えます。建築家のもとで直接スキルを学び、事務所運営のノウハウも身につけられる点が魅力です。

人数が少ないため、ひとりひとりに多くの責任が与えられます。結果として、自分の実力を試し、評価してもらえる機会が多くなります。しかし、任される責任が大きいため、ときには長時間労働になる可能性の把握が必要です。

アトリエ系設計事務所は、自分の目指す設計を極めたい方や将来独立を目指している方にとって最適な環境です。ただし、即戦力としての力量を求められる場面が多いため、新卒者や他業種からの転職者には相応の努力と学ぶ姿勢が要求されます。

組織系設計事務所

組織系設計事務所は、自社内に意匠、構造、設備などの設計部門がある大規模な事務所です。

全国各地に拠点をもち、高度な設計やデザイン力だけではなく、高い交渉力やプレゼン能力を駆使して市場の物件や案件にアプローチするのが特徴です。組織系設計事務所は、所属する分野のみの仕事を担当するケースが多く、専門性を高められます。

高度なスキルが要求される分、年収は高い傾向にあります。さらに、最近では働きやすさを重視する事務所が増えてきている点も見逃せません。組織系設計事務所は、専門分野で実績を積み重ねたい方に向いており、安定している環境でスキルアップが期待できます。

コンサル系設計事務所

組織系設計事務所のなかには、建設コンサルタントや都市計画コンサルタントとしての機能を有している事務所もあり、コンサル系設計事務所と呼ばれます。

コンサル系設計事務所は、建築に関わる事業の企画、調査、設計から施工、修繕、建替までをひとつのプロジェクトとしてとらえる点が特徴です。コンサル系設計事務所において設計は、大きなプロジェクトを構成するひとつの部門とみなされます。

高いコミュニケーション能力やプレゼンスキルが求められる特性には留意しておきましょう。大手であるほど拘束時間は長く、出張の頻度も多い分、年収は高めで安定しています。体力やバイタリティーに自信があり、企画力や課題解決力のある人に向いています。

コンサル系設計事務所は、建物を環境や風景の一部として位置付け、意匠、構造、設備を設計し、街の活性化やコスト削減、収益向上にまで関わる点が大きな特徴です。

求人を探すときのチェックポイント

設計事務所の求人を探す際には、年収や休日、残業や休日出勤の有無などの基本的な条件だけではなく、自分の性格や設計スキルが活かせるかどうかの確認も重要です。

以下に、設計事務所の求人を探す際のチェックポイントを3つの観点から解説します。

勤務の傾向に適合できるか

設計スキルを活かせるのは設計事務所に限りません。

大手ゼネコンやハウスメーカーでは自社に設計部門をもつ企業も多く、広告やWebサイトのデザインを手がけるデザイン事務所でも設計スキルを活かせます。また、設計事務所では、ゼロから設計をつくり上げていく過程を楽しむ姿勢が重要です。

物事を計画し、形にしていく喜びを感じられる方に向いています。設計事務所の仕事は、施主や現場責任者、職人、役所の担当者など、多くの人と関わりながら進めます。高いコミュニケーション能力が求められるでしょう。

そのほかの求められやすい要件として、設計図どおりの進行がされているかを確認できる企画性、新しいことを吸収できる意欲、最後までやり遂げる責任感があげられます。

給与の条件面に不足はないか

設計事務所への勤務や転職を考える際に、ライフプランを見据えた年収や給与の確認が重要です。

独立開業した一級建築士の年収は1,000万円以上も可能で、1,500万円以上稼ぐケースもあります。一方、設計事務所勤務の一級建築士の年収は約400〜700万円です。

設計事務所に勤務する二級建築士の年収は約350〜480万円であり、建設業の平均年収約470万円とほぼ同レベルです。自分のライフスタイルや将来の目標に合った年収を得られるかのチェックが重要です。

休日・働き方に無理はないか

設計事務所での仕事は、残業や休日出勤の有無など、働く時間や拘束時間についてもチェックをしておく必要があります。

通常、設計事務所の勤務時間は9時から18時が多いですが、顧客の都合で打合せが勤務時間外に行われる場合がよくあります。また、繁忙期(9月末、12月から3月の間)には残業が多くなる点にも注意が必要です。残業や休日出勤の手当てについて明確な規定があるか確認しましょう。

転職の際に資格は必須?

設計事務所への転職を考える際、一番の心配は「どんな資格が必要か」という点でしょう。

結論からいうと、設計事務所への転職に必須の資格はありません。これは設計職以外の職種に限らず、設計職についても同様です。建築士の資格がなくても、建築についての専門知識があれば設計事務所で設計士としての従事が可能です。

ただし、建築士(一級・二級・木造)の資格があれば、設計事務所への転職で有利に働きます。建築士の資格を取得するには受験資格を満たす必要があり、建築の専門知識を学べる大学や専門学校に進学する方法が最適です。

もし今学生であれば、専門知識を身に付けるための学習機会を活用して、将来を見据えた資格取得を推奨します。資格の保有は、より多くの職務や責任を受けもてるため、キャリアアップにもつながります。

まとめ

設計事務所への転職を考える際、求人探しのポイントと必要な資格についての知識が大切です。設計事務所には、アトリエ系、組織系、コンサル系の3種類があり、それぞれ仕事内容や特徴が異なります。求人を探す際には、勤務の傾向、年収、休日・働き方に注目しましょう。設計事務所への転職に必須の資格はありませんが、建築士の資格があれば有利です。建築についての専門知識があれば設計士として従事でき、資格の保有によりスムーズなキャリアアップの可能性も広がります。設計事務所は多くの人と協同して建築物を完成させる場であり、コミュニケーション能力や責任感が求められる特徴を理解して、最適な職場を見つけましょう。

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