建築設備設計とは?室内環境を支える専門職の仕事内容を解説!
建築設備設計は、建物内の快適な環境を維持するために必要不可欠な専門職です。電気、空調、給排水などのシステム設計を通じて、住みやすく安全な空間を作り上げます。この記事では、設備設計の役割や仕事内容、求められるスキルについて詳しくご紹介します。建築設計業界でキャリアアップを目指している方は、ぜひご一読ください。
設備設計の役割とは?
建物の設計には、外観や構造を決める意匠設計や構造設計だけでなく、快適に過ごすために欠かせない「設備設計」という重要な役割もあります。設備設計は、建物が機能するために必要な設備を整え、建物を利用する人々に快適な環境を提供する仕事です。
では、設備設計はどのような役割を果たしているのでしょうか?今回は、その重要な役割についてご紹介します。
もくじ
快適な環境を作るためのインフラ整備
設備設計のもっとも重要な役割のひとつは、建物内で快適に過ごせるようにするためのインフラを整備することです。たとえば、空調設備や給排水設備、照明設備などは、すべて設備設計が担う範囲です。
夏は涼しく、冬は暖かく過ごすためには、どのような空調設備が必要かを考え、建物に最適な配置を決める必要があります。給水管や排水管の位置や大きさも、使いやすさを決める大事なポイントです。
これらの設備が適切に設計されていないと、建物内で不便を感じることになります。
デザインと機能のバランスを取る
建物のデザインも大切ですが、設備設計はそのデザインが快適で実用的なものになるよう調整します。たとえば、大きな窓を設けた開放感のある空間を作りたい場合、自然光を取り入れるための照明設計や窓からの風をうまく活用する空調設備を考える必要があります。
また、広い空間では空調が効きにくく、温度が均等でない場合があるため、そういった問題を解決するための工夫も求められます。デザインと機能をうまく両立させることが、設備設計の大きな役割です。
長期的なコスト管理
設備設計は、建物の運用コストにも大きく影響します。建物の使用を始めた後、毎月かかる光熱費やメンテナンス費など、運用に必要な費用は設備に依存する部分が多いです。
そのため、エネルギー効率が高く、維持管理がしやすい設備を選定し、長期的にコストを抑えられるよう設計することも設備設計の役割です。たとえば、省エネルギーの空調設備や高効率な照明を導入することで、電気代を抑えることができます。
また、メンテナンスがしやすいように設計することで、将来的な修理や交換の費用も軽減できます。
安全性の確保
設備設計は、建物の安全性を確保するためにも重要な役割を果たします。たとえば、地震などの災害時に役立つ設備や万が一の火災時に煙を逃がすための排煙設備なども設計に含まれます。
これらの設備が正しく設計されていないと、災害時に危険な状況を招くことになります。安全性を重視した設備設計は、建物を利用する人々を守るために欠かせません。
設備設計の仕事内容
設備設計の仕事にはさまざまな分野があり、それぞれの設備が建物の機能を支えています。ここでは、設備設計の主な仕事内容について、わかりやすく解説します。
電気設備設計
電気設備設計は、建物内で使われる電気に関するすべての設備を計画する仕事です。たとえば、照明や電力の供給、エレベーターやセキュリティシステムなどが含まれます。
設計者は、必要な電気容量を計算し、効率的に電気が使えるように配線を考えます。また、省エネルギーや安全性を確保するために、最新の技術を取り入れることも大切です。
空気調和設備設計
空気調和設備設計は、建物内の空気の温度や湿度を調整し、快適な環境を作るための設備を設計する仕事です。たとえば、エアコンや換気扇、加湿器や除湿器などが含まれます。
設計者は、どの場所にどの設備を設置するかを決め、効率よく空気を循環させる方法を考えます。また、エネルギーの無駄を減らすため、省エネを考えた設計も大切です。
給排水衛生設備設計
給排水衛生設備設計は、建物内で使用する水を供給したり、使った水を排水したりする設備を設計する仕事です。水道や給湯器、トイレの排水設備などが含まれます。
設計者は、建物内のどこに水を供給するか、どこで水を排水するかを考えるのです。また、漏水や詰まりを防ぐため、しっかりとした配管計画を立てることが求められます。
仕事の流れ
設備設計の仕事は、いくつかの段階に分かれています。まず、クライアントとの打ち合わせを行い、どのような設備が必要かを決めます。
次に、設計の基本計画を立て、必要な設備を配置していくのです。その後、詳細な設計を行い、必要な材料や機器を選びます。
設計が完成したら、見積もりを作成し、工事が始まります。工事が完了した後は、設備が正しく動作するかを確認するための検査が行われるのです。
設備設計士に求められるスキルと資格
設備設計士は、設計を行う際に役立つ資格を取得することで、より高い専門性をもつことができます。ここでは、設備設計士に求められるスキルと資格について詳しく解説します。
調整能力
設備設計士は、設計の際にほかの部門と調整をしながら進める必要があります。たとえば、排煙ダクトを設置する場合、意匠設計、構造設計、設備設計の各部門で考え方が異なります。
意匠設計では建物の外観を考え、構造設計では建物の強度を考慮し、設備設計では効率よく煙を排出する方法を考えるのです。それぞれの部門が異なる視点をもつ中で、バランスを取るために調整を行う能力が求められます。
この調整能力がないと、設計全体がうまく進まなくなります。
想定能力
設備設計では、事前に問題が起こる可能性を予測して対策を講じる能力が大切です。たとえば、大きな部屋を設計する場合、空調の温度差で結露が発生することがあります。
このような問題を予測し、対応策を考えることができる設備設計士は、建物が完成してからのトラブルを防ぐことができます。想定能力が不足していると、あとから修正を加えることになり、追加費用や手間がかかってしまうのです。
建築士
建築士は、建物の設計を行うために必要な資格です。建築士には、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3つの種類があります。
一級建築士は、どんな規模の建物でも設計できる資格です。この資格をもっていると、設備設計士として活躍するための基盤となります。
設備設計一級建築士
設備設計一級建築士は、設備設計の専門家として認められる資格です。設備設計に関する深い知識をもち、大規模な建物や施設の設計を担当します。
この資格を取得するためには、一級建築士の資格をもち、実務経験を積む必要があります。設備設計一級建築士は、設備設計の分野で非常に価値のある資格です。
建築設備士
建築設備士は、設備設計に関する知識と技能をもつ資格です。設備設計そのものを行うわけではなく、設備に関するアドバイスを提供する役割です。
この資格をもつことで、設計のサポートを行ったり、工事監理を行ったりできます。設備設計士として実務を積む中で、非常に役立つ資格です。
まとめ
建築設備設計は、快適で安全な室内環境を実現するための重要な専門職です。設備設計士は、電気や空調、給排水などの設備を計画し、建物の機能性を高めます。この職業には高度な技術とコミュニケーション能力が求められ、資格取得がキャリアの強化につながります。さらに、転職エージェントを活用すれば、より適した職場を見つける手助けになるでしょう。