履歴書や実務経歴書に嘘を書いたらどうなるの?嘘を書くリスクとは
志望する企業に受かりたいという思いから、履歴書や実務経歴書に嘘を書いてしまおうと考えてしまったことがある人もいるのではないでしょうか。この記事では、履歴書に嘘を書いてしまう人の心理や嘘がバレるきっかけを紹介します。また、嘘を書くのは違法なのかどうかや嘘を書くリスクも解説するので参考にしてください。
履歴書に嘘を書く人の心理とは
履歴書に嘘を書いてしまうことはリスクがある行為です。しかし、実際に嘘を書いてしまう人は少なくないのです。嘘を書くことはリスクがあると分かっている人がほとんどでしょう。嘘を書いてしまう人の心理について考えていきます。
まず一番多い心理としては、経歴をよく見せたいからです。希望の企業に受かるためには経歴をよく見せたいと考えてしまう人が多いのです。
また、応募資格がある企業を希望する場合にも嘘を書く人が多いようです。残念ながら応募資格を満たしていない人が、嘘を書いて条件に当てはまっていると見せかけています。経歴や資格だけでなく、現職の年収を高く申告する人もいます。年収を高く申告する人の心理は、給与の交渉を有利に進めたいからです。
実際に採用する際には、現職の年収を参考にして年収を提示する企業もあります。年収に関連する嘘は、企業が金銭的な損をしてしまう可能性があります。年収に関する嘘は、入社時にさまざまな書類を提出してもらう際に気が付く場合が多いようです。
さらに、職歴期間の嘘を書く人も多いのです。短期間でやめてしまったりブランクが空いていたりすると、採用時に不利になるのではと不安になってしまうことから嘘を書いてしまいます。実際の在籍期間より長く書いてしまったり転職歴を書かなかったりしてしまう人がいるのです。
履歴書の嘘がバレるきっかけは?
嘘がバレるきっかけについて、採用前と採用後に分けて見ていきましょう。
採用前に嘘がバレる場合
採用前に嘘がバレることが多いタイミングは面接時です。面接官は、自分の言葉で話しているのかどうか見抜く力があるのです。
さらに専門分野の担当者が同席することも多いので、専門的な内容にもスムーズに応えられなければ嘘をついていることがバレてしまうでしょう。面接の内容と話の内容が嚙み合っていないと、嘘をついているのではないかと疑われてしまうのです。履歴書の内容についての質問をしても回答が合っていなかったり、在職していた企業が曖昧であったりする場合に嘘がバレてしまいます。
また、リファレンスチェックが行われる企業では嘘がバレやすいでしょう。リファレンスチェックとは、応募者が所属していた企業に連絡し、経歴や応募者の人柄などを問い合わせることです。企業に問い合わせをしたら在籍歴がなかったという事例も少なくありません。
採用後に嘘がバレる場合
採用後に、履歴書の嘘がバレることもあります。採用後にバレるタイミングは、書類の提出時です。前の職場で雇用保険に加入していれば、企業に雇用保険被保険者証を提出することになります。雇用保険被保険者証には企業名や退職日などが記載されているため、嘘を書いていた場合はバレてしまうでしょう。源泉徴収票のチェック時にもバレる可能性があります。
中途採用ならば、前の職場での年収状況が確認されるので、源泉徴収票をチェックすることで年収に関連する嘘はバレてしまうのです。中には人とのつながりによってバレてしまう場合もあります。新しい職場での営業先が前の職場とつながっていたり、取引先に前の職場で関わっていた人がいたりする可能性もゼロではありません。最近ではSNSを利用している人も多いので、過去の投稿などから嘘がバレてしまうという事例も多くあります。
嘘を書くのは違法なのか
嘘を書いても基本的には違法にはなりません。もし嘘が発覚してしまったとしても、実際には罪に問われる確率は低いのです。しかし、嘘の内容によっては違法となる可能性もあるのです。どのような場合だと違法になるのか解説します。
詐欺罪
金銭目的で経歴や学歴に関する嘘を書いた場合は、詐欺罪に問われてしまう可能性があります。建築士や管理栄養士などの国家資格を持っている人に関しては資格手当が支払われるのです。資格を持っていないにもかかわらず、持っていると嘘を書いて資格手当を受けとっていた場合には詐欺罪になってしまうでしょう。
軽犯罪法違反
軽犯罪法とは、軽い犯罪を取り締まるものです。そのため、罪を犯しているつもりはない行為であっても違法となってしまう可能性があります。学歴や資格に関する嘘をついていたり嘘の職業を名乗ったりする行為は、軽犯罪法違反となってしまうのです。
私文書偽造罪
私文書偽造罪は、他人の名義を無断で使用して私文書を偽造した際に問われる罪です。自分の履歴書や実務経歴書に嘘を書いただけでは私文書偽造罪にはなりません。履歴書や実務経歴書にほか人の名前を書いたり、他人の書類を自分の名前に書き替えて使用したりすると私文書偽造罪になってしまいます。卒業していない学校の卒業証書を偽造することも罪に問われるでしょう。
民事責任
詐欺罪や軽犯罪法違反のような刑事責任よりも、民事責任に問われる可能性が高いのです。学歴や資格に関する嘘を書いて採用されたけれど企業に損害を与えた場合には、損害賠償を請求される場合があります。また、嘘を書いて採用時の判断に重要な影響を及ぼした場合には懲戒解雇が言い渡されてしまう場合があります。嘘の程度によっては、懲戒解雇が言い渡され損害賠償を請求されてしまうという重い処分のとなってしまうのです。
履歴書・実務経歴書に嘘を書くとどうなる?
自分では小さな嘘だと思い軽い気持ちで書いてしまったとしても、企業にとっては重要な内容である可能性もあります。嘘がバレてしまった場合の影響について見ていきましょう。
解雇や内定の取り消し
どのような対応になるかは企業によって異なります。嘘がなかったら雇用契約を結ばなかったのかどうかが重要となるでしょう。場合によっては懲戒解雇や普通解雇となってしまう可能性もあります。もし入社前の転職時に転職エージェントを利用していたならば、紹介料は返金になり、今後転職先を紹介してもらえることもなくなるでしょう。入社前であれば内定の取り消しとなるのが一般的です。
損害賠償を請求される
履歴書や実務経歴書に嘘を書いて入社できたとしても、業務が理解できなかったり結果を出せなかったりする場合もあるでしょう。企業側に損失が出てしまうと損害賠償を請求されてしまう恐れがあります。損害の程度によっては詐欺罪に問われてしまうこともあるのです。
信用を失ってしまう
履歴書や実務経歴書の嘘がバレても処分を受けないこともあるでしょう。しかし、嘘を書いたことがバレてしまえば職場の人たちからの信用を失ってしまうかもしれません。信用を失ってしまうと仕事にも影響してしまいます。人間関係や信用問題で転職することになっても、次の企業で退職理由を問われてしまい転職活動がうまくいかなくなってしまう可能性もあります。
まとめ
嘘を書くことは違法にはなりませんが、嘘の程度によっては罪に問われてしまう可能性もあるのです。解雇されてしまったり損害賠償を請求されてしまったりする場合もあります。解雇や内定取り消しなどの処分がなかったとしても、信用を失ってしまうことにもつながります。結果的にバレなかったとしても嘘をつき続けなくてはいけないことや、実力が足りずに無理をすることは精神的な負担にもなってしまうのです。経歴をよく見せたいから、応募資格を満たしていないからといって、嘘を書くことは絶対にしてはいけません。