CAD利用技術者試験は受けるべき?CADのスキルは転職に役立つのか

公開日:2022/12/01   最終更新日:2024/06/19


CADオペレーターという職業をご存じですか?CADというソフトを活用して、建築や機械系などさまざまな分野の図面を作成する仕事です。資格がなくても働くことができますが、CAD利用技術者試験などの資格試験を受けておくべきなのでしょうか?今回はCADの資格に関して説明するので、ぜひ参考にしてください。

CADでどんなことができるのか

CADはパソコンを使った設計支援のことを指します。パソコンでさまざまな図面を作成することや、図面を作成するためのソフト・ツールを総称してCADと呼びます。CADは2次元CAD、3次元CADに分類され、紙に書かれるような平面の図面は2次元CADです。紙の図面は修正の際に消しゴムなどを使う必要があり、設計図を破らないよう丁寧な作業を心がけなくてはいけません。

その点、パソコンを使った図面は簡単に書き直し・修正ができるため、使い勝手がいいという特徴があります。3次元CADは立体的な図面を作成するもので、作るモデルを立体的にすることにより完成形のイメージがしやすい点が魅力的です。3次元のモデルがあれば、平面図・断面図を自動的に作成してもらえて、細かい部分まで確認しやすくなります。また、最近はインテリアアイテムやアパレル業界の服作りにもCADが取り入れられることがあり、これからどんどん需要が高まっていく仕事だといえるでしょう。

CADは建築業と製造業向けの技術

CADは主に建築業や製造業で使われます。建築業では建物の図面を作成するのはもちろん、階段や壁などの各部分や台所、トイレといった設備も作成できます。建築用の専用コマンドが搭載されているソフトがあり、それを使うことで建物の図面が作りやすくなるでしょう。製造業向けのCADにはさまざまな物体を設計するためのコマンドがついています。単純なもののデザインから複雑で大規模な設計を可能にするソフトなど、非常にバリエーションが豊富です。

CAD利用技術者試験は受けるべき?

CADオペレーターになるために、特別な資格は必要ありません。CADソフトの使い方さえ習得すれば、誰でもCADオペレーターとして働くことが可能です。しかし、自分の知識やスキルのレベルをアピールするために、CAD利用技術者試験を受けておくことをおすすめします。

CAD利用技術者試験とは、CADの技術者を増やしてものづくりの分野を発展させることを目的とした試験です。ものづくりの人材を確保するためにさまざまな分野で育成が進んでいますが、その一環だと考えてよいでしょう。これから設計・製図の仕事に就職・転職したいと考えている人や、すでにCADを使って仕事をしている人にぴったりの試験です。

試験は2次元CAD利用技術者試験、3次元CAD利用技術者試験の2つに分かれるため、自分が使っているソフトや目指したい分野にマッチしたものを選んでください。2次元CAD利用技術者試験は基礎・2級・1級に分かれていて、1級になるほどより専門的な知識を問われます。合格率は基礎で約80%、2級で約50%、1級で約60%です。3次元CAD利用技術者試験も2級・準1級・1級の3種類あり、合格率は2級と準1級は約50%ですが、1級は約25%と狭き門になっています。

そのほかに取得がおすすめの資格

建築系の職種に進みたいのであれば、建築CAD検定試験がおすすめです。建築用の図面作成スキルを問われる試験であり、レベルは準1級から4級まであります。一般社団法人全国建築CAD連盟が実施しているだけあって、この資格を有していると建築関係の仕事に就く際にアピールできるポイントになるでしょう。建築部門だけでなく機械部門のカテゴリーもあるCADトレース技能審査は、CADを使った写図スキルを図る試験で、トレースの能力を証明できます。

CADオペレーターを目指す人からとくに人気が高いのがCADデザインマスター認定試験です。建築以外にも機械系や土木など多様な分野のCADスキルが問われて、マルチに働きたいと考えている人にマッチしています。

また、実際に業務でCADを活用している人を対象としているCAD実務キャリア認定制度は、実技試験でCADのスキルを図ります。自宅のパソコンで受験できるうえに、試験中に参考書を見られる点が特徴的です。

就職・転職でCAD利用技術者試験の結果を活かせる?

就職・転職の際にCAD利用技術者試験の結果は有利に働くのでしょうか。ものづくりの世界は慢性的な人手不足が懸念されていて、現場に入ってすぐに働ける即戦力が求められる傾向があります。個人の知識やスキルが重視されるといっても過言ではありません。資格を持っているからといって必ず採用される訳ではないため、注意が必要です。

ただ、資格を取得しているということは、一定の基準をクリアしているというアピールにもなります。資格取得のために勉強したことは自分の身になっているうえ、まったくスキルや経験がない人と比べた際に、自己PRの材料になるでしょう。

試験の申込から合否判定が出るまでの流れ

CAD利用技術者試験を受ける際の流れについて解説します。2次元CAD利用者技術試験の基礎と2級は常時開催されていて、試験を受けた直後に結果が発表されます。いつでも気軽に受験できるため、自分の力を試してみてください。

それ以外の種類のCAD利用技術者試験は、年度ごとに開催される日が異なるため、公式サイトを忘れずにチェックすることをおすすめします。2次元CAD利用技術者試験は4月から5月にかけて申し込み、6月に試験、8月に結果が発表されます。後期日程は8月から9月が申込期間で、11月に試験を行い翌年1月に結果発表です。

試験を受験したいと考えている方は、申込期間の確認を忘れないようにしましょう。3次元CAD利用技術者試験前期は5月から6月に申し込み、7月に試験、8月に結果発表で、後期は10月から11月に申し込み、12月に試験、翌年1月に結果発表です。受験値は全国の主要都市に受験会場が設けられるため、近くの会場を選んでください。

資格取得のための勉強法

学生の場合、建築学科や工学科のある大学・専門学校に進学すれば、卒業までにCADの知識やスキルを学ぶことが可能です。社会人になってから勉強する方法としては、専門スクールに通う、通信講座を受講する、職業訓練校に通うといった選択肢があります。

専門スクールは時間とお金をかけても、しっかり講師のもとで勉強したい人にぴったりです。資格を取得するためのコースがあれば、それを選び勉強を進めることで試験対策もできるでしょう。

仕事や家事をこなしながら決められたスケジュールの勉強をすすめるのが難しいという方は、自分のペースで学べる通信講座がおすすめです。教科書や参考書がついている講座を選ぶと、教材選びに悩む必要がなく効率よく勉強を進められます。

あまりお金をかけずに勉強したい方は、職業訓練に通ってみてください。職業訓練校は国が運営している学校であり、リーズナブルな金額でさまざまな資格を取得できます。CAD利用技術者試験やCADソフトを取り扱っている講座があれば、確かな知識とスキルが身に付くといえます。

まとめ

CAD利用技術者試験の概要について紹介しました。CADは建築業や製造業に欠かせないソフトであり、これを活用して図面を作成するCADオペレーターは、多様な働き方ができるため近年注目を集めています。CAD利用技術者試験は2次元・3次元の2種類に分かれていて、レベルにあわせた級を受験できます。就職・転職の際に必ず有利になるわけではありませんが、ある程度のスキルを持っているアピールになるため、自分のペースで勉強を進めてみてはいかがでしょうか。

おすすめ関連記事

検索

READ MORE

建設業では高齢化や若手人材の減少により、人手不足が深刻な課題となっています。現場では技能継承が進みにくく、受注機会を逃すケースも少なくありません。さらに長時間労働や労働環境の厳しさが人材確保

続きを読む

家の外観や庭、アプローチなどを美しく機能的に整えることをエクステリアと呼びます。その設計や工事監理を担うのがエクステリアプランナーで、建物との調和に加えて防犯性や快適さも考慮しながら提案を行

続きを読む

建築設計の仕事は、単に建物の見た目を考えるだけではありません。施主の希望を聞き取り、法律や安全性を踏まえて図面を描き、施工業者や関係者と連携しながら建物を形にしていく重要な役割を担います。デ

続きを読む

木造建築士は、木を使った建物を設計する専門家です。木材の特性を理解し、自然素材ならではのあたたかみや快適さを活かした住まいづくりをサポートします。戸建て住宅を中心に、地域の風土に合った設計や

続きを読む

転職は、専門家による包括的なサポートを受けることが成功の近道です。自分でも気づかなかった点を修正できれば、スムーズな転職は可能になるでしょう。そこで今回は、特定の業界に特化した転職エージェン

続きを読む

建築業界で働いている人で「現状の年収に不満を持っている」「せっかく働くなら給与アップを目指したい」と感じている人はきっと多いことでしょう。そこで今回は、建築業界で年収アップを目指す場合にする

続きを読む

少子高齢化やコロナ禍、世界情勢の変動など、いままさに世界は大きな動きを起こしています。そのため、さまざまな業界において求められるスキルの質や内容に変化が生じています。本記事では、数ある業種の

続きを読む

建設業界・設計業界で働いている人の中には「設計事務所へ転職してキャリアアップしたい」と考えている人もいることでしょう。そこで本記事では、設計事務所への転職を目指す人へ向けて、転職活動の進め方

続きを読む

建築士として働いていたものの、さまざまな事情から職場を離れてしまった人も、決して珍しくはありません。ブランクのある建築士の再就職活動は、現役の人と比較すると難しくなるのは事実です。しかし、入

続きを読む

関西エリアで建築設計業に携わる方にとって、キャリアの転機は人生を左右する大きな決断です。専門性の高い分野だからこそ「業界特化」「キャリアアップ支援」「年収交渉力」などエージェント選びが重要に

続きを読む