フレックスタイム制ってどんな働き方?建築設計業界に広がる働き方改革とは

公開日:2022/12/15   最終更新日:2023/01/11


働き方の多様化が進んでいる近年、働く曜日や時間帯、場所にとらわれず働けることで、社員のライフスタイルにあわせた働き方ができます。そんな働き方改革のさきがけであるフレックスタイム制という言葉を聞いたことがありますか?今回はフレックスタイム制の働き方について解説し、メリット・デメリットを詳しく紹介します。

建築設計業界の労働環境の現状

建築業界では、人手不足や長時間労働が問題視されています。日本は少子高齢化が進んでいますが、建築業界も例にもれず若手が少ないといわれているのです。また、出勤日数が多く1日の労働時間も長い傾向があります。スケジュール通りに建築を進めなければいけませんが、天候や気温の影響で作業が進まないとスケジュールが先送りになってしまいます。それを取り戻すために、休日返上で働くことも少なくないでしょう。そこで、労働環境を改善するために、大手企業でもフレックスタイム制を導入するところが増えてきています。

どのように労働環境を変えていくのか

長時間労働の現状を改善し、休日も週に2日確保できるよう体制を整えていきます。また、給与や福利厚生の面も改善が期待されているのです。給与面は基本給のほかに、スキルやキャリアによって相応の給料を支払います。そして、パートであっても社会保険の条件を満たした働き方をする、下請け会社も社会保険の加入を必須とするといった方向性を示し、社会保険に加入させない企業は建設業の許可を与えないという工夫を凝らしています。

フレックスタイム制とはどんな働き方なのか

フレックスタイム制とは、1か月の働く時間を決めてその範囲内で1日の始業・就業時間を労働者が決められるようにしている制度です。一般的に、企業の就業時間は9時から17時のところが多くなっています。しかし、建築業界では顧客が来店する時間にあわせて働かなくてはいけません。企業の店舗の営業時間を9時から17時にしてしまうと、普段働いている人は来店できなくなってしまいます。そのため、10時から20時ごろまで営業している店舗もあるでしょう。

そこで登場したのがブレックスタイム制です。たとえば、1か月の就業時間は160時間と定めて、その範囲内で1日10時間働く日をつくったり5時間で帰れる日を設けたりすることで、働きやすい環境を整えていくのです。

フレックスタイム制はなぜ作られたのか

フレックスタイム制を導入することで、日々の働き方をある程度自分で決めることが可能です。朝に用事を済ませてから出勤したり、1日の労働時間を長くする日を設定して早く帰れる日を作ったりと、プライベートの時間を確保しながら働けるのです。仕事一辺倒になってしまうと充実感を得られず、仕事へのモチベーションも失ってしまうでしょう。そこで、働きやすい環境を整えることで、社員の意欲向上や仕事の効率アップを図っているのです。

フレックスタイム制の基本的な仕組み

フレックスタイム制だからといって、毎日自分の好きな時間に出勤できるとは限りません。顧客が来ない深夜帯に出勤しても意味がないからです。そこで、企業は1日の中に出勤する時間としてコアタイムを設定します。このコアタイムに出勤するのは社員の義務になりあますが、それ以外の時間帯は自由に出勤・退勤時間として決められるのです。11時から16時までがコアタイムだと、9時から出勤してもよいうえ11時に出勤して19時に退勤するのも社員の自由です。

コアタイムがあることで、社員同士の連携が取りやすくなり仕事が円滑に進むといえるでしょう。また、コアタイムは必ず設定しなければいけない訳ではありません。24時間いつでも出退勤を自由にするスーパーフレックスタイム制という制度も存在します。

フレックスタイム制のメリット・デメリット

フレックスタイム制のメリットは、社員が自分の都合やライフスタイルにあわせて働ける点です。病院や銀行、役所など日中しか行けない場所で用事を済ませたり、小さな子どもの送り迎えや親の介護で働く時間をずらしたりしたい人にぴったりです。9時から17時という時間にとらわれることなく、働きやすい環境を自分で整えられるのです。

そして、プライベートが充実することで仕事に対するモチベーションが向上し、業務効率や生産性のアップが期待できます。仕事と私生活にメリハリがついて、どちらも満足感が高まっていくでしょう。また、出退勤の時間を一般企業の時間とずらすことで、電車や道の混雑を避けてストレスを感じずに通勤できることにつながります。自分で労働時間を管理すれば、マネジメント能力も高まっていきます。

デメリットも押さえておく

フレックスタイム制のメリットは多数ありますが、デメリットも存在するのできちんと把握しておいてください。まず、ほかの社員と出勤時間をずらすことで連携がとりにくくなることが考えられます。自分が意見を交換したい社員がいても、その人が出勤していないとコミュニケーションが取れません。

反対も同様で、自分が出勤時間をずらしたことが原因で勤務時間外に職場から連絡が入る可能性があります。朝や夜に電話がかかってくることもあるので覚えておきましょう。フレックスタイム制は、上手に活用しなければ業務効率が落ちてしまうケースもあるのです。社内でコミュニケーションをとれる体制を確立し、それぞれが最大限のパフォーマンスを発揮できることがフレックスタイム制導入の条件だといえます。

フレックスタイム制の実態を聞いてみるのがおすすめ

フレックスタイム制の仕組みやメリット・デメリットを見てもイメージが湧いてこない場合、実際に企業説明会やOB・OG訪問でどのように働いているか聞くことをおすすめします。社内の雰囲気も掴めるうえ、働いた際の1日の流れも分かってまさに一石二鳥だといえるでしょう。

フレックスタイム制で働いた場合残業はどうなる?

フレックスタイム制で働いた場合、残業はどうなるのでしょうか。通常の企業では1日8時間、週40時間と労働時間が定められているため、その規定を超えた分は残業扱いになります。ただ、フレックスタイム制では、1日10時間働いたからといって必ず残業が発生するわけではありません。

一定期間の労働時間が決まっていて、それを超えて初めて残業という扱いになるのです。1か月の労働時間が160時間の場合、170時間働くと10時間分の残業代が支払われます。1日12時間働いた日があっても、一定期間の労働時間内に収まっていれば時間外労働にはならないので覚えておいてください。

労働時間が不足した場合は?

フレックスタイム制で働いていると、自分の労働時間が一定期間の所定時間を満たさない恐れがあります。その際には、翌月に不足分を持ち越して働くことになります。また、会社によっては不足分の給料をカットされることもあるのです。自分で労働時間をしっかり管理しておかなければ、自分に負担がかかってしまうので注意が必要です。

まとめ

フレックスタイム制の働き方やメリット、デメリットについて解説しました。1日に働く時間帯が決まっておらず、長く働く日・短く働く日を作って社員のプライベートを確保できる魅力的な制度です。仕事と私生活にメリハリがついて、意欲的に働くことにつながるでしょう。ただ、ほかの社員とコミュニケーションをとりにくくなるといったデメリットもあるため、よい面も悪い面も考慮してフレックスタイム制を導入している企業で働くことを検討してください。

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