主任技術者とは?専任と非専任の違いも解説!
主任技術者は、実務経験を経て国家資格を取得している建設工事の施工を管理する人です。施工の技術上の管理を行うことが求められているのです。また、監理技術者は主任技術者の上位職に該当します。用語の意味を紐解きながら内容を見ていきましょう。建設工事の現場で勤務したいと考えている人に、今回の記事はおすすめです。
監理技術者とは別モノ?主任技術者とは
主任技術者とは、建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる人というように法律上では定義されています。また、建設現場に専任で配置しなければいけないなどの規定が定められているので、そちらも確認しておく必要があるのです。
もくじ
主任技術者の特徴
公共性のある建物や多数の人が使用する施設などの建設工事に携わるときに、専任で主任技術者が工事を担うことになります。また、1件の元請工事につき下請け業者への発注額が4,000万円未満の場合に担うようになっているのです。
そして、建築一式工事が6,000万円未満の場合にも担うことになります。これにより、すべての建築工事でこのように定められているわけではないことが分かるでしょう。
施工計画の作成
建設工事を開始する前に施工計画が完成していないと開始できません。また、計画には人員や材料などが盛り込まれている必要があるため、正確な数字を記載しておく必要があります。
綿密に計画を立てることが求められています。必ず引き渡し日までに工事が完了するように計画を立てます。
工程管理
日々の建設工事の進捗状況を把握するために必要な管理です。現場から送られてくる写真を確認して報告書を提出します。計画通りに作業が進行していれば問題ありませんが、そうではない場合は計画の見直しに取り掛かる必要があるのです。
異常が見つかった場合は、できる限り早く対策を講じる必要があります。残された時間が短くなればなるほど、圧倒的に不利な状況に追い込まれるからです。
品質管理
発注者が求めている品質を追求しなければいけません。また、最近では職人のマナーやモラルの向上などを求める声も多くなっているため、マナーを守った喫煙や近隣住民に配慮した行動をとるように指導することもあります。
そして、工事の品質も高いものでなければいけません。必要としているところに資金を投入して、節約するところは費用を抑えるなどの取り組みが求められています。
取引先との交渉
施工計画を立てるときに、建設工事に必要な人員や機材などを取引先と調整しなければいけないときがあります。スムーズに調整が進めば問題ありませんが、ときには交渉になることも。交渉力も求められているスキルです。
そのほかの業務
技術上の指導監督も業務になので、デスクワークの合間に現場を確認します。職人に現場を任せきりにしていると管理が行き届かなくなっている場合があるので、必ず自分の目で確認するようにしましょう。
また、取引先との交渉だけではなく、近隣住民に工事の説明を行うこともあります。そのため、ある程度のコミュニケーション能力も求められているのです。
監理技術者と資格の違い
主任技術者に必要な資格は、2級土木施工管理技士、2級建築施工管理技士、二級建築士などとなっています。一方、監理技術者は1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、一級建築士などの資格が必要です。
また、監理技術者講習修了者も該当します。監理技術者のほうが上位職に該当するので、高度なスキルが求められているのです。
工事1件当たりの発注額の違い
主任技術者は、土木一式工事などは4,000万円未満、建築一式工事では6,000万円未満となっています。監理技術者は、土木一式工事は4,000万円以上、建築一式工事は6,000万円以上です。
監理技術者は、外注金額の上限が設定されていないので、主任技術者の能力の範囲を超えた場合に建設工事の対応にあたることになります。
資格証の携帯および提示義務の違い
主任技術者は、資格証の携帯や提示義務はありません。しかし、監理技術者は公共工事の場面において専任で配置するべき工事のときは、資格証の携帯と提示義務があります。
専任と非専任の違いは?
最近は主任技術者の不足が問題になっています。それを補うために非専任が現場で活躍しているのです。
専任と非専任の意味
ひとつの建設現場だけを担当する主任技術者が専任、複数の建設現場を担当する主任技術者を非専任といいます。よく混同されるのは、専任の主任技術者は現場に常駐しなければいけないととらえられていることです。
結論として、現場を担当する主任技術者ですが、必ずしも現場に常駐する必要はありません。その理由は、主任技術者はそのほかの業務も担っているので、常に現場に滞在することが難しいからです。
その分、非専任の主任技術者が、技術上の指導監督の業務を担うことになります。また、法律でも現場に常駐しなければいけないという一文は記載されていません。
非専任が人材不足を補っている
最近は主任技術者の人員が不足しているので、非専任として人員を採用することで、主任技術者不足に起因する悩みを解消できています。非専任で勤務できる人材を確保できると、複数の現場を補佐できるようになるので、専任の主任技術者が取引先と調整することになっても、その間の現場進出を非専任の主任技術者に任せることが可能なのです。
また、給与も専任と比較すると安いので人件費の削減にもつながります。
主任技術者になるために必要な資格・経験
主任技術者に必要な資格は、誰でも受験資格が得られるわけではありません。実務経験を経て国家資格を取得する必要があるので、計画的に勉強を進めましょう。
国家資格が必要
主任技術者は、1級または2級の建築施工管理技士、1級または2級の土木施工管理技士、1級または2級の管工事施工管理技士、1級または2級の電気工事施工管理技士などの施工管理の業務に従事できる能力があることを公的に示した資格が必要です。ただし、業種により求められている資格が異なります。
たとえば、1級または2級の電気工事施工管理技士の資格を取得すると、電気工事の主任技術者にはなれますが、1級または2級の建築施工管理技士の資格を取得しても、電気工事の主任技術者にはなれません。
学歴と実務経験
多くの人は、建築学、土木工学、電気工学などを専攻できる教育機関で学んでから、実務経験を経て試験を受験しています。学歴などの違いにより、求められている実務経験の長さが異なるので確認しましょう。
高校の指定学科を卒業した人は、実務経験が5年以上必要になります。高等専門学校の指定学科を卒業した人は、実務経験が3年以上必要です。
大学の指定学科を卒業した人は、実務経験が3年以上必要になります。また、上記以外の学歴でも実務経験があれば、資格を取得するために試験を受験できます。ただし、この場合の実務経験は10年以上必要です。
まとめ
主任技術者も監理技術者も、業界に精通していなければ聞き慣れない言葉ですが、両者には保有している資格や工事1件当たりの発注額などに違いがあるので混同しないようにしましょう。また、主任技術者のなかでも専任と非専任が設けられています。
ひとつの現場を担当する専任の補佐を行うのが非専任の役割です。主任技術者の人材不足を補う観点からも重要視されています。資格を保有している人で、主任技術者として勤務したい人は転職エージェントのサービスを利用してみましょう。最新の人材募集情報を確認してください。