転職活動の「軸」とは?選考に通りやすくなる軸の決め方を紹介
転職活動を行う際は、業界を問わず「転職活動の軸」を明確に定めて行動することが大切です。軸が明確になれば就職活動中の選択で迷うことが減り、選考においても好印象を与えやすくなります。本記事では転職活動の方針決定や行動指針について詳しく紹介するので、転職活動をする予定の人はぜひ読んでみてください。
転職活動における軸とは
転職活動を進めるうえで重要なのが、自分自身の「転職活動の軸」を明確にすることです。軸とは、転職先を選ぶ際に譲れない条件や重視したいポイントを指します。
代表的な軸としては、仕事内容、収入面、勤務形態、ワークライフバランス、経営方針、将来を見据えたキャリアの6つが挙げられます。それぞれの軸には具体的なこだわり条件があります。
たとえば、仕事内容であればスキルや経験を活かせるか、自分の社内での役割や担当業務が含まれます。収入面では年収やボーナス、昇給の可能性が条件となり、勤務形態ではフルタイムやリモートワーク、フレックス制、勤務地などがポイントです。
ワークライフバランスでは、有給の消化率や残業時間が重視されます。経営方針では会社のビジョンや経営の方向性、提供する商品やサービスへの共感度、将来を見据えたキャリアではキャリアアップや自己成長の可能性が軸に含まれます。
軸に関する基本的な考え方
軸を設定する際の基本的な考え方は、自分の本音や転職動機に沿うことです。給与に不満がある場合は収入面を軸に置き、残業の多さが悩みであればワークライフバランスを軸とするのが自然です。
しかし、軸を決める際には単に希望や理想だけでなく、自分のこれまでの経験やスキルを踏まえて現実的に判断することが求められます。
たとえば収入面を軸にする場合、現状の能力や経験で本当に年収を上げられるかどうかを検討する必要があるでしょう。非現実的な軸に固執すると、応募先の選定や面接準備が難しくなり、転職活動がスムーズに進まない可能性があります。
転職活動の軸の作り方
前述のとおり、転職活動を成功させるためには、自分自身の「転職活動の軸」を明確にしておくことが欠かせません。そこで有効なのが、段階的に整理を行いながら軸を形作る方法です。ここでは、そのための4つのステップを紹介します。
転職理由を書き出す
まず第一のステップは「転職したい理由を書き出す」ことです。転職を考える背景には、給与への不満や勤務時間の長さ、勤務地の制約、経営方針への疑問、人間関係の悩み、あるいは成長機会の不足など、何らかの要因が存在します。
これらを頭の中で漠然と考えるだけでなく、紙やメモ帳に言語化することで、自分が本当に求めているものが明確になっていきます。
キャリア・スキルを書き出す
次のステップは「過去のキャリア・スキルを書き出す」作業です。転職したい理由は理想や希望を可視化するプロセスですが、キャリアやスキルの棚卸しは現実的な基盤を築く作業となります。
これまで担当してきた業務内容を振り返り、その中で培ったスキルや得られた成果を具体的に書き出すことが推奨されます。例えば建築設計職であれば「どのような建物の建築設計にどのように携わったか」といった実績が求められます。
こうした具体例を整理することで、自分の市場価値を客観的に理解できるだけでなく、面接時に説得力を持って自己アピールすることにもつながります。
条件を明確にする
第三のステップは「こだわり条件を明確にする」ことです。転職活動を進める中では、給与や勤務地、休日数、勤務形態、福利厚生、業務内容、成長機会など数多くの要素が判断基準になります。
しかし、全てを満たす理想的な企業に出会うのは難しいため、まずは自分が仕事を選ぶ際に譲れない条件を抽出することが大切です。このとき「年収○○万円以上」「に日勤のみ」など具体的に数値や形態に落とし込むことで、求人情報を取捨選択する際に迷いが減ります。
また、過去のキャリアやスキルとの整合性を踏まえて、現実的な条件設定を行うことも欠かせません。理想ばかりを追い求めると、かえって転職活動の幅を狭めてしまう危険性があるからです。
優先順位をつける
そして最後のステップは「優先順位をつける」段階です。ここでは、明確にしたこだわり条件に対して重要度を設定していきます。例えば5段階評価で「給与は重要度5」「勤務地は重要度3」といった形で順位付けを行うと、自分が何を最も重視しているのかが見えてきます。
すべての条件を完璧に満たす企業は存在しないため、妥協できる部分とどうしても譲れない部分を明確にすることが成功のカギとなります。
この優先順位づけによって最も重要度が高い条件が「転職活動の軸」となり、応募企業選びや面接での発言に一貫性をもたらします。場合によっては、複数の条件の重要度が拮抗することもありますが、その場合は志望企業に合わせて柔軟に調整しましょう。
選考に通りやすくなる転職活動の軸
企業選考においては、ただ軸を口にするだけでは説明として不十分です。面接官に納得感を与えるためには、軸と話の内容に一貫性があること、過去の経験やスキルと関連付けて説明できること、さらに応募先企業に合わせて語れることが求められます。
軸に一貫性があるか
面接における一貫性とは、面接の冒頭から終了までの間、話の内容が矛盾せず、軸がぶれていないことを意味します。たとえば、転職活動の軸を「仕事内容」と伝えたにもかかわらず、志望動機が「給料が高いから」や「休日が多いから」といった内容になると、一貫性が欠如していると判断されてしまいます。
話に矛盾があると、面接官は「本当にその意思があるのか」「嘘をついているのではないか」と疑念を抱きやすくなります。そのため、軸を設定する際には、自己分析を徹底し、自分の希望や経験と軸を整合させることが重要です。しっかり準備された軸は、自然と志望動機との一貫性を保つことができます。
過去のエピソードとの関連性
転職活動の軸を裏付ける具体的な経験やスキルを示すことで、面接官にその軸が単なる希望や願望ではなく、現実に即したものであることを伝えられます。
例えば、軸が「仕事内容」で技術的スキルをアピールしたい場合、過去の業務で特定の技術を活用して業務改善を行った経験や、その結果として得られた成果を具体的に説明すると効果的です。
「新しい技術を導入して作業効率を30%向上させた」といった具体的な数値や結果を添えると、経験と軸の関連性が明確になり、面接官に応募者のスキルや価値をイメージさせやすくなります。過去のエピソードを活用することで、単なる言葉ではなく実績に基づく説得力のある軸の提示が可能となります。
志望企業に対して軸がマッチしているか
応募先企業のビジョンや事業展開を事前に調査し、企業のニーズと自分の経験や軸を結びつけて語ることが重要です。たとえば、応募先が海外市場に進出予定である場合、過去の国際ビジネス経験や海外市場での成果を前面に出すことで、企業にとって自分が貢献できる人物であることを印象付けられます。
場合によっては、自分の軸の優先順位を調整し、企業の求める人物像に合わせて表現を変える柔軟性も重要です。事前のリサーチと準備によって、軸を企業側の視点に沿わせることで、面接官に強い印象を残すことが可能となります。
まとめ
転職活動を成功させるためには、自分自身の「転職活動の軸」を明確にすることが不可欠です。軸とは、仕事内容や収入、勤務形態、ワークライフバランス、経営方針、将来のキャリアなど、譲れない条件や重視したいポイントを指します。軸を設定する際は、転職理由や過去のキャリア・スキルを整理し、具体的な条件を明確化、さらに優先順位をつけることが重要です。また、面接では軸の一貫性を保ち、過去の実績と関連付けて語ることで説得力が増し、志望企業に合わせて表現を調整することで好印象を与えられます。こうした準備により、選考通過率を高め、納得のいく転職を実現できるでしょう。