転職エージェントを掛け持ちする場合の注意点を紹介
転職活動をしている人が抱きやすい疑問として「複数の転職エージェントに登録しても問題ないのか」というものがあります。結論から言うと、転職エージェントの掛け持ちにはとくに問題はなく、掛け持ちすることで得られるメリットも多いです。しかし、転職エージェントの掛け持ちにはいくつかの注意点もあるので、ぜひ本記事で確認してください。
転職エージェントを掛け持ちするメリット
まずは、転職エージェントを複数掛け持ちするメリットを見ていきましょう。主なメリットは、下記の2つです。
求人の幅が広がる
掛け持ちの利点として、まず「紹介される求人の幅が広がる」点が挙げられます。エージェントによっては一般には公開されていない「非公開求人」や、そのエージェントのみが扱う「独占求人」を保有しており、利用先を限定すると得られる情報が偏ってしまう可能性があります。
複数利用することで、より多様な求人情報に触れることができ、選択肢の幅を確保可能です。加えて、企業との関係性が深いエージェントであれば、応募者の経歴やスキルをもとに新しいポジションを打診してもらえることもあり、キャリアの可能性が広がる点も見逃せません。
多角的な視点からのアドバイス
さらに「多角的なアドバイスを得られる」という点も大きなメリットです。転職エージェントではキャリアアドバイザーとの面談を通じて、キャリアプランや応募戦略に関する助言を受けられますが、その内容はアドバイザーの経験や考え方に左右されます。
場合によっては「転職せず現職に残るべき」との提案がされることもあるなど、一人の視点に頼ると判断が偏る恐れがあります。一方で複数のエージェントを活用すれば、異なる視点からの意見を比較し、自分にとってより納得感のある意思決定を行えるでしょう。
また、キャリアアドバイザーとの相性の合う・合わないもあるため、複数人と接点を持つことで自分に合った相談相手を見つけやすくなるという点もあります。
転職エージェントを掛け持ちする場合の注意点
転職エージェントの掛け持ちには、求人の選択肢を広げ、多角的なアドバイスを受けられるメリットがある一方、利用者側が注意すべき点も存在します。掛け持ちを行う際には、単に登録して求人を紹介してもらうだけでなく、エージェントとの信頼関係を保ちながら活動を効率的に進める工夫が求められます。
掛け持ちしていることを伝える
まず重要なのは「事前に掛け持ちしていることを伝える」という点です。転職エージェントを複数利用している事実を伝えるかどうかは、最終的には求職者の判断に委ねられます。
隠しても問題になるケースは少ないものの、途中で選考が進んだ段階になって伝えるよりは、初めから伝えておいた方がアドバイザーにとって状況を把握しやすく、的確なアドバイスを受けやすくなります。
さらに、オープンに情報を共有することで担当者との信頼関係も築きやすくなるため、結果的に自分に有利に働く可能性が高いといえるでしょう。
選考状況を伝える
次に「選考状況を伝えて内定時期を揃えてもらう」ことも大切です。複数の企業で同時に選考が進んでいる場合、それぞれの内定が出るタイミングがずれてしまうと、比較検討の機会を逃してしまう可能性があります。
転職エージェントは基本的に自社経由の求人に関してのみスケジュールを調整するため、他社の選考については把握していません。しかし、あらかじめ「他エージェント経由でも応募しており、この時期に複数社から内定を得て比較したい」と伝えておくことで、自社紹介案件について選考を早めるなどの調整を試みてくれる場合があります。
例えば「A社で進行中の2社と同じタイミングでB社の選考を終えたいので、進行を早めてもらいたい」といった具体的な依頼をすることで、転職活動全体を効率的に進めやすくなります。
応募企業の重複を避ける
さらに「応募企業の重複を避けること」も欠かせない注意点です。複数のエージェントを利用していると、それぞれから紹介される求人の中に同じ企業が含まれることがあります。誤って同じ企業に複数経路から応募してしまうと、企業側に混乱を与えるだけでなく、求職者自身の印象も悪化しかねません。
場合によっては「管理ができていない」と判断され、内定に不利に働く恐れもあります。そのため、応募の際には必ず企業名を確認し、自分で一覧を作って管理するなど、重複を防ぐ工夫が必要です。
転職エージェントを上手に掛け持ち利用するコツ
最後に、転職エージェントの掛け持ちを上手に行うコツを紹介します。
最初は2~3社で様子を見る
まず第一に重要なのは「最初は2〜3社に申し込み様子を見る」という姿勢です。転職エージェントを一度に多く掛け持ちすると、各担当者とのやり取りや求人情報の整理、スケジュール調整が重なり、管理が煩雑になりがちです。
そのため、最初は2〜3社程度に絞り、どの程度の負担がかかるかを確認しながら進めるのが賢明です。
その時点でサポート内容や求人の質に満足できれば継続して利用すればよく、さらに幅を広げたいと感じた場合は、状況を見ながら1社ずつ増やす方法が適しています。これにより、活動が手一杯になってしまうリスクを避けられるでしょう。
スケジュールのこまめな共有
次に「スケジュールをこまめに共有しておく」ことも欠かせません。転職活動が進むにつれて、複数の企業から面接の案内が届き、日程が重なりやすくなります。とくに現職に就いている場合、仕事と面接の両立は容易ではありません。
そこで、自分が面接可能な日時を随時更新し、転職エージェントに伝えておくことが重要になります。情報を共有することで、担当者も調整をスムーズに行えるでしょう。
これにより、効率よく面接を進められるだけでなく、無理のないスケジュール管理が可能になります。結果として、仕事への影響を最小限に抑えつつ、転職活動を継続することができます。
どのようなサポートが必要か明示する
さらに「どのようにサポートしてほしいのかを伝える」ことも、複数利用を成功させるための大きなポイントです。各エージェントは求人紹介やアドバイスに強みや特色を持っていますが、受け身でいるだけでは十分な支援を得られないことがあります。
例えば「A社からはこのような求人を紹介されましたが、御社でも同様の案件はありますか?」「A社では特定業界へのキャリアチェンジを提案されましたが、他の選択肢はあるでしょうか」といった具体的な例を示すことで、担当者が求職者の状況を理解しやすくなり、より的確な提案につながります。
悩み・困りごとを率直に伝える
また、転職に関する悩みや困りごとを率直に伝えることも有効です。
「キャリアの方向性が定まらないので、まず棚卸しからサポートしてほしい」「初めての転職なので、応募書類の書き方や面接対策を重点的に支援してほしい」といった要望を伝えることで、エージェントは求職者のニーズに即した支援を行いやすくなります。
これは単に求人紹介を受けるだけでなく、自分の弱点を補強するサポートを引き出す手段としても効果的です。
まとめ
転職エージェントの掛け持ちは、求人の幅を広げたり多角的なアドバイスを得られたりと多くのメリットがある一方で、注意すべきポイントも存在します。掛け持ちしていることや進行中の選考状況を共有することで、アドバイザーから的確な支援を受けやすくなり、内定時期の調整なども期待できます。また、複数のエージェントを利用する際には、同じ企業に重複応募しないよう気をつけましょう。さらに効率的に活用するためには、最初は2〜3社に絞って様子を見たり、スケジュールをこまめに共有したりする工夫が必要です。加えて、自分が求めているサポート内容やキャリアの悩みを率直に伝えることで、各エージェントの強みを引き出しやすくなります。こうした工夫を実践すれば、掛け持ちによる負担を最小限に抑えつつ、自分に合った求人やキャリアの選択肢を広げられます。