建築設計業への転職に役立つ国家資格!管理建築士を取得するまでの流れ

公開日:2021/08/01  


建設業界に転職したいと考えたとき、「なにか資格を持っていたほうが有利なのでは?」と考えてはいませんか。建築設計業に転職を考えている場合、どのような資格を取得していると有利なのでしょうか。この記事では、建築設計業界で働きたい人におすすめの管理建築士について解説します。どういう資格なのか、しっかりチェックしましょう。

管理建築士とは?

管理建築士は、2008年から建築士事務所の管理で必要な資格として定められました。建築士事務所で技術管理に関係する総括的な業務を行います。

業務量の管理をする

管理建築士は、受託している仕事についてどれくらいの建築士や技術者が必要で、どれくらいの規模の仕事なのか把握しなければいけません。受けた仕事は、自社で本当に実行可能なのか、技術者に負担がかからないのかということも見極める必要があります。もし自社で賄いきれない場合は、協力を仰ぐ先も決めなければいけないです。

業務の難易度を管理する

どれくらいの難易度の仕事なのかによって、最適な担当者を決めるのも管理建築士の役割です。スケジュール通りに業務が進んでいるかどうか、人員不足になっていないかなどもこまめにチェックし、管理していきます。

建築士の管理

建築士の管理も管理建築士の仕事です。所属している建築士について、性格や技術レベルなどしっかり理解しておかなければいけません。

管理建築士の注意点

管理建築士は、建築士事務所に常駐していなければいけません。ひとつの事務所にひとりの管理建築士が必要です。ひとり以上も不可となります。独立して建築士事務所をつくる場合、代表者が管理建築士資格を取得していることが多いです。そのため、管理建築士は、建築士として将来独立することも視野に入れている人には、必須の資格といえるでしょう。

兼務はできない

管理建築士は、専任が基本なので兼務することはできません。兼業や副業ができないという決まりがあるので、状況によっては管理建築士を別に在籍させなければいけない場合もあります。管理建築士は、建築士事務所だけで仕事をしているわけではありません。会社員でも管理建築士の資格が必要となるケースがあります。たとえば、大手ゼネコン、ハウスメーカーなどで、本支店において建築士事務所登録がある場合は、それぞれの場所で管理建築士が必要です。

管理建築士がいなくなると事務所は廃業になってしまう

建築士事務所で管理建築士が居なくなってしまった場合は、事務所が廃業に追い込まれる可能性が高いです。建築士法で定められていて、必ず常駐が必要なので、居なくなってしまうと事務所を営業し続けることができないのです。

管理建築士講習の受験資格

管理建築士になりたい場合、どのようにすればよいのでしょうか。管理建築士は誰でも取得できる資格ではありません。受験のためには3つの条件を満たしていなければいけません。

・一級建築士、二級建築士、木造建築士である
・国土交通省の登録を受けている機関で管理建築士の講習を受けて課程を修了する
・建築士として3年以上設計経験がある、国土交通省令で定めている業務の業務経験がある

この3つがクリアできていれば、受験資格を得ることができます。

管理建築士の講習を受けるためには、一級建築士、二級建築士、木造建築士であることと、建築士として3年以上設計を経験している、国土交通省令で定めている業務の経験がなければいけないので、まずはこちらの条件からクリアする必要があるでしょう。

■管理建築士の講習を受ける方法

管理建築士の講習を受ける方法は、まず「公益財団法人建築技術教育普及センター」の公式サイトから、講習地や講習日の確認をします。現在、新型コロナウィルス感染症への対応として、講習を自宅で受けることができる動画視聴が導入されています。

動画視聴を行う場合は、別途申請が必要になるので注意してください。講習地と講習日の確認ができたら、申込書をダウンロードして必要事項を記入します。申込書には、写真を貼り付けてください。受講手数料を納付し、申込書を提出すると受講票が発行されます。受講票が届いたら、管理建築士の講習が開始されます。

■管理建築士講習に参加するための必要書類は?

管理建築士講習に参加するために必要な書類は、受講申込書・証明写真・受講料の振込明細書・建築士免許証明書の写し・業務経験証明書です。この中で、業務経験明細書は書き方に悩む人もいるでしょう。この書類で、講習を受ける資格があるかどうかが決まるので、漏れがないように記入しなければいけません。

業務経歴書には、勤務先の名称・勤務先の所在地・建築士としての業務内容、経験内容・実務経験の期間を記載することになります。証明書のフォーマットは、講習を行っている団体によって多少違いがあるので、しっかり確認して記入するようにしてください。

建築士としての実務経験については、自分以外の第三者の建築士が証明しなければいけないことになっています。第三者の建築士の自署と照明者の建築士免許の種類、建築士の登録番号の記載も必要なので、事前に記入してもらえる建築士さんを探しておく必要があります。実務経験は、建築士試験に合格して免許を登録してからの経験年数となるので、試験合格後、すぐに登録できていなかったという人は注意してください。

■管理建築士の講習内容は?

管理建築士の講習は、1日で実施されます。テキストを使った講義が5時間と、修了考査が1時間の計6時間です。講義と修了考査は同日に受けなければいけません。講義を一部でも欠席してしまうと、修了考査を受けることができないので注意しましょう。

管理建築士の講習では、建築士法や建築基準法から建築士事務所の業務に関して、建築物の品質確保に関して、契約や履行に関してなどを学びます。講習後の修了考査は、過去の合格率がほぼ90%以上で発表されていることから、講習をしっかりと受けていれば合格できる内容といえるでしょう。修了考査で合格すれば、1ヶ月ほどで管理建築士講習を受けた修了証が交付されます。

管理建築士を取得するまでの流れ

管理建築士を取得するまでの流れについて簡単にまとめておきます。これから管理建築士の資格を取得したい場合は、チェックしてください。

■管理建築士取得のためのステップ

管理建築士を取得するため、まずは建築士試験に合格しなければなりません。建築士試験に合格した後は、指定の実務経験を積んで、建築士免許の登録を完了させましょう。建築士免許の登録が完了したら、実務経験を積みます。建築士事務所で3年以上実務経験が必要です。

実務経験は、建築士の種類は問われないので、どのような形でも通算3年となれば問題ありません。二級建築士から一級建築士になった場合でも、トータルの経験年数が3年あれば大丈夫です。この条件がクリアできたら、管理建築士講習を受講します。管理建築士講習を受講して修了できれば管理建築士としての資格を得たことになります。その後、建築士事務所を解説する場合は、開設手続きも必要です。

 

管理建築士資格取得について、資格取得の方法や流れを紹介しました。管理建築士は建築士事務所に欠かせない存在なので、転職先も見つかりやすいです。もし経験を積んで、新しい職場で働きたいと思った場合は、転職エージェントに相談してみてください。転職エージェントを利用すれば、あなたのスキルに合った職場を見つけやすくなりますよ。

おすすめ関連記事

検索

READ MORE

建築設計業業界でも、転職エージェントはキャリアチェンジ希望者にとって強い味方となっています。しかし、未経験の場合、転職エージェントを有効活用できるのか疑問に思う方も多いでしょう。今回の記事で

続きを読む

近年、建設業界における人手不足や高齢化が深刻化しており、生産性向上や安全性の確保が一刻も早い課題となっています。こうした課題を解決するために、AI技術の活用が期待されています。本記事では、建

続きを読む

建築設計業への転職を成功させるためには、自分に合ったキャリアサポート業者を選ぶことが重要です。特化型エージェントと一般エージェント、それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解し、自分の経験や

続きを読む

建設設計業界でも転職エージェントの利用が増えており、その役割やメリットは多岐にわたります。本記事では、建設設計業に特化した視点から、転職エージェントの利用方法やそのメリット・デメリットについ

続きを読む

建築業界での転職はキャリアアップや新たな挑戦の絶好の機会ですが、慎重に進めないと失敗するリスクもあります。たとえば、準備不足や自分の強みを活かせない選択が失敗の原因となります。本記事では、転

続きを読む

設計の世界で成功するためには、単に美的センスがあるだけでは不十分です。問題解決能力やクリエイティブな思考、細部へのこだわりが求められます。本記事では、設計士に向いている人の特徴や、向いていな

続きを読む

設計士の就職・転職先として設計事務所が一般的にあげられますが、実はそれだけではありません。ゼネコン、ハウスメーカー、アトリエ事務所など、多様な分野で設計士のスキルは求められています。設計の専

続きを読む

建築業界のなかで収入が高い職種を知ることは、キャリアパスを考えるうえで非常に重要です。本記事では、建築士や技術士など、とくに高収入が期待できる職種について取り上げ、その職種で求められる資格や

続きを読む

宅建士とは、不動産分野で専門的な知識を有する資格です。本記事では、建築設計業界でも活躍の場が広がりつつある宅建士のスキルに焦点を当て、どのようなメリットがあるのかについて探ります。建築や不動

続きを読む

プラントエンジニアはプラント設計の専門家で、企画から維持管理まで幅広い役割を果たしています。その高度な専門性とスキルはモノづくりに欠かせず、将来性も期待されているのです。この記事では、プラン

続きを読む