中高年でも建築業界に転職することはできる?
建築業界で働きたいけれど、年齢的に無理ではないかと思っている人もいるでしょう。20代のように第二新卒として認められる年齢であれば他の業界からでも転職できる可能性があっても、中高年になってしまうと諦めてしまうことがよくあります。この記事では中高年になってからも建築業界に転職できる可能性があるのか詳しく説明します。
建築業界の状況から中高年の転職が可能かを考える
建築業界に限ったことではなく、ほとんどの業界では年齢が高い人よりも若い人を求める傾向があります。若いうちに入社してくれた方が社内の仕組みに慣れ、必要とされる業務を的確にこなせるようになるのに時間がかからないのが理由の一つです。若い方が習得能力や学習能力が高い傾向があるため、若い人たちの方が受け入れやすいと考えられています。
また、初期教育をして一人前になった後、定年退職をするまでに働いてくれる期間も長くなります。そのため、教育コストがかかったとしても長期的に見れば企業に大きな利益をもたらしてくれると考えられているのが若い人の特徴です。とくに未経験の場合にはこのような考え方の影響を大きく受けることになります。即戦力であれば中高年であっても喜んで採用してくれる企業が見つかりやすいのも、どの業界にも共通することです。
ただ、実際には未経験の中高年を積極的に採用しているケースもあります。介護業界や運送業界が代表例で、人材不足が著しいにもかかわらず需要が高くなっていることから人材確保が大きな課題になっているのが共通点です。建築業界においても同じような状況があれば中年以降になったとしても転職できる可能性があると考えられるでしょう。
実際には人材の不足は多かれ少なかれ起こっている状況があります。ただ、どの職種も不足しているという分けではありません。マイホームブームがピークになっていたときには一戸建てのマイホームを建てたいと考える人も多く、建売住宅も飛ぶように売れていました。
マンションやアパートも次々に建設され、竣工前に満員御礼になっていることも珍しくなかったのは確かです。そのころに比べると消費傾向が弱まっていることから、それほど建築や設計における需要が高いまま維持しているわけではないのです。しかし、それでも中年以上になった人でも転職できる可能性が残されています。
顧客獲得のための職種では可能性がある
建設業界ではマイホームブームがやや収まった影響で顧客を獲得することが大きな課題となっています。建設や設計、施工管理などを行える人材は揃っているものの、顧客は今までずっと自分から問い合わせに来てくれていたため、あまり顧客獲得のための職種が手厚くなっていない現場が多いのです。
典型的な職種として挙げられるのが営業職です。新規顧客を開拓する営業職はBtoCだけでなくBtoBでも重視されています。顧客との新しい接点を作るのは販売機会を増やすための基本なので業界を問わずに必要とされているのは確かでしょう。
とくに建築の場合には消費者がハウスメーカーや工務店などの多くの選択肢から選べる状況があるため、いかにして新規顧客にアプローチするかが大きな課題になっています。そのため、他の業界で会っても営業職として経験を積んできた人なら戦力になる可能性が高いと期待してもらうことができるのが現状です。営業職については未経験の人でも適性があれば雇ってくれることが多くなっています。
給料を歩合制にすることで雇用リスクを半減させることができるからです。働く側としても利益を出せば自分の懐が潤うことからやりがいが出るでしょう。営業と同様にマーケティングの人材も重視されています。インバウンドマーケティングが重視されるようになったものの、ノウハウを持っている人材がいなくて世の中のトレンドに乗り遅れている現場も少なくありません。
マーケティングは顧客接点を増やすための基本で、利益を生めるような形を作り上げるための重要な役割を果たします。マーケターとしての経験が求められますが、他の業界から転職できる可能性は充分にあるでしょう。マーケティングと合わせて広報や宣伝の担当者も募集されることが多く、いくつものチャネルを駆使できる経験者であれば他の業界で働いてきた人も歓迎されています。
この他にも業務効率化や業務管理の職種も可能性があるので検討してみましょう。施工管理システムや原価計算システムなどの建築や設計に関わる業務効率化のシステムを使いこなせるというだけでも有利になります。
また、エンジニアとしてこのようなシステムの運用ができるという人も重宝されているのが現状です。新しい情報システムを導入してコストを削減し、業務をスムーズに行えるようにしたいという現場が増えてきました。その施策の中心を担う人材として期待してもらうことができるでしょう。
経験者なら転職先は幅広く存在する
今まで未経験の中高年の人が建築業界に転職するという流れで話をしてきましたが、業界内で転職したいというケースもあるでしょう。今までずっと大手会社で二級建築士として働いてきたけれど、地方の小さな工務店に転職したいという人もいます。
逆に工務店で設備設計を担当してきたけれど、大手のハウスメーカーに転職したいと考える人もいます。このように専門的な職種で働いてきた人が業界内で転職したいという場合には、建築業界なら候補がたくさん見つかります。年齢的に高かったとしても、速やかに現場に慣れて即戦力として活躍してくれる人材であれば歓迎したいという企業は多くなっています。
人材的に充足してしまっている小さな個人経営の工務店などではあまり求人が出ていませんが、大手の工務店やハウスメーカー、建設会社などであれば即戦力がよく採用されています。事業拡大を狙っていたり、サービスの独自性を生み出そうとしたり、技術開発を進めて競合他社との差別化をしようとしたりしていることが多いからです。
そのため、とくに技術者の需要が高く、他社で培ってきたノウハウを生かしてくれるのではないかと期待されている場合がほとんどです。また、中堅企業では関連職種であれば受け入れてくれることがよくあります。中堅企業では複数の仕事を兼任することが多いからです。
今まではずっと建築を担ってきたけれど、資格も取ったので設備も担当するといった幅広いスキルがある人は歓迎されています。一つは即戦力のスキルがあることが求められますが、それ以外にも何か強みを持っていると優遇してもらえるのです。中高年の場合には年齢的にマネジメントスキルも高く評価されます。今までずっとマネジメントをしてきたという場合には候補が飛躍的に増えるので、強みとして活かしていきましょう。
若い人と違って中高年の人は転職が難しいと考えてしまいがちですが、人材が不足しがちな営業やマーケティングでは未経験の人すら採用している企業があります。建築業界では経験者であれば中高年の人でも即戦力の人材として歓迎してくれる企業が多く、幅広い転職先を見つけることが可能です。
今まで専門としてきた業務以外のスキルや、マネジメントスキルがあると高く評価されます。中高年になると将来性を考えて雇ってくれることはあまりありませんが、実力があってすぐに戦力になると期待できる人材は積極的に採用されています。年齢的に厳しいからと言って諦めてしまわずに、何をやりたいかをよく考えて転職に挑んでみましょう。