建築設計業界における30代の転職とは?未経験からでも転職できる?
建物をつくることで人の暮らしを豊かにする建築設計業界。社会への貢献度も高く、魅力の多い業界といえるでしょう。この記事では、そんな建築設計業界における30代での転職について解説します。これから建設業界への転職を考えている30代の方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
建築設計業界の30代の転職事情
業界内の転職
建築設計業界内における30代の転職は、比較的容易です。一般的に、35歳以上の転職は難しいといわれていますが、建築設計業界の30代は一般的なサラリーマンとは違い、専門的な技術をもつ実務者として評価される傾向があります。より高い報酬やスキルアップを目指すことも可能です。各業界への転職も、ほかの職種への転職もあまり困ることはないでしょう。
建築設計業界未経験の30代の転職
30代で異業界へ転職しようと考えている人のなかには「年齢的に難しいのかも」と不安に思う人もいるでしょう。現実をお伝えすれば、建築設計業界未経験の30代の人が建築設計業界へ転職するのは、容易なことではありません。
建築系の学校を卒業していない人が建築士になるには、学校に通いなおすか、実務経験を7年以上積むかしなければなりません。どちらにしろ、時間とお金と労力が必要で、家庭がある人にはとくに難しいでしょう。
また、新卒から建築設計業界に携わっている人は、30代のころには実務経験を豊富に積んできており、現場を仕切ったり、一人で設計業務をこなせたりできるようになっています。そんな中で活躍するには、覚悟と努力が必要です。年齢による不利・有利はあるといえるでしょう。
30代・未経験でも建築設計業界に転職できる理由
とはいえ、30代・未経験でも建築設計業界への転職は可能です。建築設計業界の仕事は、国家資格が必要で、狭き門を突破しなければいけないイメージがあると思っている人も多いのではないでしょうか。たしかに、専門知識が必要とされる仕事も多く、経験や資格がある人が有利であることは事実です。
また一方で、建築設計業界は人手不足であり、職人の高齢化が進んでいる業界でもあります。令和2年8月建設業界の有効求人倍率は5.78倍と高く、人手不足が深刻化しています。新卒で建築設計業界に入った人材と比較するとハンデはあるでしょう。
しかし、異業種からの転職した人も多く、丁寧に教育してくれる会社もたくさんあるのです。自分のがんばりと会社との相性次第で、未経験からでもキャリアを積める業界だといえるでしょう。
建築士になるルート
建築士の資格試験には年齢制限がなく、建築設計業界未経験の30代の人にも目指すルートが残されています。建築士の資格をとりたいなら、まず、学歴要件を満たしているかを確認しましょう。建築関係の仕事をしたことがない人でも、学歴要件によって、必要な実務経験の年数が異なるからです。
たとえば、建築系の学校で指定科目を修めて卒業していれば、実務経験を積まずに二級建築士試験を受験できます。しかし、大卒・短大卒・高専卒の人で建築関係の大学を卒業していない人は7年の実務経験が、高卒・中卒の人で指定科目を修めて卒業している人は3年の実務経験がそれぞれ必要です。
学歴要件を確認し、必要な実務建研の年数を把握したら、(1)転職して実務経験を積むか、(2)働きながら学校に通うか、(3)転職して実務経験を積みながら学校へ通うか、選択しましょう。(1)転職して実務経験を積むというルートは、実践力が身につくというメリットがある一方で、人によっては7年以上の実務経験を積まねばならず、時間がかかるというデメリットがあります。
そのため、なるべく若いうちに取るべきルートといえるでしょう。対して、(2)働きながら学校に通うというルートは、現在の仕事を続けられ、最短2年で受験資格が得られるというメリットがあります。ただし、精神的・身体的に負担も大きいルートでもあるでしょう。
(3)転職して実務経験を積みながら学校へ通う場合は、現在の仕事に保険をかけておくことはできませんが、実践力を身に着けながら、資格も最短で目指せるルートです。残業時間などを配慮してもらわなければならないため、転職先の会社の協力が必要でしょう。
30代・未経験でも応募できる建築設計業界の求人
求人は、転職エージェントを活用することをおすすめします。転職エージェントには、マイナビエージェント・リクルートエージェント・doda・type転職エージェントなどがあり、応募書類の添削、面接対策のサポートを行ってくれます。業界事情に詳しく、的確なアドバイスをくれるので心強いでしょう。
建設業界専任のアドバイザーが在籍するマイナビエージェントや、業界最多の求人件数が魅力のリクルートエージェントなど、さまざま転職エージェントに建設設計業界の求人が掲載されています。いくつかの転職エージェントを併用するのもよいでしょう。
あると建築設計業界での転職が有利になる資格
資格があれば、より条件のいい転職がかなえられるでしょう。ここでは、転職に有利な資格を4つご紹介します。どの資格もキャリアアップや年収アップにつながるので、確認してみてください。ほかにも、インテリアコーディネーター・CAD利用技術者試験・ハウスクリーニング士・防犯設備士などの民間資格は、建築に関する知識を身に着けるのに最適な資格ですよ。
二級建築士
まず、建築士の資格は国家資格で、木造建築士・二級建築士・一級建築士の3種類があります。一級建築士と二級建築士とで異なる点は、扱える建物の規模です。
二級建築士は、取り扱える材質や大きさに制限がありますが、一級建築士には制限がなく、ありとあらゆる建物を取り扱えるようになります。二級建築士の資格は、建築系の学校で指定科目を修めて卒業すれば実務経験0年、それ以外であれば実務経験を7年積むと、免許登録ができるようになります。建築系の学校を卒業していない人は、転職しやすい会社で実績を積み、資格取得を目指すのもひとつの手でしょう。
建築CAD検定試験
建築CAD検定試験とは、CAD(キャド)を用いて建築用図面を描く技量を測る試験のこと。CADは、ComputerAidedDesignの略で、コンピューターを使用して作図できるようにしたソフトのことです。
等級は准1級・2級・3級・4級で構成され、高校生は4級から、社会人は3級から受検します。誰でも受検できる資格なので、未経験から建築設計業界に転職しようと考えている人には最適でしょう。通信講座やスクールでも学べるので、チェックしてみてください。
施工管理技士
施工管理技士とは、建築施工管理技士・土木施工管理技士・電気工事施工管理技士・管工事施工管理技士・電気通信工事施工管理技士の7種類に分けられ、それぞれ1級と2級で構成されています。受験資格には実務経験が必要です。それぞれ必要な実務経験の年数が異なるので、事前に確認しましょう。
建設業経理事務士・建設業経理士
建設設計業界は、専門的な用語や会計処理が必要なので、一般的な経理とは異なります。そこで、建設設計業界の経理業務を専門に行う簿記の資格が建設業経理士です。3級や4級に合格すれば、建設業経理事務士と名乗ることができ、1級や2級に合格すれば、建設業経理士と名乗れます。とくに2級以上を合格し、建設業経理士の資格が得らえれば、転職に有利にはたらくでしょう。
この記事では、建設設計業界における30代・未経験の転職事情についてお伝えしました。建設設計業界は人手不足が深刻化しているため、未経験でも転職できるチャンスのある業界です。建築士を目指すには、(1)転職して実務経験を積むか、(2)働きながら学校に通うか、(3)転職して実務経験を積みながら学校へ通うかの3つのルートがあります。また、建設業界に転職するなら、業界事情に詳しい転職エージェントに相談することもおすすめです。