建築士の仕事は忙しい?労働時間の長さや労働環境についても解説
建築業界に興味を持つ人にとって、もっとも有名かつ、花形とも言える職業は建築士ですね。世のなかのあらゆる建物は、建築士が設計した図面をもとに建てられます。そんな建築士の仕事内容は意外にも忙しく、残業も多くてキツイという意見もありますが、事実でしょうか?この記事では建築士の労働環境について解説します。
建築士の仕事は忙しい!長時間勤務になりがち?
日本の建築士の資格には、1級建築士、2級建築士、木造建築士があり、それぞれ勤務先の事情によっても忙しさは変わります。ただ、一般論として建築士の仕事はヒマではなく、かなり忙しい部類になるでしょう。それでも建築士の収入は高めなうえ、劣悪な勤務環境はまれです。そうしたことから、建築士の忙しさをやりがいと捉える人もいます。
もくじ
建築士の1日の勤務時間の例
ある建築士の1日の勤務例「9時前に出社、メール等の連絡チェックや部署内での連絡事項を確認し、午前中に施主との打ち合わせが1件、工事業者との打ち合わせも1件、昼食を移動中にとり、ついでに担当する現場の1つを回って、15時ごろ帰社。
その後に図面の修正や報告書類の作成をして、19時前には会社を出て帰宅する」といったように、8時間程度の勤務時間の半分くらいは図面作業以外の仕事、1~2時間の残業は普通にある、といったイメージでしょうか。あくまでモデル例なので、勤務先や担当する業務によっても、勤務時間は変わってくるでしょう。
基本的には忙しい仕事
建築士の仕事が忙しいことの主な理由は、建築図面の完成に締め切りがあるからです。建築関連の業務には、必ず引き渡し予定などの期日が設定されていて、そこから逆算して、図面の完成に締め切りが設定されます。これらは通常、それほど余裕のあるものではなく、ギリギリで設定されることもよくあります。結果的に建築士の多くは、締め切りを意識して、忙しく仕事に追われるのです。
図面の業務以外にも多くの打ち合わせ業務
また、実例でも紹介したように、建築士といっても、ずっと室内で図面と向き合っているような例はまれです。依頼主(施主)である個人のお客様や、企業、官公庁などとの打ち合わせ業務もあれば、工事を実際に担当する、施工業者との打ち合わせなども頻繁にあります。また、さまざまなチェックのために、直接現場まで足を運ばなければいけない場合もあります。
営業職や現場担当者に比べるとマシだという意見も
建築士の仕事を忙しいと書きましたが、同じ建築業の世界では、営業職や現場担当の仕事より、ずいぶんマシだという意見もあります。また、同じ建築士でも、図面中心に仕事をする人もいれば、営業や現場を中心に仕事をする人もいるため、忙しさの内容はそれぞれと言えます。
休日はあるの?オフの日の過ごし方は?
建築士の仕事で、よほどの繁忙期でない限り、残業や休日出勤が続くことはなく、オフや長期休暇も普通にあります。ただ、条件などは勤務先によるので、人によって、その差は大きいと言えるでしょう。
多少の残業や休日出勤があるのは普通
上記で書いたとおり、休日もある建築士の仕事ですが、繁忙期ともなれば残業や休日出勤も増えます。労務環境の改善で、残業にはうるさい昨今とはいえ、締め切りに間に合わせるために深夜まで、図面作業で残業などということも、まだまだあるようです。
休日をさらなるキャリアアップの勉強にあてる人も
自らのキャリアアップのための勉強時間にあてる人が多いのは、建築士の特徴です。建築士として最上級の国家資格、1級建築士を目指すのはもちろんとして、建築関連のさまざまな資格取得は、勤務先での評価アップ、待遇アップにも直結します。また、建築系資格の大半は、受験資格として数年の実務経験が必要なため、働きながらの勉強もするのはごく普通のことです。
資格取得に関しては、スクール費用を勤務先がバックアップしてくれる例などもよくあります。大手ゼネコンの若手社員などともなれば、勤務の大半を勉強にあてる場合も(それはそれでプレッシャーがかかりますが…)あります。資格を揃えたあとでも、最新の建築素材や特殊な工法など、常に学ぶべきことがあるのが、建築士の仕事の特徴です。
建築が好きなら実益を兼ねた趣味も!
オフの過ごし方は、もちろん個人の自由ですが、デスクワークの多い業種でもあるので、スポーツやアウトドアなどの人気があります。サイクリングやドライブ、旅行で遊びに行くついでに、各地の建築物や街の様子を観察するなど、趣味と実益を兼ねているような、生粋の建築好きも存在します。
忙しさは時期や会社によって異なる!
ここでは、勤務先によって変わる建築士の忙しさをまとめました。ただし、建築士の忙しさをひとことでは表せないのは、職場による差が大きいだけでなく、時期による差も大きいという理由もあります。大型案件を扱う企業での忙しさは、世のなかの景気にも左右されますし、公共工事を主な受注先としている、工務店などでも受注の集中する繁忙期が存在します。そうした事情もあることを前提として、記事をお読みください。
締め切り前はどこも忙しい
戸建て住宅であれ巨大マンションであれ、どんな建築物も、建築士の描く設計図面がなければ、仕事は始まりません。設計図面の完成が遅れれば、大工や職人さんたちをただ待たすことになります。それゆえに、建築士にとって図面の締め切りはとても大切です。職場に関係なく、建築士は締め切り前が忙しいのは、共通事項なので覚えておきましょう。
お客様に近いハウスメーカーや工務店
戸建て住宅やアパートなど、比較的小規模な建物が対象となる、ハウスメーカーや工務店であれば、施主の多くは個人客で、打ち合わせなどのために土日出勤、平日休みが標準となる場合もあります。複数の小さな案件を抱えるため、予期せぬトラブルでの残業もあるでしょう。それでも、自分が設計した住宅が建ち、お客様との距離も近いので、そこにやりがいを感じるという意見は多くあります。
好待遇や安定が魅力のゼネコン勤務
いわゆるゼネコンや大手工務店では、企業や官公庁などを相手に、マンション、ビル、学校や病院、工場など、大型の建造物を中心に扱うことになります。建築士の仕事も個人単位ではなくチーム戦となり、大勢の社員のなかの1メンバーとして働きます。数年単位の巨大プロジェクトや、ニュースになるような、建造物の建築に参加できることもまれではなく、そこにやりがいを感じる人は、向いていると言えるでしょう。繁忙期に多少の残業などはありますが、土日の休みや有給休暇などもとれる場合が多く、大手企業ならではの安定した給料や、福利厚生での待遇面のよさを魅力に挙げる人もいます。
個性豊かな設計事務所
労働環境がピンキリなのは設計事務所でしょう。経営規模によらず、好待遇で残業も少ない理想的な職場もあれば、残業が常態化したきわどい職場もあります。経営者や従業員の雰囲気をしっかり見極めたいところです。
例外的な職種も
例外的ではありますが、官公庁に勤める建築士や、大学や学校などで教師役となる建築士もいます。こうした勤務先であれば、残業なしの定時勤務をしている人もいます。
忙しいけど夢のある独立開業
最後になりましたが、建築士の記事では、触れておく必要があるのは独立開業でしょう。独立を目標とするには、通常の仕事に加え、独立に必要な経験と人間関係を積み重ね、独立資金も貯めておくなどやるべきことが多く、最も忙しい生活になります。独立後もラクとは限りません。しかし建築士なら1度は夢見ることは、自分の建築事務所を持つことです。
まとめ
建築士の仕事環境の実情についてまとめました。一般的に、建築士はある程度の残業、休日出勤なども覚悟すべき忙しい職種です。さらに、仕事の忙しさとは別に、上級資格の取得や、キャリアアップの努力が欠かせない職業でもあります。しかし、それを補うだけのやりがいと収入を手にすることができるのは魅力的で、建築に少しでも興味のある人なら目指してみたいお仕事です。