建築業界で給料が高いのはどの職業?もっているべき資格についても紹介
建築業界のなかで収入が高い職種を知ることは、キャリアパスを考えるうえで非常に重要です。本記事では、建築士や技術士など、とくに高収入が期待できる職種について取り上げ、その職種で求められる資格やスキルも詳しく解説します。これから建築業界を目指す方や建築業界へ転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
建築業の年収について
建築業界では、職種によって年収に大きな差があります。なかでも高い年収が期待できる職種について、以下で紹介します。
一級建築士
一級建築士は、建築業界でもっとも高い年収が期待できる職種です。一級建築士の平均年収は約700万円であり、ほかの建築関連の職種と比較しても群を抜いています。一級建築士は、設計できる建築物に制限がないため、住宅から大規模な都市開発、公共建築物まで幅広いプロジェクトに携わることができます。
この幅広い活動範囲が、高収入につながる大きな要因です。また、一級建築士の業務は設計にとどまらず、建築物の改修や維持管理に関する計画、技術指導、施工管理、検査など、多岐にわたります。これらの業務を通じて、建築物の安全性や機能性を確保し、プロジェクト全体の品質を高める役割を果たしているのです。
加えて、大規模プロジェクトや公共事業においては、プロジェクトの初期段階から関与し、設計だけでなく、計画立案や施工管理の各フェーズで重要な決定をおこなう責任を負います。このような高い責任と技術的な要求が、一級建築士の高い年収を裏付けているのです。
技術士
次に、技術士の職種について紹介します。技術士の平均年収は約660万円です。技術士とは、機械技術士、電気工事士、資源工学技術士、建設技術士、経営工学技術士など、さまざまな分野の専門家を総称する職種です。
そのため技術士は、それぞれの専門分野で高度な知識と技能を持ち、技術的な問題を分析し、効果的な対応策を講じることが求められます。また、ほかの技術者への指導や助言も重要な業務の一部です。
これらのことから、技術士の専門知識と問題解決能力は、プロジェクトの効率性と成果を大きく左右するため、建築業界において非常に重宝されています。
掘削作業主任者や発破技士
最後に紹介するのは、掘削作業主任者や発破技士についてです。これらの職種は、土木作業や採石現場などで活躍し、平均年収は約610万円。掘削作業主任者は、土砂や岩石を掘る現場で作業員が安全に作業をおこなえるよう指導する役割を担っています。
作業の計画から実施、さらには安全管理まで一貫して管理し、現場の安全と効率を確保します。また、発破技士は重機で粉砕することが難しい岩盤などを、ダイナマイトなどの火薬を使用して爆破する専門職です。
発破技士は爆発が不発だった際の残薬確認や処理もおこない、現場の安全性を保つ重要な役割を果たしています。これらの職種は、高度な専門知識と経験が必要とされるため、比較的高い年収が保証されているのです。
建築業全体の平均年収とは
建築業界の平均年収は約510万円です。これは日本全体の平均年収である約450万円を大きく上回っており、建築業に従事する人々が比較的高い給与を得ていることを示しています。
この高い給与水準は、建築業界が日本経済において重要な役割を果たしていることや、専門知識と技術が要求されるためです。また、建設現場での肉体的な労働や、技術的な責任の重さも高収入に寄与しています。
さらに、建築業界では賃金引き上げの伸び率がほかの産業と比較して高い傾向があります。これは近年、建築業界では高齢化に伴う引退者の増加や若年層の減少により、労働力の確保が急務となっていることが要因です。
これらに対応するために、賃金を引き上げることで、優秀な人材を惹きつけ、人材確保を目指しています。また、若年層の労働者を引き入れるためには、ほかの産業と比較して魅力的な給与条件を提示する必要があり、これが賃金の引き上げに繋がっているのです。
加えて、行政による制度改革も賃金の引き上げに寄与しています。政府は建設業界の健全な成長と発展を促進するために、働き方改革や労働環境の改善を推進しています。具体的には、建設現場での労働時間の短縮や休日の確保、労働条件の改善などです。
このような背景から、建築業界では平均年収が高く、さらに賃金の引き上げが進んでいる状況です。今後も人手不足や技術革新に伴い、建築業界での給与水準はさらに上昇する可能性もあります。建築業界に興味を持つ人にとっては、安定した高収入が期待できる魅力的な職種となるでしょう。
建築業界で転職するなら資格取得がおすすめ
建築業界で転職を考えるなら、資格取得は非常に有効な手段です。国家資格や専門的な民間資格を持っていると、転職市場での競争力が大幅に向上し、より高い給与や良い労働条件の職場への転職が期待できるでしょう。以下に、建築業界での転職において、おすすめの資格をいくつか紹介します。
建築士
まず、国家資格である「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」は、建築業界でもっとも儲かる資格とされています。上述でも解説しましたが、一級建築士は設計できる建築物に制限がなく、住宅から商業施設、公共建築物に至るまで幅広いプロジェクトに携わることが可能です。
この資格を取得するには、建築学の知識と実務経験が求められるため、試験の難易度は非常に高いですが、その分、取得後は大規模なプロジェクトを任されることも多く、高い年収が期待できるでしょう。
二級建築士や木造建築士も同様に、一定の専門知識と実務経験が必要であり、住宅の設計や施工に特化した業務で活躍できる資格です。これらの資格を持つことで、建築現場の幅広い分野で重要な役割を担うことができ、転職市場で非常に有利に働きます。
電気工事士
国家資格である「電気工事士」も建築業界で非常に価値のある資格です。電気工事士には「第一種電気工事士」と「第二種電気工事士」の2種類があります。
第一種電気工事士は、高圧電気工事や大規模な電気設備の工事をおこなうことができ、工場や商業施設、さらには鉄道運行に必要な電気工事など、広範囲にわたる電気設備の設置・保守に携わることが可能です。
第二種電気工事士は、主に住宅や小規模施設の電気設備工事を担当しますが、それでも建設業においては非常に重要な役割を果たします。冷暖房設備の設置や施設の配線工事など、電気工事士の資格を持っていることで、建設現場のみならず、鉄道や産業施設などさまざまな分野での活躍が期待されます。
電気工事士の資格を取得することで、電気設備に関する専門性を証明し、転職時に大きなアドバンテージを得ることができるでしょう。
基礎施工士
民間資格である「基礎施工士」は、建築の基礎工事に特化した資格です。この資格は、一般社団法人日本基礎建設協会が発行しており、建物の基礎工事に関する専門知識と技術を持っていることを証明します。
基礎工事は建築物の安全性を支える重要な部分であり、この資格を持っていることで、基礎工事に関する業務で高い評価を得ることが可能です。現場で直接役立つスキルを証明できるため、転職時には特に現場管理や施工管理などのポジションで有利になります。
建築CAD検定試験
「建築CAD検定試験」は、建築図面作成に特化した民間資格試験。建築CADは、現代の建設業界では欠かせないツールであり、CADソフトを使用して正確な図面を作成するスキルは、設計や施工管理において非常に重要です。
この資格を取得することで、自分のCADソフトの習得度合いを証明でき、設計事務所や建設会社での転職に際して大きな武器となります。とくに、建築CADのスキルはリモートワークやフリーランスとしても活躍の場を広げる可能性があります。
まとめ
建築業界は、日本全体の平均年収を上回る高い収入が得られる魅力的な職種が多いです。とくに、一級建築士や電気工事士などの国家資格を持つことで、専門知識と技術を活かし、さらなる高収入や安定したキャリアを築くことが可能。資格取得は、転職市場での競争力を高めるだけでなく、キャリアアップの重要なステップとなります。これから建築業界で活躍を目指す方は、自身のスキルを磨き、資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。