配管工事のスペシャリスト!管工事施工管理技士について紹介
建設や施工に関係する資格は数多くありますが、なかでも配管工事の専門家として業界で活躍できる資格に「管工事施工管理技士」があります。国家資格にあたり、転職やキャリアアップに有利になるのか気になる方も多いでしょう。そこで今回は管工事施工管理技士とはどのような資格か、メリットや試験内容などを解説します。
管工事施工管理技士とは
管工事施工管理技士は、国土交通省が管轄する国家資格であり、施工管理技士のなかでも配管に特化した資格です。この資格を取得できれば、配管工事の施工計画の作成や工程管理、安全管理、品質管理など、さまざまな業務を担当することができます。
なお、配管工事とは、冷暖房設備、空調設備、ガス管配管設備、浄化槽設備、上下水道配管設備、給排気ダクトなどの設備を建設現場で施工する作業を指します。これらの設備は、建物や施設の快適性や安全性に重要な役割を果たしており、適切な施工が求められます。
そして、管工事施工管理技士は、その名前からもわかるように、配管工事に特化したエキスパートです。そのため、建設現場において欠かせない存在であり、施工計画の作成や工程管理によって工事の円滑な進行をサポートします。
また、安全管理においても重要な役割を果たし、施工中の事故やトラブルを未然に防ぐための対策を行います。
管工事施工管理技士が携わる仕事
そもそも配管工事とは、冷暖房設備、空調設備、ガス管配管設備、浄化槽設備、上下水道配管設備、給排気ダクトなど、さまざまなパイプやダクトを設置する作業を指します。
配管工事そのものは、特別な資格がなくても行える場合もありますが、工程管理、品質管理、安全管理などの業務に携わるには、管工事施工管理技士の資格が必要となります。配管とは単なるパイプであり、あまり見えない場所に設置されることも多いため、なぜ資格が必要なのか疑問に感じる方もいるでしょう。
しかし、配管は目立たない部分に設置されることが多いからこそ、施工後のトラブルに気づきにくいため慎重に施工しなければなりません。万が一、施工不良や欠陥があると、有害な空気が室内に充満するなどの大きな問題に発展する可能性があります。
とくに大規模な設備の場合、配管工事の設計は複雑であり、さまざまな種類の配管を設置する必要があります。そのため、施工計画や工程管理をしっかりと行い、技術者たちを指導する役割を果たす必要があり、管工事施工管理技士の存在が必要不可欠なのです。
また、管工事施工管理技士は1級と2級がありますが、仕事内容に大きな違いはありません。1級は大規模な工事現場の施工管理や安全管理を担当し、2級は中小規模の工事現場で施工管理を行うのが一般的で、対応できる現場の規模が異なります。
そのため、大規模な工事を請け負う事業者にとって、1級の管工事施工管理技士の需要は高く、1級の資格を持っていれば事業規模の大きな現場に携われるでしょう。
一方、2級の技士は一般建設業での専任技術者や主任技術者として活躍し、中小規模の工事を担当することが一般的です。将来的に大規模な工事で責任あるポジションを任されたいという場合は、1級の取得を目指すのがおすすめです。
管工事施工管理技士を取得するメリット
配管工事は無資格でも対応できる一方、設計や工程管理、施工管理、安全管理など作業全体を監督するのは管工事施工管理技士にしか対応できません。
つまり、管工事施工管理技士を取得しているということは、施工はもちろん監督業務が可能な専門知識やスキルを有しているという裏づけになるとともに、建設業界で働くうえでさまざまなメリットがあります。では、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
専任技術者・監理技術者になれる
取得している資格の区分によって異なるものの、1級では特定建設業の専任技術者や一般建設業の主任技術者・監理技術者になることができ、2級では一般建設業の専任技術者や主任技術者として活躍することができます。
せっかく働くなら、淡々と作業をするのではなく、責任あるポジションを任せてもらいたい、やりがいを感じて仕事をしたいという方には、メリットに感じられるでしょう。
企業からの需要が高く転職に有利になりやすい
建物や施設において、配管工事は欠かせない工程であり、それに伴って管工事施工管理技士は必要不可欠な存在です。作業自体は他ほかの作業者ができたとしても、監督作業はできないため、必要な人材だといえます。そのため、資格を持つ人材は価値が高く、さまざまな工事現場で求められます。
とくに建設業界の高度化に伴い、若手の技術者を積極的に採用したいという企業の需要が高いため、転職やキャリアアップに有利になる可能性があります。若くして責任あるポジションを任せられ、年収アップも期待できるでしょう。
このように、管工事施工管理技士の資格を持つことは、建設業界での長期的なキャリア形成において有利な要素となります。
他の資格を取得しやすい
管工事施工管理技士の資格を取得することで、浄化槽設備士や給水装置主任技術者など他の資格取得が容易になります。浄化槽設備士は、し尿や雑排水の浄化槽設備に関する資格であり、管工事施工管理技士の資格保有者は講習会の受講権利が与えられます。
給水装置主任技術者は、水道管の配置や修繕に関する資格であり、管工事施工管理技士の資格保有者は試験の一部が免除されます。このように、他の資格を取得しやすくなるため、複数の専門的な資格を所有することで人材価値をより一層高めることができます。
建設業界ではさまざまな資格があり、もちろん無資格でも従事できますが、資格を持っておくと得られるメリットが数多くあります。
とくに管工事施工管理技士は需要の高い資格のひとつなので、合格を目指すのがおすすめです。
管工事施工管理技士の試験内容
管工事施工管理技士を取得するには、指定の学科を卒業して実務経験を積んだ後、試験に合格しなければなりません。1・2級どちらも実務経験が必要であり、その後受検資格を得られます。1級の試験は筆記試験と実地試験があり、筆記試験は原論や電気工学、建築学、空調・衛星、設備などの分野から出題されます。
実地試験では、設備や工程管理などが出題範囲の問題1~6のうち、指定された条件のもと合計4問を解きます。一方、2級も筆記試験と実地試験があり、1級よりもやや出題範囲が狭くなります。1級の合格率は筆記試験が35~52%、実地試験が50~60%であり、1級の合格率は筆記試験が60%前後、実地試験が40%となっています。
合格率だけをみると、それほど難易度が高くないと言えますが、実務経験があり、試験対策をした人でも不合格になる人がいるともいえます。そのため、簡単に合格できる資格ではないと認識し、きちんと試験対策や準備を進めていくようにしましょう。
まとめ
管工事施工管理技士は、配管工事のスペシャリストとして現場の施工管理や工程管理、安全管理などの監督業務に携われます。配管工事は資格がなくてもできますが、管理業務は資格がないと対応できないため、需要が高い資格のひとつです。実際に電管工事施工管理技士は、人材を募集している企業が多く、転職やキャリアアップに有利になる可能性があります。ただ、簡単に取得できる資格ではないため、合格を目指すなら十分な対策と準備をして試験に臨むようにしましょう。また、1級と2級では対応できる事業規模が異なるので、資格による違いを認識しておくことも大切です。