設計事務所に転職したい!現場経験しか持っていなくても転職は可能か
建築現場の経験を活かしたい、もともと設計したかったといった理由で設計事務所への転職を考えている方も多いのではないでしょうか。そもそも建築現場と設計事務所は、建築という共通点があるため、転職は可能のような気がします。そこで当ページでは、現場経験のみで設計事務所への転職が可能かどうかについて解説します。
現場で経験を積んだ人も設計事務所などへの転職に挑戦できる
結論から申し上げると建築現場で働いていた人でも、設計事務所への転職は可能です。ほとんどの人が建築現場と設計事務所は建設関連というだけであまり接点がないように感じるかもしれません。たしかに設計事務所は、一級建築士や二級建築士などが働いているとイメージが強いようです。しかし、実際には現場経験のみを積んだ人も転職可能、設計事務所の求めている人材は必ずしも建築士とは限りません。
そもそも資格なしでも働ける
設計事務所への転職は、一級建築士か二級建築士の資格が必要と考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、前述のとおり、決して建築士資格が必須というわけではありません。設計事務所開設にあたっては、一級もしくは二級建築士は必要ですが、働いている人のすべてが有資格者とは限らないのです。設計事務所のおもな仕事である設計業務は、資格なしのスタッフが従事しても問題ありません。
たとえば、設計事務所の代表者が一級もしくは二級建築士(管理建築士)で、ほかのスタッフが全員無資格といったところも存在します。実際に、ネットなどの求人を見ると、事務員や設計アシスタントといった募集をよく見かけませんか。もちろん、絶対に無資格でも転職成功すると断言はできませんが、転職に挑戦することは可能です。
求めているのは対応力
設計事務所が求めている人材は、おもに対応力の高い人です。とくに設計事務所は小規模なところも多く、少数精鋭で業務にあたっているケースも少なくありません。少数精鋭で求められるのは、やはり対応力です。自分から気づき動ける人、チームプレーができる人、ちょっとしたアドバイスで仕事を進める人、自ら学ぶ人などが重宝されるでしょう。現場で働いてきた人の場合、すぐに設計はできないかもしれません。しかし、現場で培ったあらゆる経験は、設計事務所の各所で役立つため、転職時の武器になります。
資格ありは転職成功の可能性大
一級建築士や二級建築士といった資格をすでに取得している人は、転職成功の可能性は高まります。なぜなら、建築事務所にとって大きな戦力になるからです。そもそも、設計事務所には設計士が在籍しているため、あらためて建築士を取得した人を雇う必要はありません。
しかし、転職先として選んだところが多忙だった場合は、即戦力が必要です。設計業務をはじめから教える手間を考えたときは、すでに建築士などの資格を持っている人のほうが有利に働く可能性が高いでしょう。また、設計事務所で営業的な立場になってほしい場合は、名刺に肩書として入れられるため、こちらも有利になるかもしれません。
現場で培った能力をアピールしよう
建築現場で培ったさまざまな能力は、設計事務所でも大いに役立ちます。なぜなら、設計事務所の仕事は建築設計だけではないからです。設計事務所では、主となる設計(意匠、設備、構造)をはじめ、建物調査、業者選定、工事監理、建築物の引き渡しなど多岐にわたります。
もちろん、これからご紹介する内容をすべての方が経験として蓄積しているとは限りません。しかし今まで建築現場で培った能力は、アピールポイントになるため、何に携わってきたのかをもう一度整理しておきましょう。
コスト意識
現場で培ったコスト意識は、設計事務所でも役立つ能力です。たとえば、材料費はコストに直結する要素であるため、必要最低限の発注をする、無駄なく使うといった工夫を覚えるでしょう。また、人件費もコストとしてとらえられます。通常、2名で行う作業を3名で行えばコストは当然ながら高くなるでしょう。何人で行い、何時間程度で完了させるのかといった点は非常に重要です。
このように現場で経験を積むと、さまざまな観点からコスト意識が芽生えます。建築設計は、絶対にコスト面を無視できない職業です。お客さんの予算に合わせることも大切となるうえ、仮に予算を無視してよいといわれたとしても、あまり高すぎるのもよくないでしょう。
交渉術
建築設計の仕事は、お客さんと職人(施工業者)との交渉が発生します。このような交渉が発生した場合は、建築現場で培った交渉術が役立ちます。たとえば、お客さんとの工期や予算の話し合い、そして業者選定や現場での交渉です。とくに、過去に建築現場の経験があれば、職人との交渉も頻繁に発生しているでしょう。特別な資格ではありませんが、物事を進めるための交渉術は、アピールポイントのひとつです。
強い責任感
現場では、最後までやりきる強い責任感が養われます。難しい施工内容や急変する天候にも負けずに、最後までやり遂げなければいけません。強い責任感は、建築設計も通じる部分です。とくに建築設計は、お客さんからの要望と実際にできることをすり合わせていく必要があります。お客さんの要望を100%聞いても建築できないときもあり、自分が考えるデザインを第一に考えすぎても顧客満足につながるとは限りません。そのため、受けた以上はどのような難題でも最後までやり遂げるという強い責任感は重要な能力です。
現場経験
建築現場での経験は、アピールポイントです。一見、現場は建築設計とは無関係に思えます。しかし、建築現場の経験があれば、設計した図面の完成イメージは容易な場合が多く、実現可能な設計も思い浮かびます。
また、設計から工程の順序も分かり、必要な資材や現場ならではのアイデアも浮かんでくるでしょう。建築設計の仕事をするうえで、現場経験は貴重な財産です。お客さんへ説明する際も、現場経験の少ない建築士に比べれば、資材の特徴や建て方など、より具体的な説明もできるでしょう。
リーダー経験とコミュニケーション能力
リーダー経験とコミュニケーション能力は、とても重要なアピールポイントです。設計事務所の仕事は、建設設計を単独もしくは少数で行うと考えている方も多いようですが、実際には建築設計だけに留まりません。建築のデザインを担当するのは当然ですが、工事管理も行うことがあります。工事現場において、リーダー経験とコミュニケーション能力は必要不可欠です。
たとえば、デザインした内容が実現可能なのかの話し合いや、突発的なアクシデントの際の対応にも大きく影響します。このように工事管理を行えば、さまざまな職人さんとのやり取りも出てくるため、今まで培ったリーダー経験とコミュニケーション能力は充分に役立つでしょう。
現場で身に付けたスキルや知識はさまざまな分野で活かせる
現場経験しか持っていなくても、現場で身に付けたコスト意識、交渉力、責任感などはさまざまな分野で活かせます。その中のひとつが設計事務所への転職です。設計事務所を運営しているのは建築士ですが、一緒に働くスタッフはすべて建築士とは限りません。一級および二級建築士をはじめ、建築分野で活かせるスキルや知識を持ったスタッフが設計事務所を支えています。
転職を成功させるために必要なのは、設計事務所で働きたいという熱意と、どのような経験をしてきたかです。すでに設計事務所への転職活動をはじめている方は、現場で培った能力を再確認して、アピールできるようにしましょう。また、いずれ設計事務所で働きたいと考えている方は、毎日の仕事を丁寧に行い、チャレンジを忘れずにスキルと知識を深めておくことが大切です。
まとめ
建設現場での経験がある人が、設計事務所に転職することは可能です。同じ建築関係なので、現場での知識を設計事務所で活かせるでしょう。設計事務所で働くには、一級建築士などの資格が必要と考えている人も多くいますが、資格は必須ではありません。資格を持っていない方でも挑戦できるので、可能性が広がります。設計事務所への転職を検討している人は、ぜひ挑戦してみてください。