圧迫面接って何?いやだと思ったら帰ってもいいの?

公開日:2022/06/15   最終更新日:2024/06/19


圧迫面接という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。採用面接において面接担当者が応募者に対して、高圧的な態度をとることを圧迫面接といいます。応募者が自己PRしている最中に貧乏ゆすりをしたり、発言のすべてを否定したり、ネガティブな反応を続けられたら平静な気持ちを保つのは困難です。今回はそんな圧迫面接についてご説明します。

圧迫面接とは?圧迫面接を行う意図と背景

ドラマや映画で、採用面接を受けるシーンを見たことがあるでしょうか。面接官が高圧的な態度をとったり、応募者を怒鳴ったり、質問への回答に「なぜ?」「どうして?」と追い込むように連続質問したり、かと思えば意見を無視するような態度をとったり…応募者の立場に立って胃が痛むような思いをした方もいるのではないでしょうか。

ドラマや映画で描かれる圧迫面接は、企業側の横柄な体質、パワハラ・モラハラが横行している様子をほのめかす演出である場合も多いのですが、こういった面接は現実でも行われています。リクナビが就活を経験した13年目の社会人212人へのアンケートでは、60%を超える回答者が就職活動時に圧迫面接を経験したことがあると回答したそうです(2018年実施)。

なぜ応募者を不愉快な気分にさせるような圧迫面接が行われるのでしょうか。そこには応募者のストレス耐性をチェックするという意図があるようです。企業に採用されると、職種によっては顧客のクレーム対応を任されます。クレーム対応には多かれ少なかれストレスがともないます。

そのような事態を想定し、面接担当者が応募者の言動に対して否定的・批判的な発言を浴びせることで、応募者のストレス耐性を測定することが圧迫面接の目的で、アメリカ企業で考案されたものが起源だといわれているのです。また、臨機応変な対応力があるかどうかの見極めとして圧迫面接をすることもあるようです。このような圧迫面接の場では、面接官は小さな表情の変化も見ているので、応募者は冷静かつ前向きな姿勢で常に明るい表情を保って受け答えする必要があります。

圧迫面接によくある4つのタイプとは

面接官が応募者に対してかけてくる圧迫にはいくつかのタイプがあります。

1つ目は態度による圧迫です。応募者が話している間、貧乏ゆすりをしたり、頬杖をついたり、スマートフォンをいじったりと高圧的な態度や興味のないそぶりを見せるパターンです。面接室への入室時に挨拶をしてくれないケースもあります。

2つ目は否定的な発言をするタイプです。「君でなくても代わりはいる」「君が入ることのメリットがない」など、応募者の否定をします。

3つ目は無関心なタイプです。応募者が何をいっても、面接官からの質問に答えても「へえ」「ふーん」しか返さず、会話を終わらせてしまう、取りつく島のないパターンです。

4つ目は執拗に質問を繰り返す追い詰めタイプです。面接官の質問への回答に、さらに意地悪な質問を重ねたり「なぜ?」「どうして?」「それで?」など煽るように先を促したりします。このタイプは、最終的に「どうせすぐ辞めちゃうんでしょ」など一方的にネガティブな決めつけをしてくる傾向があります。

圧迫面接にどうやって対処するべきなのか

それではどのように圧迫面接の対処するべきかについてご紹介しましょう。ポイントは“これは圧迫面接である”と割り切ることです。面接官はわざと応募者にストレスをかけようとしている、面接官も仕事のために仕方なく不機嫌な態度をとっているのだと理解していれば、動揺する必要はありません。大切なことは平常心を保つこと、横柄な態度やそっけない応答であっても落ち着いて、冷静に、前向きで明るい態度を心掛けることです。

また、圧迫面接によくあるタイプのひとつ、追い詰め型の「なぜ?」「どうして?」の問いかけには、事前に想定回答を準備しておくことで慌てずに対処することが可能です。圧迫面接で使われやすい質問にはパターンがあります。「学生時代の経験はうちでは役立たない」のような自己PR否定型の質問の裏には、社会人になってからどのような働き方をしてくれるのか聞き出したいという意図があります。相手の意見を認めたうえで再度自分のアピールをすると、企業側が学生時代の経験を踏まえたうえでどのような活躍をしてくれるのか想像しやすくなるのです。

「あなたが当社にもたらすメリットはあるのか」といった質問には、自分の性格や学んだこと、スキル、経験のどの部分が会社に貢献できるかに焦点をしぼってアピールすることが大切です。会社で働く際に欠けている能力があると指摘されたら、努力して会社に合う人材になるという意気込み、やる気と伸びしろを見せるのもひとつの手でしょう。

「うちは仕事きついから、やめたら?」というネガティブな問いかけは、労働条件がハードな職種や業種で質問されがちです。こういうときには自分が激務に耐えた過去経験をアピールするとよいでしょう。たとえば、学生時代の学業、部活、サークル、バイト、ボランティア、人間関係などにおいて精神的や肉体的に追い詰められたときにどのように対応したかを具体的に伝えると説得力があります。過去の苦労経験をどう乗り切ったかを説明することで、企業側に困難なことをどう乗り越えてきたか、仕事への意欲をどう保っていけるかを伝えることができます。家族に関する内容、性別に関わる質問は本来面接で聞くことは就職差別につながるため、聞いてはいけないとされているのです。

それでも、圧迫面接ではわざとストレスをかけるために聞いてくることも考えられます。プライバシーに関わる質問や個人情報など、答えたくないような質問をされた場合には「申し訳ございませんが、お答えできません」と丁重に回答を断るとよいでしょう。最後まで落ち着いて乗り切ることが肝要です。

我慢できないときは途中で帰るべき?辞退したほうがよい理由とは

圧迫面接は応募者のストレス耐性を推しはかるためにわざとやっていると分かっていても、あまりよい気分にはなれないものです。とはいえ、圧迫面接をしてくる企業イコールブラック企業という図式は成り立たないことはご理解いただけましたか。

ただし、面接官の言動が著しくモラルを欠いている場合には、企業体質がよくないというケースも考えられます。また、面接担当者の話し方や人相が威圧的に感じられる場合は、本人の意志とは関係なく年齢や性格によってそういう印象を受けてしまうというケースもあります。年長者が年少者に対して無意識にふるまってしまうことは、よくあることです。

気を付けたいのは、面接時に業務内容や会社業績について尋ねても曖昧な返答をする、離職率や労働条件に関する質問をいやがる、待遇が求人票と異なる、面接時間が極端に短いなどの傾向が見られたときです。これらはブラック企業の面接でありがちな特徴です。

また、付き合っている人や結婚後の働き方についての質問をする、応募者の経歴や家族構成などを否定的に表現するなどの特徴もブラック企業の特徴です。入社後に後悔しないためにも、面接で企業の体質を見極め、内定を得られても入社するかどうかは充分に検討し、ときには辞退することも視野に入れておくとよいでしょう。また、人格を否定された、セクハラを受けた、差別発言を受けたといった内容次第で名誉棄損や侮辱罪にあたる場合には、途中退室しても問題ありません。間違った圧迫面接は法的措置や訴訟の対象となりうる事態です。

 

圧迫面接についてご紹介しました。圧迫面接は、企業側が応募者のストレス耐性をチェックするためにアメリカで考案されたという起源を持ちます。意地悪な質問や横柄な態度の裏には、応募者が自社で逆境にあってもどれだけ頑張れるかを推し量っている可能性があります。とはいえ、単純に面接官が圧迫面接の本質をはき違えて理解していたり、単純に企業体質が悪かったりする可能性もあるのです。面接先の企業がブラック企業であるようであれば、内定を受けても入社は見送るなどの対応をとり、自身を守ることが大切です

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