建築業界の仕事の種類はどんなものがある?

公開日:2020/09/15   最終更新日:2024/06/19

誰もが知る建築業界ですが、具体的な仕事の種類についてはあまりよく知らないという人も少なくありません。一括りにするにはあまりにたくさんの業種や職種があるのも事実で、担当する業務もさまざまなため、就職を考えるならまずしっかりとした骨組みの理解が必要です。ここでは勢いに乗る建築業界にはどんな仕事があるのか、詳しく解説します。

建築業界は7つの業務部門に分けることができます

建築業界は非常に広い業界のため、ここではそれぞれの業務別に7つの部門に分けて解説します。

まずは「施工管理部門」です。施工管理部門は、さまざまな工事現場の施工全体を管理する部門です。管理すべきものはもちろん安全や環境、そして企業である以上定められた工期や原価、品質などが該当します。施工管理技士などの有資格者が主な職場とする部門であり、現場で行われるあらゆる専門工事のすべての進捗状況を確認し、材料の手配から依頼者との打ち合わせまでこなす部門です。

施工管理部門は建築・土木・設備という3部門に分けることができます。建築はまさに建造物をつくる部門で、ゼネコン企業はここに該当します。設計段階から入り、竣工後はメンテナンスを請け負うなど、建造物が存在する限り全体の管理を担う部門です。

土木は、道路や鉄道、空港や港など社会インフラを整備する業務を担当し、シールド工事や橋梁工事など専門性の高い仕事を請け負う職人集団です。人の生活を守り国土を豊かにする大きなプロジェクトに取り組みます。

設備は電気、ガス、給排水や空調などあらゆる設備を担当し、選定からメーカーとの連絡調整、設置における工程管理などを担います。いずれも建造物を安全で快適に使えるよう管理し、間違いのない建造物を予定通りに仕上げることを業務とする部門です。

次に「設計部門」です。こちらは技術をもってアイデアを図面にするのが主な業務で、内容は意匠設計・構造設計・設備設計という3部門にわかれます。意匠設計は合理性やメンテナンス性を踏まえ、建造物を美しくデザインするのが使命です。構造、外観、空間デザインなどあらゆる場所が担当範囲となり、質の高いバランスのとれた建造物の設計が求められます。

構造設計は、建造物の自重、災害などの外的な力など、さまざまな負荷に安全に耐えられる骨格や土台を設計する業務が担当です。日本の厳しい建築基準法をクリアし、あらゆる工法を検討したうえで、クライアントのニーズに応える建造物づくりを目指します。

設備設計は電気やガス、給排水、空調などの設備配置を適正に定めることが求められます。一見素晴らしく見える建造物も、設備が適切に整っていなければ価値が激減してしまいますし、昨今は次世代の省エネ技術が求められますので、建物のエネルギーを最適化する設計が重要です。

建築業界には現場から離れた場所で活躍する部門もある

前述の2部門はまさに建築現場で活躍する職種ですが、建築の業務は現場だけにあるものではありません。ここでは現場から離れた場所で使命を担う部門を紹介しましょう。まず重要なのが「営業部門」です。営業部門はあらゆる自社技術をクライアントに提案し、相手のニーズを満たし課題をクリアすることで信頼関係を築くことが使命です。

クライアントは企業である場合もありますし、官公庁や自治体などの場合もあります。社内外と密にコミュニケーションをとり、受注に結びつけるのが主な業務です。こうした営業部門とも密に連携するのが「技術部門」です。近年では進化するICT技術を採り入れ、案件ごとに最適な技術提案を行うのが主な使命となっています。

自社が長年培ったノウハウを活かしながら、これからの市場を見据えた新技術の開発なども手掛ける部門であり、将来性の高い研究開発部門といえるでしょう。そしてこれらの部門を支えるのが「事務管理部門」です。事務管理部門はまさに会社運営で必須となるバックオフィスで、工事以外にもあらゆる事務的業務を引き受けます。

もちろん、一般企業と同じく経理、人事、総務、法務などが必須ですので、多岐にわたる業務をすべて担う部門です。全国の各工事現場でもこうしたバックオフィス業務は必須ですので、業界の下支えとなる立ち位置といえるでしょう。

そして事務的業務と技術的業務の両方を担当するのが、近年の「情報システム部門」です。こちらはどんどんシステム化される業界において、業務管理や業務分析、経営の数値化などを担当する企業の中枢部門です。これからの建築業では情報管理や経営の見える化は必須であり、情報システム部門がしっかり確立しているか否かで、受注結果も変わってくる可能性が高いです。

そのため非常に重要度を増している部門であり、企業のみならず業界全体を支える存在になりつつあるといえます。そして何より大切な「安全部門」は、工事現場の内外から常に安全を守り、社内の職場環境も含めて改善管理するのが使命です。

労災防止のためには社員教育なども欠かせませんし、どうすれば工事現場を安全でより快適にできるか、他社とも連携しながら改善に努める部門です。こうした努力により、業界も3Kのイメージが大分払拭されてきたといえます。業界の健全性を守るためにも必要な重要部門となっています。

建設業法上は29種類の区分がある

ここまでは業界内での働き方をメインに分類を見てきましたが、建設業法上では工事の種類は29種に区分されています。ただこちらは業種ごとに建設業許可を取るためのものなので、働き方という意味では少々意味合いが異なります。建設業許可は請負金額が一定額以上の場合に必要となりますが、都道府県知事または国土交通省大臣のどちらかが許可を行います。

内容は2種の「一式工事」と27種の専門工事に分けられていますが、一式工事というのは土木一式工事と建築一式工事の2つです。複数の専門工事を組み合わせたような工事が一式工事に該当しますが、専門工事とはまったく別の許可業種となるため注意が必要です。

その他27種の専門工事は大工工事業や左官工事業など細かい区分になっていますが、就職を目指す際にはその企業がどのような工事業を請け負っているかはあらかじめ確認しておきましょう。

建築業というとゼネコンという言葉が浮かびますが、ゼネコンとはGeneral Contractorの略で、土木・建築工事を直接請負い、全体のとりまとめを行う建設業者を指します。

請け負う仕事も実にさまざまで、オフィスビルやマンションから学校、医療施設、インフラなど、ありとあらゆる建造物から道路などの社会インフラまで手掛けます。生活基盤を整える大きなプロジェクトがメインとなるため、業界での就職を目指す人にとってゼネコンは大きな魅力でしょう。

現場で実績を積み、必要な資格を取得してキャリアアップで臨む人も少なくありません。いずれにしても、すべての業務においてたくさんの人々が暮らしていくうえで欠かせない土台をつくる仕事であり、やりがいの大きな職業といえます。

 

建築業界にはさまざまな部門があり、現場で建築に直接携わる職種もあれば、現場から離れた場所で業界を支える職種もあります。どれも必須の部門であり、それぞれが密に連携することではじめて成果をあげられる職業といえます。いずれの部門もたくさんの人々の生活基盤を支える使命を担い、やりがいが大きいことは間違いありません。たくさんの資格があり、中には難しい国家資格などもありますが、キャリアアップを目指すならぜひ、働きながら取得に挑戦すべきでしょう。

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