建設現場で需要が高い資格!監理技術者について詳しく紹介

公開日:2023/11/01   最終更新日:2024/06/19


建築現場では、施工品質を確保するため、現場に「配置技術者」を置かなければなりません。配置技術者は主任技術者と監理技術者の2種類あり、どちらも大変重要なポジションです。その中でも本記事では建築現場で需要が高い資格である「監理技術者」について解説します。主任技術者との違いも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

建設現場で求められる専門家!監理技術者の役割とは

監理技術者とは、下請代金額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)の工事現場に配属されることが義務付けられている技術者です。監理技術者は工事現場の施工計画の策定や実行、工事の工程管理、品質管理、技術管理、安全管理、作業員の指導などあらゆる仕事を受け持ちます。いわば工事現場のトップともいえます。

監理技術者と主任技術者の違い

ここまでは監理技術者の役割について解説しました。ここからは主任技術者との違いについて紹介します。

そもそも主任技術者とは

両者の違いについて解説する前に、主任技術者がどのようなものなのか確認しましょう。主任技術者とは全ての工事現場に配置されることが義務付けられている配置技術者のひとつで、工事がスムーズに進むよう、現場の安全管理や品質管理、施工管理などを行います。

全ての工事に配置が義務付けられていた主任技術者でしたが、令和2年度10月からすこし緩和され、鉄筋工事や型枠工事、下請金額が3,500万円未満の工事には配置しなくてもよいことになりました。令和5年1月1日に施行された「建設業法施行令の一部を改正する政令」によって下請業務における主任技術者の配置を不要とする金額が3,500万円から4.000万円に引き上げられました。

主任技術者と監理技術者の違い

では主任技術者と監理技術者は何が違うのでしょうか。結論から言うと主任技術者と監理技術者の違いは「下請金額」です。先ほどもお伝えした通り、監理技術者の下請金額は4.500万円以上の工事に配置されますが、主任技術者が担当できるのは下請金額が4.000万円未満の工事となっています。

そして監理技術者と主任技術者は監理技術者のほうがレベルの高い資格であるため、監理技術者がいる工事現場には主任技術者は配置する必要がありません。そのため主任技術者は主に監理技術者が配置されない下請金額が4.000万円以下の工事を受け持つことになります。

令和5年には主任技術者の配置を不要とする下請金額が4.000万円に引き上げられたことにより、下請け工事の主任技術者の必要性は右肩下がりともいえるかもしれません。ちなみに、下請工事の配置は不要になりましたが、元請けの工事では今でも主任技術者の配置が必要です。

監理技術者の資格を取得するメリット

監理技術者と主任技術者との違いが分かったところで、次は監理技術者の資格を取得するメリットについて4つ紹介します。監理技術者はこれからより必要とされる資格であるため、今のうちに取得しておくことをおすすめします。

収入アップ

コロナ禍で2020年度あたりでは落ち込んだ建設業ですが、コロナ感染も収束に向かい2023年現在ではまた息を吹き返したことで、年々工事現場が増加傾向にあります。大型の工事現場には必ず配置される監理技術者ですから、所属する会社にとっては貴重な存在となり、昇給・昇進が期待できます。それに伴い収入アップも大いに考えられます。

転職に有利

監理技術者の資格を取得することで、転職に有利になるのもメリットの一つです。なぜなら現在、建設業では団塊世代と言われる年齢層の方々が引退を迎え、監理技術者の人手不足が懸念されているからです。大手企業でも監理技術者不足で常に求人を展開している状態なので、監理技術者の資格を取得していれば転職したい企業に入りやすくなるかもしません。

経営事項審査で所属会社に貢献できる

経営事項審査、通称「経審」は公共団体が発注している業務を受注する際に行われる審査です。経審の技術力評価において、監理技術者は1人当たり5点が追加されるため所属する会社に貢献できます。

デメリット:業務量の増加

監理技術者の資格を取得し、監理技術者として働くとなると管理することが多くなるため、業務が増える傾向にあります。

デメリット:新たな知識が必要になる

監理技術者には専用の資格試験が無いため新たに資格取得に向けて勉強する必要はありません。ただ監理技術者になることで業務内容が大幅に増えるため、さまざまなことを吸収していく必要があります。また監理技術者は施工管理や工程管理のみならず、現場の作業員の技術指導も行う必要があるため、対人スキルについても身に付ける必要があるでしょう。

監理技術者になるために欠かせない必要な要件

ここでは監理技術者になるための要件について解説します。取得した資格によっても監理技術者になる方法が変わってくるため、もし監理技術者を目指している方がいればどのようなルートになるか、確認するとよいでしょう。

取得した資格によって条件が変わる

監理技術者に必要な試験はありませんが、監理技術者になるためには「監理技術者の資格要件」を満たす必要があります。監理技術者の要件を満たすには、指定建設業7業種の人たちであれば「一級国家資格を取得する」指定建設業7業種に含まれない22業種の方々であれば「指導監督的実務経験を2~12年積む」ことがマストです。

講習の受講も必須

また資格を保有しているだけでは監理技術者として働くことはできません。監理技術者として働くためには資格を取得したうえで、監理技術者講習を修了する必要があります。

監理技術者として働くまでの流れ

以下のステップをクリアすることで監理技術者として働くことができます。

・資格要件を満たす
・建設業技術者センターに申請
・監理技術者資格証の交付
・監理技術者講習を受講・修了
・監理技術者として就任

監理技術者の年収

監理技術者の年収は一般的な社員と比べて高く平均年収は523万円です。ただし、835万円を貰っている方も少なからずいるため、所属している会社や業務形態によって差があるようです。

まとめ

本記事では建設現場で需要が高い「監理技術者」について、監理技術者の役割や監理技術者のメリット、主任技術者との違いなどを解説しました。現在、監理技術者は人手が少なく主に転職というフィールドでとても重宝される資格です。現に建設業で働いている方でも監理技術者の資格を取得することで、経審の際に会社に貢献することができるでしょう。監理技術者は国家資格一級を取得していれば特別な資格試験などは必要ないため、申請と監理技術者講習が済んでいない方は登録するとよいでしょう。

おすすめ関連記事

検索

READ MORE

マンション管理士は、住民が安心して暮らせる環境を整えるために、管理組合の運営や建物の維持管理をサポートする専門家です。法律や建築の知識を活かして、複雑な問題にも対応できます。そこで本記事では

続きを読む

建設ディレクターは、ITスキルやコミュニケーション力を生かし、現場の効率化を後方から支える役割をもっている職業です。建設業界における新しい働き方として注目を集めており、専門知識を活かしながら

続きを読む

土木施工管理技士は、道路や橋、ダムなどの建設現場で安全かつ円滑に工事を進めるための重要な役割を担う資格です。工程や品質の管理をはじめ、現場のスタッフとの調整や安全対策にも深く関わります。そこ

続きを読む

測量士は、建設工事や土地利用の基盤となるデータを測定し、正確な地図や図面を作る専門職です。公共事業から民間の開発まで幅広い分野で活躍でき、社会に欠かせない役割を担っています。そこで本記事では

続きを読む

建設業では高齢化や若手人材の減少により、人手不足が深刻な課題となっています。現場では技能継承が進みにくく、受注機会を逃すケースも少なくありません。さらに長時間労働や労働環境の厳しさが人材確保

続きを読む

家の外観や庭、アプローチなどを美しく機能的に整えることをエクステリアと呼びます。その設計や工事監理を担うのがエクステリアプランナーで、建物との調和に加えて防犯性や快適さも考慮しながら提案を行

続きを読む

建築設計の仕事は、単に建物の見た目を考えるだけではありません。施主の希望を聞き取り、法律や安全性を踏まえて図面を描き、施工業者や関係者と連携しながら建物を形にしていく重要な役割を担います。デ

続きを読む

木造建築士は、木を使った建物を設計する専門家です。木材の特性を理解し、自然素材ならではのあたたかみや快適さを活かした住まいづくりをサポートします。戸建て住宅を中心に、地域の風土に合った設計や

続きを読む

転職は、専門家による包括的なサポートを受けることが成功の近道です。自分でも気づかなかった点を修正できれば、スムーズな転職は可能になるでしょう。そこで今回は、特定の業界に特化した転職エージェン

続きを読む

建築業界で働いている人で「現状の年収に不満を持っている」「せっかく働くなら給与アップを目指したい」と感じている人はきっと多いことでしょう。そこで今回は、建築業界で年収アップを目指す場合にする

続きを読む