建築営業ってどんな仕事?やりがいと大変なところを一挙解説

公開日:2025/07/15   最終更新日:2025/09/01

建築営業

建築業においては、現場作業員や建築設計士だけでなく、建築営業スタッフも欠かせない存在です。本記事では、建築営業の概要ややりがい、大変なことまで一挙に紹介します。建築業界への転職を検討している人は本記事を参考にして、建築営業という選択肢も見据えてみてはいかがでしょうか。

建築営業とは

建築営業とは、自社が取り扱っている建設工事の仕事を受注することを主な業務とする職種です。建設工事が可能な職人や施工体制が整っていたとしても、実際に仕事の依頼がなければ工事を行うことはできません。

そのため、建築営業は自社の施工能力や実績を顧客に対して適切にアピールし、受注につなげるという企業にとって非常に重要な役割を担っています。建築営業の仕事は、大きく分けて「民間工事向け」と「公共工事向け」の二種類に分類され、それぞれ求められるスキルや業務内容が異なります。

民間工事向けの営業

まず、民間工事の建築営業についてですが、これは土地を所有している地主や投資家に対して営業を行う業務です。具体的には、土地を有効活用してもらうためにマンションやアパートなどの建設を提案します。

地主や資産家を相手にすることが多いため、営業活動は新規顧客へのアプローチが中心となり、精神的な負担を感じる場面も少なくありません。とくに、顧客は数千万円から数億円規模の投資を行うことが多く、ほとんどの場合、賃貸用のマンションなど収益を見込んだ物件の建設が目的となります

そのため、建築営業担当者には高いマーケティング力や提案力が求められ、顧客に対して収益性や将来的な利回りをわかりやすく説明する能力が必要です。民間工事向けの建築営業では、営業力や交渉力、顧客との信頼関係を築く力が重要視されます。

公共工事向けの営業

一方で、公共工事の建築営業は、国や自治体などが発注する公共事業に関わる受注活動を担当します。公共工事の場合、施工業者は原則として入札によって決定されるため、民間工事向けの営業のような高い営業力はそれほど必要とされません。

その代わりに、建設業界や入札制度に関する専門知識、入札に関する情報収集能力、そして細かい規定に沿った書類作成能力が求められます。

入札申請書類には細かな規定があるため、慣れるまでには時間がかかりますが、ていねいに規定通りの書類を作成し、必要な情報をコツコツ収集できる人に向いている業務です。公共工事向けの建築営業は、根気強さや正確さが特に重視されます。

建築営業と住宅営業の違い

また、建築営業と住宅営業には明確な違いがあります。住宅営業は、建物を購入して自分たちが住む個人顧客を対象とし、建売住宅や注文住宅の販売を行うことが中心です。

これに対して建築営業は、地主や法人、官公庁などを対象に営業を行い、公共工事では「要求を満たす建物を低コストで実現すること」、民間工事では「収益を生み出せる建物を建設すること」が重視されます。

そのため、住宅営業よりも工事の規模が大きくなる傾向があり、居住性やデザインの快適性よりも投資効果やコスト効率が重要視されることが多いです。

建築営業の平均年収

給与面においては、建築営業の平均年収はおおむね400〜500万円程度であり、一般企業の平均的なサラリーマンとほぼ同水準と言えます。しかし、給与体系は固定給に加えて営業成績に応じたインセンティブが設定されることが多く、成績次第では高収入を得ることも可能です。

未経験から建築営業に挑戦し、年収1,000万円を目指すことも十分に現実的であり、学歴不問で挑戦できる点も特徴です。このように、建築営業は企業の売上に直結する重要な職種であり、民間・公共の両面で異なる知識やスキルを活用しながら、建設工事の受注を確実に獲得していく専門職であると言えます。

建築営業のメリット・やりがい

建築営業は、官公庁や地主などを対象に建設工事の受注を行う職種であり、多くのやりがいやメリットがあります。

未経験でも応募しやすい

まず大きな特徴として、未経験者でも応募できる求人が多数存在する点が挙げられます。建築営業は業務内容が専門的で難しい部分もありますが、実務経験を通じて学ぶことができる環境が整っているため、比較的挑戦しやすい職種です。

とくに、建築営業として早期にキャリアを積むことは成長の面で有利です。書籍やセミナーで知識を補うことも重要ですが、実際の営業現場での経験こそがスキル向上に直結します。多くの案件を担当し、顧客と接することで営業力や交渉力が磨かれ、着実に成長できるのが魅力です

実力次第でキャリアアップできる

次に、若くても実力次第でキャリアアップが可能な点も大きなメリットです。建築営業は成果主義を採用している企業が多く、営業成績に応じて昇進の機会が与えられるため、先輩社員よりも早くポジションを上げることも十分に可能です。

実力主義の環境は、高い熱量を持って仕事に取り組む人にとっては非常に魅力的であり、努力が直接評価につながる点は大きなやりがいとなります。ただし、年功序列を重視する会社では、実力を発揮しても昇進が難しい場合もあり、上昇志向の強い人にとってはやや歯がゆさを感じることもあるでしょう。

大きな達成感がある

さらに、建築営業の仕事には大きな達成感が伴います。契約が成立するまでには、顧客の信頼を得るために多くの時間と労力を費やす必要があります。場合によってはプライベートの時間を削ることも少なくなく、努力が必ずしもすぐに結果に結びつくとは限りません。

しかし、長い交渉や提案を経て契約が成立した瞬間の達成感は非常に大きく、これまでの苦労が報われたと感じられる瞬間でもあります。この成功体験は、次の案件へのモチベーションや自身の成長意欲につながるため、建築営業として働く上での貴重な財産となります

建築営業のデメリット・大変なところ

建築営業は未経験からでも高収入を目指せ、仕事の達成感も得られる魅力的な職種ですが、一方で業務の厳しさやデメリットも存在します。

ノルマが厳しい

まず一つ目のデメリットとして、ノルマの厳しさが挙げられます。建築営業では高額な建設工事の契約を扱うため、契約を成立させるまでのプロセスは決して容易ではありません。そのため、営業職として課せられるノルマをクリアすることが求められます。

ノルマを達成できなければ、昇進や昇給の機会を逃す可能性があるだけでなく、自分より後に入社した後輩に営業成績で追い抜かれるといった状況に直面することもあります。

さらに、現実的には達成が困難と思われる理不尽なノルマを課せられることもあり、このような過度なプレッシャーは心身の健康に悪影響を及ぼすことも少なくありません。そのため、厳しいノルマに耐えられず転職を考える建築営業担当者も多いのが実情です。

土日に休みがとりにくい

二つ目のデメリットとして、土日に休めない点が挙げられます。建築営業は、世間一般のゴールデンウィークやお盆などの長期休暇中にも仕事を行わなければならないことが多く、物件探しや契約を希望するクライアントに対応する必要があるためです。

土日も基本的に休みは取れず、平日に代休を取得する形になることが一般的です。その結果、世間一般の休日と休みを合わせることが難しく、プライベートの時間を確保しにくい状況が続きます。このことは、とくに家族との時間や個人の生活を重視する人にとっては大きなストレスとなり得ます。

クライアント・現場との付き合いが多い

三つ目のデメリットは、クライアントや現場との付き合いが多いことです。建築営業では高額な工事契約を成立させるため、顧客との信頼関係の構築が不可欠です。そのため、時にはプライベートの時間を犠牲にしてでもクライアントとの付き合いを優先しなければならない場面が少なくありません。

具体的には、休日に早朝からゴルフに同行したり、明るいうちから会食や酒席に参加したりすることもあります。こうした付き合いが頻繁に発生することは、お酒が苦手な人やプライベートの時間を大切にしたい人にとって、働きにくさを感じさせる要因となります。

まとめ

建築営業は、企業の施工能力や実績を顧客にアピールし、建設工事の受注を獲得する重要な職種です。民間工事では地主や資産家への提案力、公共工事では入札制度や書類作成の正確さが求められます。未経験でも挑戦でき、実力次第で若くしてキャリアアップが可能であり、契約成立時の達成感は非常に大きいのが魅力です。一方で、高額な契約に伴う厳しいノルマや休日出勤の多さ、クライアントとの付き合いの多さなど、精神的・時間的負担も存在します。これらを理解した上で挑戦すれば、やりがいと高収入の両方を得られる職種です。

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