土木施工管理技士の仕事内容と年収は?

公開日:2020/10/15  

建築設計業界の専門家として活躍している職種に土木施工管理技士があります。土木や施工管理に興味がある人にとって魅力がありそうな名前の職種ですが、どのような仕事をすることになるのでしょうか。資格にも一級と二級があるので、その違いによってどんな仕事を担えるようになるのか、一般的に給与はどれくらいもらえるのかを紹介します。

土木施工管理技士の一般的な仕事内容

建築設計業では土木工事の施工現場で監理技術者や主任技術者として働く人材として土木施工管理技士が置かれています。土木工事に関する施工管理をするための知識を持っているのが職種としての特徴で、責任を持って働くために充分な能力があることを国家資格によって示されています。

そのため、河川や上下水道、道路やトンネル、ダムや空港などといった土木工事現場では監督や責任者として現場の人たちをコントロールする役割を果たすのが土木施工管理技士です。仕事内容としては施工計画の立案から実施、完了確認までの一連の業務を取り仕切ることです。

まず、土木工事のクライアントとの打ち合わせに参加して、どのような工事を希望しているのかをヒアリングします。ヒアリングの段階では営業担当者などの他のスタッフとも協力し、基本的には今回の工事の技術的な責任者としてクライアントから見られるのが特徴です。そのヒアリング結果に基づいて工事内容を考案し、設計士などと協力して具体的に図面を作成していきます。

ダムや空港などの場合には建築物も含み、河川や上下水道の場合には水の管理もする必要があるなど、施工内容によって必要とされる知識にも違いがあります。そのため、あくまで自分は責任者として振る舞い、それぞれのプロフェッショナルがいる現場で指示をしながら計画を立てるという現場も少なくありません。

とくに大手ではこのような組織的な形で施工内容を検討することがよくあります。業者によっては図面の作成は外注してしまい、その図面を修正して完成版とするといったやり方をしている場合もあり、クライアントからの要求に応じて内部で作成するか外注をするかを適宜判断する役割を果たすことも稀ではありません。

これと並行して必要な資材や人材なども見積もり、原価計算をしてコスト管理をしながら具体的な作業日程や作業工程を作り上げていきます。作業現場に応じて安全管理の方法を考え、工事内容によって品質管理の方法を策定し、詳細な施工計画を作り上げてクライアントに提示するのが仕事です。

施工が確定した後は資材などの手配を行い、必要に応じて役所での手続きをしたり、各種申請をしたりします。土木工事をする場所の周囲に住民がいる場合には説明会を開いたり、ポスティングで告知をしたりして周知することも仕事です。実際には大きな企業では別に担当者がいて、指示を出すだけで実務は任せてしまうことがほとんどです。

そして、工事中の具体的な人材配置を策定して指示を出し、工事の開始日を迎えることになります。工事が始まった後は規模によっては自分自身も作業を行いますが、基本的には他のスタッフに作業をしてもらって自分は管理業務に徹する仕組みで運営されている場合がほとんどです。

アクシデントが起こったときに速やかに対応したり、外部からの資材の搬入に対応したり、周辺からのクレームに対応したりすることが工事期間中の主な仕事になります。工事にはアクシデントがつきものなので、遅れが出るようなときには人材を増やすなどの対策を行う一方、クライアントに説明をして納得してもらいます。

そして、工事が終了した後は点検を指示し、完了報告書を作成してクライアントから検収を受けます。もし基準に合わない仕上がりになってしまっていた場合には引き渡すことはできないので現場にやり直しを求め、具体的な計画を出して速やかに施工を開始させることが必要です。

工事の責任者として最終的に法的にも正しく、クライアントとの契約にも合っている仕上がりにしなければならないのです。このように土木施工管理技士は土木工事の準備から検収までの責任者として一通りの仕事をするのが特徴です。苦労も多いのは確かですが、一つの工事を終えたときの達成感も大きいのが魅力です。

一級と二級の資格によって違いはあるのか

土木施工管理技士には一級と二級の二種類の資格があります。どちらも国家資格として認められていますが、一級の方が上位資格になっていて、二級の有資格者がさらに国家試験を受けて取得するケースが目立ちます。一級も二級も学科試験と実地試験があるので知識があるだけでは合格できず、きちんとした実務力がなければならないのが特徴です。

この二つでどのような違いがあるのかが疑問になりがちですが、資格のあり方にまず違いがあるので気を付けましょう。一級の資格の場合には土木工事全般について一律の試験になっているのに対し、二級の資格では土木、鋼構造物塗装、薬液注入の三分野に分けられていて、それぞれについて資格を取得する仕組みになっています。

二級の資格を取ると主任技術者として働けるようになりますが、たとえば土木でしか資格を取っていないと薬液注入では主任技術者になることはできません。一級の場合には土木、鋼構造物塗装、薬液注入のすべてにおいて主任技術者になれます。さらに一級では上位の立場に当たる監理技術者にもなることができます。

監理技術者は土木工事の内容によっては置く必要がありませんが、下請契約の請負代金が4000万円を超える場合には必須です。そのため、大きな工事でも責任をもって施工管理を行える資格者として認められるには一級の資格を取得しなければなりません。結果として大企業では一級の有資格者を求める傾向が強く、中小企業では二級でも雇っているという状況があります。

給料の一般的な相場はどのくらいなのか

土木施工管理技士になるとどのくらいの給料をもらうことができるのでしょうか。勤め先によって年収にはかなりの差があることが知られていて、資格が一級か二級かによっても異なっています。一般的には400万円~800万円で、中小企業の場合には400万円~550万円、大企業の場合には500万円~800万円というのが相場です。

平均としては500万円くらいになっているので、全職種の平均年収が450万円前後ということを考えるとやや高いということがわかります。ただ、550万円以上になるには管理職クラスになるか、一級の資格を手に入れて大手企業で働かなければ難しいというのが実態です。稼げるようになりたいなら、きちんと経験を積んでスキルアップを目指していき、必要に応じて転職をして年収を上げるようにしましょう。転職エージェントを利用すると年収にこだわった転職をしやすいので相談してみるのが賢明です。

 

土木施工管理技士は土木工事の請負をするためにクライアントにヒアリングをするところから施工を終えて検収を受けるところまで責任者として仕事をします。施工管理を全般的に行うのが特徴で、安全管理やコスト管理、周辺住民への説明なども担うことから幅広い業務を経験することになるでしょう。年収は400万円~800万円ですが、550万円以上になるには大手企業で出世する以外ではなかなか難しいのが実態です。稼ぎたいと思っているなら、転職エージェントも利用してスキルアップをしながらよりよい仕事先を探していくようにしましょう。

おすすめ関連記事

検索

READ MORE

危険物取扱者の資格を保有している人や、これから資格を取得しようと考えている人に、今回の記事はおすすめです。資格を取得していると転職に有利になるでしょう。建築設計業界では、危険物物件の建築や補

続きを読む

これから建設設計業界で働きたいと考えている人に、今回の記事はおすすめです。例外として、経理や事務に従事している人や、派遣社員で製図のみの仕事をしている人であれば運転免許は必須ではありません。

続きを読む

建設現場で働く職人や大工は、雨の日は工事がストップするので休みになることがほとんどです。施工管理は雨の日もデスクワーク中心の業務を行っています。業務内容が多岐にわたるので、これまでの業務の遅

続きを読む

建築設計業に携わっており、転職エージェントでハウスメーカーに転職しようと考えていませんか?ハウスメーカーといっても、さまざまな仕事が存在します。そこで本記事では、ハウスメーカーの仕事内容や魅

続きを読む

別の仕事がしたい、今の会社とどうしてもあわない、長時間働かされすぎてプライベートの時間がとれないなど、転職を考える理由は人それぞれです。ただ、人手不足が深刻化している近年、引き止められてなか

続きを読む

建築設計業界への転職を考えている人にとって、実務経験が求められるかどうかは気になるところでしょう。募集求人によって異なりますが、建築設計業界の転職では実務経験が求められるのが多い傾向にありま

続きを読む

現在の会社を退職したいけれど、上司から引き留められるなどスムーズに退職ができるかどうか不安に感じる人も多いかもしれません。会社を辞めるときにはトラブルなく円満に退職したいところですが、どのよ

続きを読む

コロナ禍になり、オンラインでの面接する企業も増えています。対面式とは違うオンライン面接を受ける場合、やったことがなく戸惑う方も多いでしょう。本記事では、オンライン面接の流れや準備するべきもの

続きを読む

建築設計業界で働く際には、押さえるべきポイントがたくさんあるでしょう。会社としての規模や自分ができること・やりたいこととマッチしているかも重要ですが、ブラック企業に就職しないよう注意が必要で

続きを読む

働き方の多様化が進んでいる近年、働く曜日や時間帯、場所にとらわれず働けることで、社員のライフスタイルにあわせた働き方ができます。そんな働き方改革のさきがけであるフレックスタイム制という言葉を

続きを読む