【2022年最新】建築設計の仕事はこれからどれくらい需要があるのか

公開日:2022/06/01   最終更新日:2022/07/26


建築設計業へ転職を考えている方の中には、「これから先どれくらいの仕事があるのか、将来性はどうなのか」と悩んでいる方も少なくありません。今回は建築設計業の仕事が今後どうなっていくのか、これから先仕事どれくらいあるのか、需要がどのくらいあるのかについて解説します。

深刻な人手不足が続いていた建築業界

建築業界は近年、ニーズに比べると人手不足が続いており、年々人手不足は深刻化しています。とくに昨年度2021年は東京オリンピックによる建設需要がピークに達し、建設技術者を求める求人が後を絶ちませんでした。

しかし、需要とは裏腹に有効求職者数は減少の一途を辿っており、今年度も人手不足は続く傾向にあると考えられるでしょう。人手不足の要因としてはさまざまな理由があげられますが、その中でもとくに大きな理由として、短期的な工事量が増えたことが考えられます。公共工事を始めとした短期工事、民間工事は2020年から増加の一途を辿っており、工事の数と比べて人材が足りていない状況が続いているのです。

深刻な人手不足の状況が続いたことで建築業界、下請け工事業者は多大なる影響を受け、別会社と連携しそれぞれ支え合うような状況が続きました。正社員としての人材にこだわらず、非正規雇用者の雇い入れも増加したほか、人手不足解消に向けたロボット導入も積極的に進められているのが現状です。

現在も業界が抱えているリスク・課題とは

建築設計業においては現在も人手不足に関する問題は解決しておらず、課題の1つです。建設業界では時間外労働や長時間労働も問題となっており、人材不足が原因のこうしたトラブルを解消するべくロボット導入が進んでいます。ドローンを利用した空中写真測量や、3次元データを活用した施工、施工管理をはじめ、ロボットに頼れる部分を積極的に活用することで、人材不足を補うスタイルが取られているのです。

また人手不足にともなう業務提携、業務委託化を進める企業も増えており、お互いが支え合うスタンスを取っている企業も少なくありません。閑散期と繁忙期にそれぞれがそれぞれの現場で支え合うことで人手不足を補い、長時間労働を防ぐ努力をしています。しかし建設業界ではまだまだ長時間労働が常態化していることから、離職率の高さが懸念点です。“建設業界は大変”というイメージが持たれていることによる求職者の少なさも、業界全体の課題といえるでしょう。

この課題を払拭するべく正規雇用にとらわれない形で、未経験者を積極的に募集する企業も増えていますが、技術が必要な場面では結果として人手不足解消に至っておらず、技術者の負担はなかなか減ることがありません。突発的な人材確保のみならず、長期的な人材確保ができるかどうかも今後の建設業界においては大きな課題になるといえるでしょう。

今後人手不足の解消にともない外国人労働者の積極的採用の可能性も高まっています。20194月の段階で外国人の在留資格に特定技能が導入されたことで、期間の制限なく就労可能な状況となったことから、外国人労働者は増加の一途を辿っているのです。特定技能生を受け入れるためには一定基準の労働環境を満たしている必要があるため、人材不足解消のために職場の労働環境も改善されることから、今後生き残る建設業界の多くは労働者に対する負担が軽減する可能性が高いでしょう。

働き方の改革が進んだことで、大手建設会社でもさまざまな施策がとられています。この施策が積極的に行われるようになれば、今後の建設業界の未来は明るいものになると考えられます。ただし、中小企業においてはこうした施策に乗り切れていない場所も多く、働き方改革が進め切れていないことが今後の課題といえるでしょう。

また課題の1つとして業界全体の高齢化が進んでいることが上げられます。国土交通省の調査によると、建設業界は55歳以上が33.8%、29歳以下が10.8%と、他業界に比べても圧倒的に高齢化が進行しているのが難点です。若い世代の育成を現段階でスタートさせないと、高齢労働者の大半が引退を迎えるタイミングで、建設業界の担い手がいなくなることが懸念されています。

このように建設業界にはいくつかの課題やリスクがあげられますが、仕事自体が減少する可能性はほぼなく、後の問題は人手不足をどのように解消していくかにかかっているといっても過言ではありません。労働者の処遇改善、並びに人材の確保をいかに効率よく進められるかが鬼門になるといえるでしょう。

今後の建築業界はどうなるのか

このように建築業界は現在、労働環境の改善が前向きに行われており、それにともなう人材不足解消のための働きが導入されています。ある程度環境改善には時間がかかりますが、仕事がなくなるどころか増える一方なので、突然の解雇にともない路頭に迷う心配はありません。国土交通省が2018年に発表した国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計によると、2013年の維持管理費が3.6兆円に対し、2023年には4.35.1兆円と増加の一途を辿っています。

高度成長期やバブル期に建てられた建物が老朽化を迎えることや、国の動きとして現在、建設業働き方改革加速化プログラムをはじめとした働き方改革が進められているほか、こどもみらい住宅支援事業の開始にともなう民間事業の増加、若い世代を積極的に採用する企業そのものの動きがあることから、建設業界の未来は明るいものとされています。もちろんIT化による業務の効率化が進められていることも未来が明るいといえる理由です。IT導入を行うことでよりスムーズに人材不足を解消できるほか、業務の効率化を図ることが期待できるため、情報の管理、若手の確保もしやすくなるでしょう。

逆をいえば、これらのIT技術を扱える人材が積極的に採用される傾向にあると考えられるため、建築設計業を目指す際にはこうしたIT技術に関する資格、能力を取得しておくと、より有利に求職活動を進められます。これから転職を検討している方や、将来的に建設業界へと歩みを進めたいと考えられている方は、IT関連技術も積極的に勉強してみてはいかがでしょうか。

もちろん、IT関連技術がないと就職できないということではありません。常に人材不足であることに変わりはないので、未経験者でも飛び込みやすいのが建築設計業のメリットです。新型コロナウイルスの影響で工事が中止になり、作業工程変更にともない人件費がかさんだ結果、自己負担額に耐えられず倒産へと追い込まれる企業も一時期は増加していました。しかし、2025年には大阪万博、2027年にはリニア中央新幹線など大型事業を中心とした各種施設の建設が見込まれており、建築業界は需要が増加する一方です。倒産した企業の人間が新たな企業へと転職を行い、建築設計業に舞い戻るケースはザラにあるので、安定職を探している方には建築設計業はとくにおすすめでしょう。

 

建設業界は仕事量こそ減ることはなく、今後も安定した業務量が期待できますが、その反面人材不足による懸念が続いており、企業によっては人材不足が原因の倒産も考えられるとされています。しかしIT化の導入、海外労働者の積極採用をはじめ、多数の施策が実行されているため、これから先の未来は明るいものといえるでしょう。今後建設業界への転職や就職を考えている方にもおすすめの業界といえます。長年勤められる環境が整っているところも増えているため、それぞれの会社を比較してみるとよいでしょう。

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