転職先の将来性を調べるには?転職前に把握しておきたい情報の集め方
転職活動する上で、企業の情報収集を行うことになりますが、求人情報だけで企業の良し悪しを判断するのは、危険です。また、知名度や規模の大きさだけでは、会社の将来性を測れません。今回は、転職先の将来性を調べるために把握しておきたい情報の集め方について解説するので、ぜひ参考にしてください。
転職成功のカギは企業の魅力・実力を見極めること
転職活動の際は、自己の経験やスキルを見つめることにフォーカスしがちですが、転職成功のカギは、企業の魅力や実力を見極めることにあります。企業の魅力は、安定性や将来性、収益性などさまざまな視点から見極める必要があります。会社の規模が大きいから安定している、知名度あるから将来性が高いといったイメージだけで判断してしまうと、危険です。
以下では、企業を見極めるためのポイントについて、いくつか紹介します。
もくじ
利益がしっかり出ているかどうか
企業が安定的な経営をしていくためには、利益を出し続けなければなりませんが、損益計算書の営業利益は、会社の稼ぐ力を見極めることがポイントの一つとなります。上場企業であれば、決算書類として損益計算書を公開しているため、経営状態を確認するために目を通してみましょう。
決算書類には、貸借対照表やキャッシュフロー計算書もあるため、企業の経営状態を知るための材料が揃っています。企業の経営状態を測る指標としては、ROA(総資本利益率)やROE(株主資本利益率)などがあり、資本を活かして、いかに効率よく利益を稼げているかを数値化することも可能です。
売上の伸び率
企業の安定性を図るうえで、売上の伸び率も注視しておきましょう。可能な限り同業他社と比較することで、業界内での立ち位置を把握することが可能です。売上の推移がデータで公開されていなければ、面接時に確認してみましょう。また、売上が伸び続けている裏側で、過剰な投資による借入金が増え続けているケースもあるので、注意が必要です。
経営陣の声を聞く
採用試験では人事担当者との面接となりますが、最終面接などで経営陣と話す機会があれば、事業に対するビジョンを確認してみましょう。経営者が会社の事業のビジョンを持っているかどうかは、企業の実力を見極める上で重要な要素となります。直接話を聞いて見るのはもちろんのこと、ホームページ等で企業理念や経営者の人物像を確認してみるとよいでしょう。
新しい事業に積極的に取り組んでいるかどうか
新商品や新サービスの開発などへ積極的に取り組めているかどうかも企業の実力を見極める上で重要な要素となります。長年事業を継続している企業でも時代の潮流に合わせた製品開発が求められるため、既存事業のみならず、新事業への取り組みについても注目してみましょう。
将来性のない会社ってどんな会社?
転職成功のカギとして、企業の魅力と実力を見極めることが重要ですが、将来性については不透明な部分が多く、見極めるのが難しいかもしれません。しかしながら、将来性が怪しい会社にはいくつか共通している点があるので、以下の通り紹介します。
中小のオーナー企業
日本は同族経営の企業が多く存在していますが、大手であれば待遇や安定性という魅力があるかもしれません。しかしながら、中小企業の同族経営およびオーナー企業には注意が必要です。いきなり社長の親族が重要なポストに配置されることがあるような企業もありますが、同族経営はうまくいかない事も多いため、将来性がない可能性があります。同族で大きくなった企業でも転換点として、同族経営を辞めることで軌道修正を成功させています。
残業した人を高く評価する会社
昨今、長時間労働は社会問題として取り上げられていますが、まだまだ長時間労働をさせている会社が存在します。業務効率化を進めるなど、残業時間を減らす方向になりつつある中で、残業して長く働いている人を評価する会社は、将来性のない会社といっても過言ではありません。自分の業務を効率化して短時間で利益を上げる社員を評価する会社でなければ、会社としての利益向上も期待できません。
ずさんな設備の管理
備品や設備の管理がずさんな会社も将来性に乏しい会社といえます。とくに、製造業の会社では設備の安全性が求められますが、設備投資をせずに古いまま使用してしまうことで、労災に巻き込まれてしまう可能性があります。パソコンなどの備品も中古品を使い回しているようでは、社員のモチベーションも低下してしまいます。会社としてコスト削減することも重要ですが、過度な節約をする会社では将来的な昇給も見込めないため、注意が必要です。
吸収合併が多い会社や子会社
M&Aが普及したことにより吸収合併はポジティブな側面もありますが、あまりにも多過ぎると、内部で派閥争い生み出す要因にもなりかねないため、注意が必要です。吸収合併による弊害として挙げられるのは、旧会社の給与制度が異なることから、待遇を平等にすることが難しい点です。
また、子会社の場合も親会社からの出向によって、ポストが埋まってしまっていることによるモチベーション低下などといったデメリットがあります。吸収合併を繰り返している会社や、子会社で社員のモチベーションが低い会社は、将来性もなくなってしまいます。
会社の将来性をチェックする方法は?
ここまで将来性のない会社の特徴について確認しましたが、入社前では会社の将来性についてすべてを把握することは難しいかもしれません。そこで入社する前に会社の将来性をチェックするためのポイントについていくつか紹介します。
近年の会社の成長について
現時点での業績も大事ですが、会社の将来性を図る上では必ずしも重要というわけではありません。現時点での業績よりも近年の会社の成長度合いについて注目してみましょう。結果には結びついていなくても新事業に着手していれば、今後の成長が見込めます。
反対に現在の業績がよくても、市場の縮小や外部要因などで成長が見込めない場合もあります。また、業務効率化に積極的に取り組んでいることも成長性が期待できる要素となります。一方で、新規事業の開発を進めずに既存事業のみとなっている企業や業務改善に取り組まない企業、同族経営の企業などには、要注意です。
業界全体が衰退していないかどうか
会社の主力事業が業界全体で衰退していないかどうかも将来性をチェックするポイントの一つとなります。どの商品にもライフサイクルがあるとされており、いずれは衰退してしまう可能性があります。たとえば、インターネットの普及によってペーパーレス化が普及することで、印刷業界は縮小傾向にあります。さまざまな業界で転換期があるため、主力としている事業に今後も成長が見込めるのか、衰退していくのかどうかを見極める必要があります。
離職率の高さと人手不足
会社の将来性を担うのは事業ではなく人材です。売上が伸びているように見えても離職率が高く、人材がなかなか定着していない企業は成長が見込めません。採用してもすぐに辞めてしまうなど、従業員が長続きせずに出入りが多い企業には、注意が必要です。
入社したスタッフがすぐに辞めてしまうのは、必ずしも企業だけに問題があるわけではないですが、あまりにも辞める人が多いということは、会社に大きな問題があると考えられます。
まとめ
今回は、転職前に転職先の将来性を調べるために把握しておきたい情報の集め方について解説しました。転職成功のカギとなるのは、企業の魅力や実力を見極めることで、利益がしっかり出ているかどうかや売上の伸び率を確認しながら、経営陣の生の声を聞くことも重要です。同族経営を続ける中小のオーナー企業や残業した人を高く評価する企業など、将来性のない会社には共通している点があります。会社の将来性をチェックするためには、会社単体の成長度合いだけではなく、業界全体の成長度についても注視する必要があります。