建築リノベーション業への転職について

公開日:2019/04/24  

転職先を検討している建築設計業界の専門家にとって建築リノベーション業は魅力的な候補の一つとして挙げられます。

今までの仕事に満足していないという人も、現場で培ってきた経験を生かしたいという人も転職先として検討してみましょう。

必要とされるスキルや転職を有利に進めるための方法も理解しておきましょう。

 

建築リノベーション業に転職する魅力

建築設計業界では建築士になって自分の設計した建物を造り上げたいという気持ちを持っている人が大勢います。一級建築士や二級建築士の資格を取得して手腕を振るっている人もいますが、建築や設計のプロとして活躍できるのは建物を建てるときだけではありません。

現在では既にある建物を有効活用するという考え方が広まり、リフォームやリノベーションがブームになっています。建築リノベーション業ではその中でもリノベーションを中心業務としておこなうもので、既存の建物を新築当初の姿よりも優れたものに仕上げることを目指すのが特徴です。

リフォームとリノベーションの大きな違いは新築の頃の状況に比べて同等と捉えられるか、より良いものになっているかという点にあります。現代の技術を使えば何十年も前に設計された建物をより良い姿に変えることは不可能ではないでしょう。

そのリノベーションの設計や計画、施工を行うのがこの業界の仕事です。建築リノベーション業に転職する魅力はニーズが高くクライアントにできる法人も個人も無数にあることです。

都心部で大きなビルのデザインをしたいと思ってももはや土地がなくてなかなかそのような仕事は回ってきません。しかし、老朽化が進んでいたり、古くて使い勝手が悪くなったりしてしまっているビルは多く、リノベーションによって優れた建物に作り変えたいというニーズはたくさんあります。

企業では社員のモチベーションを上げることやブランディングをおこなうことを目的としてリノベーションをすることも増えているため、秀逸なデザインと便利な機能を備えた建物を設計して自ら手がけられる機会が豊富です。一般的にリノベーションは建築するのに比べると施工期間が短くて済むため、スピーディーに多数の依頼をこなしていくことができるでしょう。

もっとたくさん機会を手に入れて自分が手がけた建物が各所で見かけられるようにしたいと思ったら魅力的な業界なのです。仕事の流れは建築をおこなうときとそれほど違いはありません。

クライアントから依頼を受けたら希望をヒアリングし、目的を達成するための仕様を考えて提案するのが最初の段階です。その際に建築とやや異なるのが建物の現況を診断してどのようなリノベーションが可能かを考えなければならないことでしょう。

骨組みが既に老朽化している場合には補強工事から始めることを提案するか、リノベーションで希望通りの施工をおこなうのはリスクがあると説明することが必要になります。建物をデザインする力だけでなく、診断できるスキルも求められるのが特徴です。

そして、クライアントと相談して内容を決めたら施工計画を立てて説明し、契約を結んでリノベーションをおこないます。建物に手を加えるためには診断力と既存の設備などの撤去や調整などもできる必要があるため、より広いスキルが求められる仕事です。

 

建築リノベーション業で必要とされるものは何か

建築リノベーション業に入ろうとするときには建築士としての一通りの基礎ができていることが重要になります。基本的な建物の設計をおこなうことができ、現状として利用可能な建材や設備などを一通り把握していなければなりません。

上述したように、それに加えて必要なのが建物の診断力と既存設備を取り扱うスキルです。この二つの能力を兼ね備えていることで、客観的に考えて有効かつ魅力的なリノベーション方法を提案することができます。

また、クライアントの要望を叶えるための施工方法は一つに限られるわけではありません。多様な選択肢のメリットとデメリットを理解して説明できる必要がありますが、一から建物を設計するときとリノベーションの場合とではメリットやデメリットにも違いがあることがよくあります。

特に耐久性の問題が生じることは多く、新築時におこなうならコストパフォーマンスが高いものでも、リノベーションでおこなうとコストに見合った結果を得にくいものも少なくありません。今まで培ってきた知識や経験を生かせる部分もありますが、リノベーションの場合には違う考え方を持つ必要があるケースもしばしばあるという認識を持っておくのが大切です。

リノベーションに携わった経験がない場合には具体的な違いを網羅的に知っていることはあまり求められません。違いがあるという認識を持ち、新鮮な気持ちで仕事に取り組む姿勢があるかどうかが重要視されています。

もう一つ重要なのがコンサルティングスキルです。ヒアリングとプレゼンテーションの二つのスキルを十分に伸ばしておくことが建築リノベーション業に転職するときには欠かせません。

基本的には建築士が直接クライアントと対峙して営業活動をおこなうことになっているからです。営業担当がいる企業でもクライアントと相談する際には随行するのが基本なので、その場でしっかりとヒアリングをおこない、売り上げを増やすためのプレゼンテーションができなければなりません。

リノベーションを担う企業が急増している影響で、クライアントの獲得競争は激化しています。そのため、営業スキルが十分にある人材が重宝されているのです。既に建築士として十分に経験を積んでいる人は、特にコンサルティングスキルを伸ばしてから求人に応募するのが賢明でしょう。

 

転職を有利に進めるための戦略とは

建築リノベーション業の魅力がわかり、これからキャリアを作り上げていく業界の候補にしたいと考えたらどのようにして転職するのが良いのでしょうか。この業界では優秀な建築士を求めている企業が多く、求人は比較的豊富にあります。

しかし、現場によってどのような人材を求めているかには大差があり、必ずしも建築設計業界で経験を積んでいる人ならすぐに採用されるというわけではありません。自分が培ってきた経験を重視してくれる企業に転職できればやりがいのある仕事を任せられる機会も多く、新しい仕事に対して前向きに取り組めるようになるでしょう。

そのために有用なサービスとして挙げられるのが転職エージェントです。企業からの依頼を受けて人材を探しているエージェントに相談すれば、企業の持っているニーズを考慮して自分に合っている職場を探して紹介してくれます。

むやみやたらに求人に応募して当たりを引けるまで努力を続けていくよりも、エージェントと綿密に相談をしてここだという企業に応募した方が賢明です。企業側の要望だけでなく、仕事を探している人の望みも叶えられるようにマッチングをしてくれるので、新たな業界でやりたいと思ったことに速やかに従事できるようになるでしょう。

 

建築設計業界で働いてきた人は近年のトレンドとなっているリノベーションの担い手として活躍する道を検討してみましょう。新築の建物を造り上げるのとは異なり、既存の建物に手を加えて新築当初よりも素晴らしいものに仕上げるのが仕事になります。

新築を依頼される機会が少ない都心部での依頼も多く、達成感のある仕事ができるでしょう。新鮮な気持ちで建築や設計に関わる仕事に従事していきたいという人は建築リノベーション業への転職が魅力的な候補になるのです。

おすすめ関連記事

検索

READ MORE

建築設計業業界でも、転職エージェントはキャリアチェンジ希望者にとって強い味方となっています。しかし、未経験の場合、転職エージェントを有効活用できるのか疑問に思う方も多いでしょう。今回の記事で

続きを読む

近年、建設業界における人手不足や高齢化が深刻化しており、生産性向上や安全性の確保が一刻も早い課題となっています。こうした課題を解決するために、AI技術の活用が期待されています。本記事では、建

続きを読む

建築設計業への転職を成功させるためには、自分に合ったキャリアサポート業者を選ぶことが重要です。特化型エージェントと一般エージェント、それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解し、自分の経験や

続きを読む

建設設計業界でも転職エージェントの利用が増えており、その役割やメリットは多岐にわたります。本記事では、建設設計業に特化した視点から、転職エージェントの利用方法やそのメリット・デメリットについ

続きを読む

建築業界での転職はキャリアアップや新たな挑戦の絶好の機会ですが、慎重に進めないと失敗するリスクもあります。たとえば、準備不足や自分の強みを活かせない選択が失敗の原因となります。本記事では、転

続きを読む

設計の世界で成功するためには、単に美的センスがあるだけでは不十分です。問題解決能力やクリエイティブな思考、細部へのこだわりが求められます。本記事では、設計士に向いている人の特徴や、向いていな

続きを読む

設計士の就職・転職先として設計事務所が一般的にあげられますが、実はそれだけではありません。ゼネコン、ハウスメーカー、アトリエ事務所など、多様な分野で設計士のスキルは求められています。設計の専

続きを読む

建築業界のなかで収入が高い職種を知ることは、キャリアパスを考えるうえで非常に重要です。本記事では、建築士や技術士など、とくに高収入が期待できる職種について取り上げ、その職種で求められる資格や

続きを読む

宅建士とは、不動産分野で専門的な知識を有する資格です。本記事では、建築設計業界でも活躍の場が広がりつつある宅建士のスキルに焦点を当て、どのようなメリットがあるのかについて探ります。建築や不動

続きを読む

プラントエンジニアはプラント設計の専門家で、企画から維持管理まで幅広い役割を果たしています。その高度な専門性とスキルはモノづくりに欠かせず、将来性も期待されているのです。この記事では、プラン

続きを読む