土木施工管理技士の1級と2級にはどんな差があるの?違いを解説!

公開日:2023/10/15   最終更新日:2024/06/19


土木施工管理技士は、その名のとおり土木工事に関連する資格です。日本全国の土木に関連する工事で活躍しています。土木の仕事を目指す方の中には、土木施工管理技士に興味を持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、土木施工管理技士には1級と2級があるので要注意です。そこで1級と2級の差や違いをご紹介します。

土木施工管理技士の仕事内容

土木施工管理技士になると、さまざまな仕事が待っています。基本的には各種管理業務が主体ですが、行政に対する申請なども土木施工管理技士の重要な仕事のひとつです。それでは、仕事内容を詳しく見ていきましょう。

各種管理業務

管理業務は、土木施工管理技士の主な仕事内容です。たとえば、工事現場の安全を担当する安全管理をはじめ、進捗および品質を担当する工程管理や品質管理もあります。また、原価管理や行政に対する申請といった仕事も土木施工管理技士の仕事です。

あまり、聞きなれない言葉かもしれませんが、出来形管理という仕事もあります。出来形管理とは、土木関連でよく使われる言葉で、施工物が契約条件に満たしているのかを調べ、満たしていなければ完全する行為です。

携われる工事

土木施工管理技士は、比較的に大きな工事に携われます。たとえば、道路、ダム、トンネルといった公共工事などです。また、台風や地震による災害の復旧も携われる仕事の一部です。そのほかの工事として、上下水道、鉄道、河川、湾港なども土木施工管理技士の携われる仕事になります。

各技術者として従事可能

土木施工管理技士は、建設会社などの各種技術者として従事可能です。たとえば、専任技術者や主任技術者、そして工事現場のリーダーともいえる監理技術者にもなれるでしょう。ただし、1級と2級では、従事できる技術者の種類と建設業の種類が異なります。もし、目指す仕事がはっきりしている場合は、1級と2級の違いを把握することが大切です。

土木施工管理技士の1級と2級の違い

土木工事については、各工事現場に主任技術者が必要です。そして、主任技術者として活躍するためには、土木施工管理技士の資格を取得する必要があります。

なれる技術者の違い

1級士は、専任技術者および主任技術者になれます。専任技術者とは、土木工事を行う際に必要な見積もり、各種手続き、そして請負契約といった多くの書類を扱う職種です。無事に請負契約を締結した場合は、土木工事の進捗などの管理も行います。

一方、主任技術者とは土木工事の現場管理が主な仕事です。土木工事の計画や安全管理、さらには品質や工程も管理します。専任技術者は基本的に事務所勤務、主任技術者は土木工事現場での管理と覚えておきましょう。したがって、どちらも基本的に実際の現場で土木作業をする機会はありません。

また、監理技術者になれる点も大きな違いのひとつです。1級は監理技術者になれますが、2級は専任技術者および主任技術者にしかなれません。2級は、1級とほぼ同じ書類作業や管理業務が可能です。ただし、前述のとおり専任技術者および主任技術者のみで監理技術者にはなれません。また、1級と2級では担当できる土木工事の規模が違います。

土木工事の規模

1級と2級では、担当できる土木工事の規模が違います。どちらも専任技術者として活躍できますが、1級の場合は一般建設業と特定建設業、2級は一般建築業のみです。ちなみに一般建設業と特定建設業では、許可を得られる要件が異なります。たとえば、一般建設業が元請けとなり下請けに工事をお願いするときは4,000万円未満となっており、建築一式の場合は6,000万円未満です。

一方、特定建設業であれば、元請けへの工事依頼は4,000万円以上、建築一式は6,000万円以上が可能です。ただし、土木工事を引き受けた建設会社がそのまま自分たちで施工するときは、このような金額的な縛りはありません。

監理技術者とは

前述のとおり、監理技術者とは1級土木施工監理技士のみが従事できます。監理技術者とは、建設業法で定められている技術者のことで、高額の土木工事の場合に配置しなければいけません。

具体的な金額は、請負契約額が4,500万円以上、建築一式工事の場合は7,000万円以上です。主な仕事は、土木工事の計画立案、工程および品質管理です。土木工事現場においてはリーダー的存在で、各技術者などをしっかり統率及び管理する存在になります。

土木施工管理技士の試験内容

土木施工管理技士の試験内容は、1級と2級で異なります。

まず、1級の試験は1次検定と2次検定の2段階です。1次検定は土木工事全般、法規、施工管理法となっており、2次試験では施工管理法を集中的に実施します。また、2級の試験も1次検定と2次検定に分かれていますが、受けたい試験によって異なるので要注意です。

2級の場合は、土木、鋼構造物塗装、薬液注入の3種類から選びます。ちなみに土木は土木工学、施工管理法、法規の3科目から出題されます。鋼構造物塗装については土木工学と法規、そして鋼構造物塗装施工管理です。3つ目の薬液注入は土木工学、法規、薬液注入施工管理となっています。

全体的にみると、1級は土木全般が試験科目、2級は専門分野に特化した資格といえるでしょう。ただし、出題範囲は毎年同じとは限りません。

2次検定は1次検定の合格者のみ

1級と2級のどちらも、2次検定に進めるのは原則として1次検定の合格者のみです。また、すでに2級を取得している方は、条件を満たしている場合のみ自動的に1級2次検定の受験資格を得ることができます。

ただし1級は、2級の上位資格です。受験資格は、学歴と実務経験で細かく設定されており、実務経験については学歴などによって最大15年必要になります。もちろん、2級も実務経験は必要ですが、ゆっくり1級を目指したいという方は2級の取得から考えてもいいでしょう。

土木施工管理技士の1級を取得するメリット

同じ土木施工管理技士でも、1級と2級では異なる部分があります。もちろん、どのような資格でも1級が上位資格になるため、土木施工管理技士1級にも多くのメリットがあるはずです。そこであらためて、1級のメリットを確認しておきましょう。

技術者になれる

1級と2級のどちらを取得しても、技術者として新しい道を進むことができます。しかし、2級の場合は主任技術者と専任技術者のみです。特定建設業の技術者としての業務もできません。また、1級の場合は2級の技術者資格だけでなく監理技術者も可能です。1級は土木工事に関連した技術者を目指している方には、さまざまな技術者になれるため、メリットに感じる資格のひとつです。

年収が上がる可能性

土木施工管理技士になると、年収が上がる可能性があります。なぜなら、前述のとおり、建設会社や土木工事現場のリーダー的存在になれるからです。とくに1級の場合は、特定建設業で活躍できますし、監理技術者にもなれます。スキルアップはもちろんですが、年収が上がる可能性も高くなるでしょう。また、転職時にも有利に働きます。1級は、特定建設業でも活躍できるため、2級よりも転職の幅が広がるでしょう。

リーダーとして活躍できる

大勢を統率および管理する仕事に就きたいと考えている方には、メリットに感じる資格です。そもそも土木施工管理技士は国家資格ですから、1級の場合は、2級よりも規模の大きい土木工事現場においてリーダー的存在として活躍できます。大きな土木工事現場で、工事計画を立てて、その計画をもとに多くの技術者などに作業を進めてもらいたいという夢を持っている方には適しているでしょう。

まとめ

土木施工管理技士は、土木工事のリーダー的存在になれる国家資格です。資格は、1級と2級に分かれています。もし、取得する予定がある場合は、自分が目指したいのが1級なのか、それとも2級なのかを決めておきましょう。ただし、1級と2級はほぼ同じ仕事内容ですが、担当できる土木工事の規模や従事できる建設業の種類が異なります。どのような土木工事でも対応できる人材になりたいという方は、思い切って1級を狙ってもいいかもしれません。

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