建築設計業界における50代の転職事情とは?失敗しないポイントは?
テレビでは転職エージェントのCMが流れることも増え、転職する人も増加傾向にあります。今回は、建築設計業界における50代の転職事情をご紹介しますよ。一般的には50代の転職は厳しいといわれていますが、建築士の資格があれば状況は変わるようです。転職したいと考えている人は、ぜひチェックしてみてください。
建築設計業界における50代のニーズ
建築設計業界における50代のニーズは高いです。50代の建築士はちょうど、バブル時代を含む建築設計業界が好景気の時代を経験しているため、さまざまなプロジェクトに携わってきた実績がある世代です。
また、建設設計業界は多くの団塊世代が退職し、技術幹部や幹部職員が急激に減っていることから、管理職や幹部職員となれる50代の建築士を求めています。
50代の転職は難しい?
結論からまずお伝えすると一般的には、50代での転職は厳しい傾向にあります。厚生労働省による調査(平成29年)では、50代の転職成功率は男女ともに約3~5%台でした。この値は、ほかの年代と比べて最も低く、50代で転職することがどれほど難しいのかが見て取れます。
50代の転職が難しい理由としてまず挙げられるのは、そもそもの求人数が少ないことです。50代の転職は採用すれば人件費が多くかかります。そのため、年齢が上がるにつれて求人数が少なくなるというのが現実です。
そして、もう一つの理由は、応募できる求人があったとしても、体力的にきつい仕事であったり、収入・待遇・仕事内容などの条件が理想とは異なっていたりすることが多く、転職をあきらめる人も多いということです。50代で転職を成功させるには、自分のもつスキルや経験を把握し、それらを求める企業を探し出すことが重要です。
50代が転職する理由
建築士は、定年退職をした後も再就職する人が多い傾向があります。しかし、その場合、年収が下がり、立場も下がることが多いのが現実です。こうした背景から、建築士の中には、50代のうちに転職しておき、安定した職場を確保するという人も多いです。
また、一般的に50代の転職は難しいにもかかわらず、50代の転職者数は増加傾向にあります。その理由は以下の3つが考えられます。(1)家族の介護などに対応するため、(2)人間関係に見切りをつけるため、(3)単身赴任をやめたいからです。
もくじ
(1)家族の介護などに対応するため
50代は、家族の介護や自分自身の体力などなにかと悩みが増える年齢です。ライフステージにともなう問題に対応するために、転職する人は多いでしょう。
(2)人間関係に見切りをつけるため
50代という節目の年に、それまで我慢していた人間関係に見切りをつけるために、思い切って転職する人もいるようです。50代は、ちょうど子どもが成人する人も多く、自分の人生について考え直すタイミングとなるのでしょう。前職で築いてきた役職を捨て、本当にやりたかった仕事をはじめる人も多いです。
(3)単身赴任をやめたいから
単身赴任を続けてきた人の中には、50代になったのを機に、単身赴任を避けて転職する人もいます。年収が下がったとしても、単身赴任によってかかる費用を差し引くと実質的な年収に差がないことも転職を後押しする理由のひとつです。
転職を希望する50代に企業側が求めること
転職を希望する50代に企業側が求めることは、大きく3つに分けられます。「経験・実績・人脈」「スキル・専門性」「離職率の低さ」です。ほかにも、責任感や適応力が求められることもあります。50代ならではの魅力をアピールして、採用を勝ち取りましょう。
経験・実績・人脈
今まで積み重ねてきたキャリアで得た経験は、何にも代えがたいものです。今までどのような実績を積んできたのか、どのような人と仕事をしてきたのかを整理し、分かりやすく伝えましょう。とくに、50代の転職では、マネジメントの経験を問われることも多いので、何か役職についていた経験のある人は有利です。
スキル・専門性
専門職の転職希望者はとくに、スキルや専門性を重視されます。即戦力としてはたらける人材はどの企業も求めています。身に着けたスキルをどのように生かせるかがアピールできれば、採用される可能性が高まるでしょう。
離職率の低さ
50代の求職者は「この転職を最後にしたい」と思っている人がほとんどでしょう。これは、若年層の転職希望者と大きく異なる点です。仕事を教えても辞めてしまっては、会社は損をしてしまいます。仕事への意欲をアピールすることは重要なポイントです。
50代の転職を失敗させないポイント
50代の転職を失敗させないポイントを、4つご紹介します。「(1)スキル・キャリアをアピール」「(2)柔軟性・適応力をアピール」「(3)選択の幅を広げる」「(4)ハローワークや転職エージェントを利用する」です。
(1)スキル・キャリアをアピール
50代の転職はハイポストへの転職であることも多く、採用すれば、企業は年相応の人件費を支払わなければいけません。そのため、高額な人件費に見合ったスキル・キャリアをもち、仕事の戦力になれるような人物であることが求められます。面接時にスキル・キャリアをしっかりアピールするためにも、事前に今まで自分が積み上げてきた実績を把握し、説明できるように用意しておきましょう。
(2)柔軟性・適応力をアピール
採用担当者の中には、50代の転職希望者に対して「プライドが高く、柔軟性がないのではないか」と心配している人がいます。そういった不安を払しょくするためにも、キャリア・年齢に関係なく、謙虚に働く意思があることをアピールしましょう。「前職で、年下の上司ともスムーズに仕事ができていた」など、具体的な体験談などを伝えれば、分かりやすいかもしれません。
(3)さまざまな可能性を視野に入れる
50代の転職は、応募できる求人があったとしても、体力的にきつい仕事であったり、収入・待遇・仕事内容などの条件が理想とは異なっていたりすることが多く、転職をあきらめる人も多いのが事実です。
しかし、ここで重要なのは年齢が上がるにつれて、理想とは異なる仕事が増えるという現実を認識しておくことです。もちろん、収入のことを考えると正社員としての転職を希望する人も多いでしょう。
また、正社員であればその分、責任も重くなります。家族の介護や自分自身の体力などなにかと悩みが増える50代。非正規雇用の方が、ワークライフバランスが取れる選択である可能性もあります。
自身の環境を把握し、仕事への条件の優先順位をつけながら、さまざまな可能性を視野に入れることは転職を成功させる大きな鍵となるでしょう。
(4)ハローワークや転職サイトを活用する
転職には、ハローワークや転職サイトを活用しましょう。どのような求人が出ていて、仕事内容や年収などの条件はどうなっているか、具体的な情報収集を行ってください。転職市場の調査を行うことで、自分が求める仕事条件の優先順位をつけることができるでしょう。
ただし、公的機関であるハローワークは、登録料が無料のため、資金の少ない企業の求人も多く、条件の悪い求人が集まりがちです。ハローワークの求人は地域密着型の企業が多く、自宅から通いやすいなどのメリットもありますが、利用には充分注意が必要でしょう。
また、最近CMでもよく見かける転職エージェントですが、非公開求人も多いため、はじめに行う情報収集はハローワークや転職サイトを活用することをおすすめします。
建築設計業界における50代の転職事情をご紹介しました。一般的に50代の転職は難しいものの、建築士の資格があれば、管理職や幹部社員として転職できる可能性が高いでしょう。建築士は、定年退職をした後も再就職する人が多いですが、その場合は条件が悪くなることもあるため、50代で転職を真剣に検討する人も多いです。また、ライフステージにともなう問題に対応したり、子どもが成人したのを機に人生を考え直したりすることから、50代で転職を考える人は増加傾向にあります。転職の採用面接では、自分のスキルを事前に把握し、分かりやすく伝えることが重要です。