未経験でも建築設計業に転職することはできる?

公開日:2020/04/15  

建築設計業の仕事をしてみたいと思っているけれど、実は今までは別の業界で働いていて一切経験がないという人もいるでしょう。業界によっては経験がないとなかなか仕事を見つけられないこともありますが、建築などに関わる仕事ではどのような状況があるのでしょうか。

経験の有無でどんな違いが生じるのか

建築設計業で転職するときに経験があるかないかでどのような違いが生じるのかをまずは確認しておきましょう。建築現場で働く人は全国的に不足している傾向があるため、経験の有無を問わずに募集されているのが現状です。今まで全く建築にも設計にも関わったことがなく、土木や建築などについての経験もないという人であっても転職できるところを見つけられる可能性はあります。

一方、一級建築士や二級建築士の資格を持っている人や電気工事士の資格がある人など、有資格者でかつ現場経験も何年も持っているという人にも求人は豊富です。優秀な人材を獲得したいという企業は多く、経験があって資格もある人材を多くの企業が獲得しようと努力しています。つまり、経験があろうがなかろうが転職先を見つけて業界で働けるようになる可能性は十分にあるのです。

しかし、大きな違いが二つあるので注意しましょう。一つ目は従事できる業務内容の違いです。建築設計業では一級建築士や電気工事士などの資格がなければ従事できない業務がたくさんあります。業務ごとに対応する資格を持っていれば経験がなかったとしても採用してもらえる可能性はありますが、即戦力の人材として迎え入れることはできません。現場で有資格者を求めているときにはすぐに活躍してくれる人材を探している場合が多いので、大抵の場合には経験がないと採用を見送られてしまうでしょう。

また、CADなどのようにスキルを習得していないと従事するのが困難な業務も多くなっています。現場で学びながら仕事をさせてくれるような手厚い待遇のことはあまりなく、きちんとすぐに業務を進められるスキルがあり、実際に使って仕事をした経験があることを求められるのが普通です。

この他にも建設現場の監督などのマネジメントを伴う仕事についても経験を求められる傾向があるなど、経験がある人しかできない仕事は多岐にわたっています。経験がない人の場合にはポテンシャルが買われるのが特徴で、一般的には即戦力となるようなスキルがなくてもできるものがほとんどです。営業や営業補助、建設現場での作業員などが代表的なものとして知られています。また、どの企業でも必要になる経理や総務、人事などのバックオフィスのスタッフも経験がなくても採用される可能性がある職種です。

ただ、企業によっては資格やスキルがある人をポテンシャル採用していることもあります。その場合にも経験者と違って責任のある仕事を最初から任されるのではなく、建築士の補助業務をまずは担当して学び、十分に成長したら責任のある案件も担当できるようになるという道のりが設定されているのが一般的です。最初はあくまで補助職や作業職になると考えておくと良いでしょう。

二つ目は選考や採用における待遇の違いです。経験がある人は貴重なので丁重な扱いを受ける傾向が強く、給与などの待遇面もかなり高めになります。それに対して経験がないけれど建築設計業で働いてみたいという人は比較的多く、企業としては本当に戦力になり得る人なのかを見極めるのに必死なので選考も厳しくおこなわれる傾向があるのが特徴です。待遇もポテンシャル採用なので低めになりがちで、専門的に従事してきた前職に比べて給与が低くなってしまうことも少なくありません。それでも納得して働きたい職場かどうかを見極めて転職することが重要になります。

ポテンシャルがあることを示せるようになろう

未経験の人が建築設計業に転職するにはいかに自分が活躍できるポテンシャルがあるかを客観的に伝えられるようにすることが重要になります。特に人気の企業の場合には求人にかなりの応募数があり、書類の時点でほとんど落としてしまうことも多いので注意が必要です。面接でのアピールも重要なのは確かですが、履歴書や職務経歴書にどんなことを記載できるかが転職の可否を分ける大きな要素だと認識して準備しておくのが肝心です。

どんな仕事をしたいか、その後のキャリアパスをどのように描いているかによってやっておくべき対策にも違いがあります。比較的単純でわかりやすいのが業種としては経験がなくても、職種は今までと同じものを希望するパターンです。今まで食品業界で経理の仕事をしてきて、新しい業界でまた経理職として働くといったケースが典型例になります。

この場合にはポテンシャルがあるのは明らかで、企業によっては即戦力と考えてくれることもあるでしょう。ポテンシャルの高さをさらにアピールできるようにするには業界研究をして志望している企業の業界における立ち位置や強みなどを理解して共感を示すのが効果的です。

一方、作業員として働きたい場合にも同様にして意欲を示すのが効果的な対策です。現場作業をする人には特別に資格が求められるわけではなく、きちんと監督の指示に従って適切な作業をこなせることが重要になります。技術を求められる作業も多いですが、アルバイトなども雇っていることが多い現場なのですぐにその場で習得できるのが普通です。向学心があることを示すために建築とは何か、設計とは何かといった基本的な業界知識をつけておくと期待してもらえるようになるでしょう。

将来的には建築士として働けるようになりたい、専門的なスキルを使って仕事をしたいという場合にはそのための基礎ができていることは少なくとも示せなければなりません。企業としては最もリスクがあるポテンシャル採用になるので意欲や向学心だけでなく、もう少し実務に直結するような能力を持っている根拠がないとなかなか採用してもらえないのが一般的です。

やりたい業務に応じて取得可能な資格があるなら勉強して取っておくのが重要になります。現場経験を求められない資格であれば独学したり、学校に通ったりして試験を受ければ資格を取れるでしょう。国家資格は重宝される傾向がありますが、民間資格であってもスキルがあることを示せるので前向きに試験を受けましょう。

転職エージェントの活用を検討しよう

建築設計業で仕事を探すときのアプローチとして候補にしておきたいのが転職エージェントを活用する方法です。企業と人材のマッチングをしているのが転職エージェントの特徴で、建築設計業の企業からの求人もたくさん抱えています。こんなポテンシャルがある人材が欲しいという要望も多く、その企業のニーズに合った能力を持っていれば速やかに推薦を受けられるのが魅力です。採用してもらうためのノウハウも伝授してもらえるので未経験の人にとって有用なサービスです。

 

建築設計業での転職では経験の有無によって応募できる求人の業務内容や待遇には違いがあります。しかし、未経験でもポテンシャルが認められればさまざまな職種で採用されているのが現状です。どんな仕事をしたいか、どのようなキャリアパスを望んでいるかによって必要な準備を整えるのが転職を成功させるためには欠かせません。転職エージェントを活用すると企業のニーズと自分が培ってきた能力のマッチングをして求人を紹介してくれるので有効活用しましょう。

おすすめ関連記事

検索

READ MORE

一級建築士や二級建築士という資格は知っていても、木造建築士を知っている人は少ないかもしれません。建築設計業界で仕事をしたい人は、関連する資格を取っておくと必ず役立ちます。多くの国家資格がある

続きを読む

建設に関わる資格は数多くあるなかでえも、近年では「技士補」という資格が注目されています。このあまり耳にすることがない「技士補(ぎしほ)」とは、どのような資格なのでしょうか?今回は「技士補」に

続きを読む

大型ビルやマンション、ショッピングモールなど大型建造物や大型商業施設を建設するために欠かせない「構造設計一級建築士」という資格を知っていますか?一級建築士はメジャーで多くの方が知っていると思

続きを読む

建築現場では、施工品質を確保するため、現場に「配置技術者」を置かなければなりません。配置技術者は主任技術者と監理技術者の2種類あり、どちらも大変重要なポジションです。その中でも本記事では建築

続きを読む

電気工事士とは、電気設備の作業や取扱いに関する国家資格のことです。電気工事士の資格を保有することで、電気工事に係る能力を法的に証明し、幅広い作業を実施する権利を得ることができます。本記事では

続きを読む

土木施工管理技士は、その名のとおり土木工事に関連する資格です。日本全国の土木に関連する工事で活躍しています。土木の仕事を目指す方の中には、土木施工管理技士に興味を持つ方も多いのではないでしょ

続きを読む

転職活動をサポートしてくれる転職エージェントを活用している人は多く、転職希望者にとっては有り難いサービスです。転職支援サービスを無料で提供しており、転職者が利用することのリスクは少ないです。

続きを読む

建築設計業界で思い浮かぶのは、注文住宅やリフォームなどといった施工ではないでしょうか。しかし、建築設計はあらゆる業界は多くの部門で成り立っており、たくさんの職種が存在します。今回は建設設計業

続きを読む

土木工事を筆頭に、建設業界のさまざまな場面で大きな活躍を期待できるのが測量士補です。すでに建設業界で働いている人だけでなく、これから目指す人にとっても、気になる資格ではないでしょうか。本記事

続きを読む

建築関係の仕事に就きたいと思い、建築施工管理技士の資格取得を目指している方も多いのではないでしょうか。建築は、自分が携わったものが形として残るため、やりがいのある仕事といえるでしょう。しかし

続きを読む