建設現場で需要が高い資格!監理技術者について詳しく紹介

公開日:2023/11/01   最終更新日:2023/07/28


建築現場では、施工品質を確保するため、現場に「配置技術者」を置かなければなりません。配置技術者は主任技術者と監理技術者の2種類あり、どちらも大変重要なポジションです。その中でも本記事では建築現場で需要が高い資格である「監理技術者」について解説します。主任技術者との違いも解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

建設現場で求められる専門家!監理技術者の役割とは

監理技術者とは、下請代金額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)の工事現場に配属されることが義務付けられている技術者です。監理技術者は工事現場の施工計画の策定や実行、工事の工程管理、品質管理、技術管理、安全管理、作業員の指導などあらゆる仕事を受け持ちます。いわば工事現場のトップともいえます。

監理技術者と主任技術者の違い

ここまでは監理技術者の役割について解説しました。ここからは主任技術者との違いについて紹介します。

そもそも主任技術者とは

両者の違いについて解説する前に、主任技術者がどのようなものなのか確認しましょう。主任技術者とは全ての工事現場に配置されることが義務付けられている配置技術者のひとつで、工事がスムーズに進むよう、現場の安全管理や品質管理、施工管理などを行います。

全ての工事に配置が義務付けられていた主任技術者でしたが、令和2年度10月からすこし緩和され、鉄筋工事や型枠工事、下請金額が3,500万円未満の工事には配置しなくてもよいことになりました。令和5年1月1日に施行された「建設業法施行令の一部を改正する政令」によって下請業務における主任技術者の配置を不要とする金額が3,500万円から4.000万円に引き上げられました。

主任技術者と監理技術者の違い

では主任技術者と監理技術者は何が違うのでしょうか。結論から言うと主任技術者と監理技術者の違いは「下請金額」です。先ほどもお伝えした通り、監理技術者の下請金額は4.500万円以上の工事に配置されますが、主任技術者が担当できるのは下請金額が4.000万円未満の工事となっています。

そして監理技術者と主任技術者は監理技術者のほうがレベルの高い資格であるため、監理技術者がいる工事現場には主任技術者は配置する必要がありません。そのため主任技術者は主に監理技術者が配置されない下請金額が4.000万円以下の工事を受け持つことになります。

令和5年には主任技術者の配置を不要とする下請金額が4.000万円に引き上げられたことにより、下請け工事の主任技術者の必要性は右肩下がりともいえるかもしれません。ちなみに、下請工事の配置は不要になりましたが、元請けの工事では今でも主任技術者の配置が必要です。

監理技術者の資格を取得するメリット

監理技術者と主任技術者との違いが分かったところで、次は監理技術者の資格を取得するメリットについて4つ紹介します。監理技術者はこれからより必要とされる資格であるため、今のうちに取得しておくことをおすすめします。

収入アップ

コロナ禍で2020年度あたりでは落ち込んだ建設業ですが、コロナ感染も収束に向かい2023年現在ではまた息を吹き返したことで、年々工事現場が増加傾向にあります。大型の工事現場には必ず配置される監理技術者ですから、所属する会社にとっては貴重な存在となり、昇給・昇進が期待できます。それに伴い収入アップも大いに考えられます。

転職に有利

監理技術者の資格を取得することで、転職に有利になるのもメリットの一つです。なぜなら現在、建設業では団塊世代と言われる年齢層の方々が引退を迎え、監理技術者の人手不足が懸念されているからです。大手企業でも監理技術者不足で常に求人を展開している状態なので、監理技術者の資格を取得していれば転職したい企業に入りやすくなるかもしません。

経営事項審査で所属会社に貢献できる

経営事項審査、通称「経審」は公共団体が発注している業務を受注する際に行われる審査です。経審の技術力評価において、監理技術者は1人当たり5点が追加されるため所属する会社に貢献できます。

デメリット:業務量の増加

監理技術者の資格を取得し、監理技術者として働くとなると管理することが多くなるため、業務が増える傾向にあります。

デメリット:新たな知識が必要になる

監理技術者には専用の資格試験が無いため新たに資格取得に向けて勉強する必要はありません。ただ監理技術者になることで業務内容が大幅に増えるため、さまざまなことを吸収していく必要があります。また監理技術者は施工管理や工程管理のみならず、現場の作業員の技術指導も行う必要があるため、対人スキルについても身に付ける必要があるでしょう。

監理技術者になるために欠かせない必要な要件

ここでは監理技術者になるための要件について解説します。取得した資格によっても監理技術者になる方法が変わってくるため、もし監理技術者を目指している方がいればどのようなルートになるか、確認するとよいでしょう。

取得した資格によって条件が変わる

監理技術者に必要な試験はありませんが、監理技術者になるためには「監理技術者の資格要件」を満たす必要があります。監理技術者の要件を満たすには、指定建設業7業種の人たちであれば「一級国家資格を取得する」指定建設業7業種に含まれない22業種の方々であれば「指導監督的実務経験を2~12年積む」ことがマストです。

講習の受講も必須

また資格を保有しているだけでは監理技術者として働くことはできません。監理技術者として働くためには資格を取得したうえで、監理技術者講習を修了する必要があります。

監理技術者として働くまでの流れ

以下のステップをクリアすることで監理技術者として働くことができます。

・資格要件を満たす
・建設業技術者センターに申請
・監理技術者資格証の交付
・監理技術者講習を受講・修了
・監理技術者として就任

監理技術者の年収

監理技術者の年収は一般的な社員と比べて高く平均年収は523万円です。ただし、835万円を貰っている方も少なからずいるため、所属している会社や業務形態によって差があるようです。

まとめ

本記事では建設現場で需要が高い「監理技術者」について、監理技術者の役割や監理技術者のメリット、主任技術者との違いなどを解説しました。現在、監理技術者は人手が少なく主に転職というフィールドでとても重宝される資格です。現に建設業で働いている方でも監理技術者の資格を取得することで、経審の際に会社に貢献することができるでしょう。監理技術者は国家資格一級を取得していれば特別な資格試験などは必要ないため、申請と監理技術者講習が済んでいない方は登録するとよいでしょう。

おすすめ関連記事

検索

READ MORE

建築積算士資格試験は、その難易度からすると少し高いといわれています。建築業界で欠かせない資格であるため、取得することで転職やキャリアのステップアップにつながります。この記事では、建築積算士の

続きを読む

建築士になるためには、単なる資格取得だけでなく、特定の性格や特徴が求められます。建築士に向いている人物像や必要な資質について、4つの視点から解説していきます。自分自身の適性を知り、建築の世界

続きを読む

建築業界において、働きやすさは個々の職種や企業によって異なります。ホワイトな職場を求めるならば、給与や残業時間、体力面、休日数を注意深く見極めることが大切です。本記事では、建築業界の労働環境

続きを読む

転職エージェントは転職を検討している人にとって効果的なサービスです。しかし、いつまでサポートを受けられるのかわからず、利用を迷っている人も少なくないと思います。本記事では、転職エージェントの

続きを読む

電気通信工事施工管理技士になるには、実務経験が必須ですが、実務経験がなくても資格を取得する方法が存在します。本記事では、実務経験の有無に関わらず資格を取得するための詳細な情報を提供します。受

続きを読む

建設・土木業界における長年の悩みである3K(きつい、汚い、危険)から脱却し、新たな働き方新3K(給料がよい、休暇が取れる、希望が持てる)を実現すべく、国土交通省を中心に業界全体で取り組みが進

続きを読む

建築プロジェクトや製造業において、施工管理とCADオペレーターは重要な役割を果たしていますが、その違いを理解することは業界において不可欠です。施工管理者とCADオペレーターは異なるスキルと責

続きを読む

建築業界にはさまざまなプロフェッショナルが存在しますが、なかでも建築デザイナーと建築士は混同されがちです。同じ建築業界で携わっているとはいえ、異なるポイントがあります。この記事では、両者の違

続きを読む

店舗デザイナーとは、物販や飲食店などのデザインを手がける専門家です。外観から内装、家具やファブリックまで総合的に設計し、魅力的な空間を創り出します。この記事では、店舗デザイナーの仕事内容、や

続きを読む

一級建築士の資格を持つ建築士が転職先を模索するなかで、注目すべきポイントやおすすめの転職先について解説します。建築業界の変化や需要の動向、転職の際に重要なポイントを押さえながら、一級建築士の

続きを読む